ノウハウ

2018.11.23

事業価値を見極めるために役立つ戦略分析ツールあれこれ

▼後継ぎを探すにしても、廃業するにしても、M&Aにしても、いずれにしても事業の価値を見極めることは大変重要です。今、事業価値がいくらなのか分からなければ、実行しようとしていることが得なのかどうかも分からないからです。しかし、事業には強みもあれば弱みもあります。加えて事業とは、多様な価値の源泉が組み合わされてその真価を構成しているという側面もあります。事業の価値を見極めるためには会社を評価する視点を持つことが必要です。そこで今回は、会社を評価するための主な分析ツールを紹介します。

 

自社を評価したことがない方は一度は検討してみてください。

 

SWOT分析

 

事業の価値がどこから生じているのかを分析するためには企業の外部環境と内部環境とを把握することが必要です。このような企業環境の分析に役立つツールにSWOT分析があります。

SWOT分析とは、企業にとっての、①強み(Strengths)、②弱み(Weaknesses)、③機会(Opportunities)、④脅威(Threats)の4つの視点から、その企業の環境を把握するものです。

このうち③機会(Opportunities)と、④脅威(Threats)は外部環境に該当します。経済全体あるいはターゲットとなる市場における外部環境に関連付けて、自社の①強み(Strengths)や②弱み(Weaknesses)といった内部環境を把握できるという利点があります。

 

3C分析

 

3C分析は、①顧客(Customer)、②競合(Competitor)、③自社(Company)の3つの視点で分析を行うためのフレームワークです。事業戦略策定の際などによく利用されます。

SWOT分析のように企業環境に関連づけるとすれば、①顧客(Customer)と②競合(Competitor)が外部環境に該当し、③自社(Company)が内部環境に該当するということも可能です。そのため、SWOT分析と同様、マーケットにおける自社の相対的な強みを把握できるという特徴があります。

 

ファイブフォース分析

 

外部環境をもう少し丁寧に分析したいときにはファイブフォース分析が役立ちます。

ファイブフォース分析は、①新規参入の脅威、②代替品の脅威、③買い手の交渉力、④売り手の交渉力、⑤既存企業間の敵対的関係、の5つの視点から競争環境を分析するためのフレームワークです。ファイブフォース分析では、それぞれのファクターが大きいほど競争環境が熾烈であると考えます。

たとえばビジネス上において、行政による許認可が必要な事業や、また特許の存在が重要となるような分野では「新規参入の脅威」は低いといえるでしょう。言い換えれば、競争環境は緩慢であるということです。

 

バリューチェーン分析

 

バリューチェーン分析は、事業活動をプロセスに分解し、どの工程で価値が生み出されているかを分析するものです。

製造業として大まかな例を挙げると、①購買、②製造、③出荷、④販売となる。バリューチェーンを分解することにより、どこで差別化や低コスト化が行われていて、それが付加価値につながっているかを明確にすることができます。たとえば、出荷における物流費が大幅に削減されていて、製品価格の低下が実現できている場合、出荷物流プロセスが顧客に対して付加価値を提供していることになります。

 

VRIO分析

 

企業の競争優位性を掘り下げて評価する際にはVRIO分析が役立ちます。

VRIO分析は、①価値(Value)、②希少性(Rareness)、③模倣可能性(Imitability)、④組織(Organization)の観点から、企業の持つ経営資源を分析する方法です。上述のバリューチェーンにおける各プロセスで生み出される価値をVRIO分析で評価するといった方法もあります。たとえば、大学と共同で高度な開発を行える研究チームを構築している場合には、③模倣可能性(Imitability)や、④組織(Organization)の面で付加価値が高いといえるでしょう。

 

どの事業を存続させるかの指針としても役立つ

 

以上のような分析ツール以外にもさまざまな指標やツールは存在します。ただし、分析ツールを扱うにも注意点があります。なんとなくアルファベットの略語に沿って事業を説明するだけでは自己満足の分析に終わるおそれがあるのです。

M&Aや事業承継では、顧客や従業員にとって付加価値を生み出している事業を存続させていくという目的意識を常に持たねばなりません。会社オーナーの創業者利益を確保するという視点は確かに重要です。ですが同時に、事業を存続することで地域社会や我が国全体の経済成長にとっても好影響を与えるという視点でも、事業の取捨選択を行いたいものです。