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【絶滅技術】あの村正の発祥地。桑名市の刃物職人を継ごう!

2018年11月20日

▼三重県と愛知県の県境にある桑名市。市の中心には国道1号線があり、名古屋や岐阜、四日市へ交通の利便性が高く、古くから栄えていました。そんな桑名市で伝統の刃物が衰退しようとしています。今回は、桑名市での刃物職人の由来と衰退していく理由を紐解いていきたいと思います。

 

あの妖刀村正は、もう二度と再現されないのでしょうか。

 

村正発祥の地、桑名市

 

三重県桑名市といえば、全国的に特産品として蛤が有名です。蛤以外にも大型複合レジャー施設で観光のスポットといえる長島リゾートや石取祭、多度大社の上げ馬神事など県内外からもたくさんの観光客が訪れています。

古くは、桑名市は名古屋や四日市といった都市をつなぐ東海道の宿場町として栄えてきましたが、鍛治町という地名にも残る通り、桑名市には鍛治屋が多く営んでいた地域がありました。室町時代から多くの鍛冶職人が活躍し、映画やゲームなどで幅広い世代に知名度の高い、あの「妖刀村正」の発祥としても知られています。

刀鍛冶の村正は豊臣家や徳川家といった天下人の支持を受けて桑名で数々の刀を作りました。その名残もあって桑名市では、これまで刃物職人がその腕を振るってきました。三重県の伝統工芸品としても紹介されている刃物は、桑名市の誇りでもあります。

村正の刀は室町時代中期から戦国時代、江戸時代といった近世だけでなく、近代の幕末や明治時代には伊藤博文や西郷隆盛といった著名人にまで愛用されていきました。

 

大量生産化の波で1店舗のみ

 

しかし、年々消費者のニーズが多様化し、大量生産時代にもなると、伝統の業が衰退していくことになります。大型ショッピングセンターやホームセンターが周辺地域に出店していき、刃物関連も低価で即購入できることから、鍛治町として栄えてきた桑名市でも、2018年現在では刃物店がわずか1店舗のみの営業となってしまいました。

桑名市鍛治町に店舗を構えるのは廣房打刃物店で、包丁や鋏、工具関連の販売や研ぎ、修理も行っています。使用者の用途に合わせて様々なタイプの包丁が用意されています。包丁といえば、和包丁と洋包丁の2種類があり、(料理人でもなければあまり知られていませんが)一般家庭用の包丁は牛刀なので洋包丁となります。戦後の食文化の変化によって日本式にアレンジされて作られてきましたが、現在は万能包丁としてホームセンターなどで陳列され、鍛冶屋の鍛造として作るものではなく、工場でのライン生産で大量に供給されています。鍛治町では包丁以外にも鉈や鍬、鋏といった農具用や園芸用といった工具が製造・販売されていましたが、前出のショッピングセンターやホームセンターによって海外の工場で作られた安価なものが主流となり、職人が培った逸品は敷居が高いものとして敬遠されてきた節があります。

 

深刻なのは若者の包丁離れ

 

何より、どの地域も後継者不在に悩んでいるのが現状です。とはいえ、新しい弟子を雇うにも、受け入れ先に経営面で余裕がないことが課題として残ります。さらに、一般消費者が趣味の延長として活躍できる園芸工具はともかく、毎日必要な食事に欠かせない存在のはずの包丁が、近年では使用する頻度が減少しています。

これには女性の社会進出に伴う晩婚化や共働き世帯の増加によって、自宅で調理するという選択が減り、カットされた食材や調理された食品が手軽にスーパーやコンビニで購入できることが関係しています。まともに包丁が使えない若い世代が増えている影響もあるでしょう。例えば大手牛丼チェーンの吉野家では、アルバイトが包丁を使わくてもよいようなオペレーションを実現しており、すべてカットされた牛肉や玉ねぎを使用しています。このような効率化の文化が、包丁離れの一端となっているかもしれません。

 

職人という仕事や、伝統技術を若い世代に伝えたい

 

桑名市では伝統工芸を衰退させないように、地域資源活用プログラムを推進しています。

2018年現在で桑名市の人口は約140,000人で、65歳以上の高齢者は約36,000人で25%付近の割合になっています。事業継承するには若い世代に興味を持ってもらうことが必要ですが、少子化の影響で20歳から35歳までの人口は24,000人で約17%の割合と少なくなっています。この世代に対して、いかに興味を持ってもらい、就業の選択に視野を広げてもらうかが行政の課題ともいえます。

刃物職人の高齢化に伴い、商品の生産が止まってしまうと、鍛治町から職人がいなくなってしまう恐れがあります。もちろん、桑名市だけでなく、全国的にみても鍛冶職人で生計を立てている職人は少なく、ほんの一握りの存在といえるでしょう。

伝承されなかった技術は絶滅します。村正を鍛えた技術ももうすぐ途絶えてしまうかもしれません。伝統工芸としても定評がある刃物職人ですが、事業継承の悩みだけでなく、若い世代の包丁離れにも目を向けて発信を行っていくことが今後も必要になるでしょう。

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