千葉県松戸市を拠点に置き、オリジナル製品の製造・販売を行う「スズキ機工株式会社」が、女性用オリジナルサプリの販売を手掛ける「株式会社ユニオンコスメティックボーテ」を引き継ぎされました。スズキ機工株式会社は、これまでプロ仕様の工業製品を製造・販売する事業と、食品向けの自動機械を設計・制作する事業の2つを軸に事業を展開してきました。今回、新たな事業領域に足を踏み入れる決断をされたスズキ機工株式会社・代表取締役の鈴木様に、その背景と想いについて、お話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 |
株式会社ユニオンコスメティックボーテ |
業種 |
小売業・EC販売 |
拠点 |
愛知県 |
譲渡理由 |
選択と集中 |
譲受企業 | |
---|---|
社名 |
スズキ機工株式会社 |
業種 |
製造・メンテナンス業 |
拠点 |
千葉県 |
譲受理由 |
新規事業への参入、経営の多角化 |
経済変化を体験する中で実感した、経営を多角化する重要性
1976年に設立されたスズキ機工株式会社は、もともと一斗缶のメンテナンス事業として鈴木様のお父様が事業をスタートされましたが、参入した業界が斜陽産業だったことに加えて、バブル経済が崩壊。取引先の倒産なども相次いだ結果、事業存続の窮地に立たされたスズキ機工は、別会社でサラリーマンをしていた鈴木様が合流することで、大きく事業転換を図っていきます。
その後、パンやラーメンなどを作る自動機械の設計・制作を食品会社向けに展開することで、みごと経営回復を実現したスズキ機工。さらにそこから、自社ブランド商品のネット販売事業を新たに展開し、売り上げを大きく成長させました。
現場の生の声をヒントに、これまで奇跡の潤滑剤「ベルハンマー」、絶対に絡まない電線「パケットリールシステム」、薄いビニールやシートに特化したハサミ「ベルシザー」など、ユニークなオリジナルブランドの商品開発を行ってきたスズキ機工。
業績は順調に伸びており、コロナ禍の現在も今まで以上の売り上げをあげられているそうです。そんな好調な経営状態の中でM&Aをするに至った背景には、鈴木様がこれまで経験してきた経済変化と、そこから感じた経営者としての勘が理由にありました。
「25年以上経営に携わる中で、バブル経済の崩壊、リーマンショック、ITバブル、東日本大震災、そして現在の新型コロナウイルスと、経済変動は必ず起こるものだということを、身をもって体感してきました。
たとえ今は会社の業績が好調だったとしても、この状態がずっと続く保証はどこにもありません。あらゆる経済変化が起きる中でも会社を存続させようと思うと、事業の多角化は必須条件ではないかと感じています。M&Aを検討するようになった背景には、そういった理由があります。」
事業を選ぶ3つの軸。鈴木様が考える生存戦略とは
M&Aを行う際、事業の選択基準をあらかじめ定めていた鈴木様。選択条件は「自社ブランド、オリジナル商品を展開している会社」、「消耗品(継続して買ってもらえる商品)を扱っている会社」、「商品の製造を自社で行っていない、OEMで商品販売を行う会社」の3つを満たしているということ。
会社の生存戦略に、“リスクヘッジをしながら自社ブランドを展開していく”という考えがあるそうで、それにあてはまる要素を持った会社であるか、という点が、M&Aの交渉に進むポイントでした。
「インターネットが普及した今、スマホ1台で簡単に買い物ができる時代になりました。消費者目線で考えてみると、同じ商品を扱っていれば、それをどこで購入するかということはそれほど重要な指標ではないかと思っています。それはつまり、同じ商品を扱う企業同士は価格競争に陥ってしまうことになります。
一方で、オリジナル商品は自社で販売価格を設定することができます。もちろんその分別のリスクもありますが、価格競争に巻き込まれず事業展開ができるということは、ビジネスをするうえで大きな利点であると考え、そこに拘って事業展開をしています。」
事業引き継ぎの決め手は、商品価値とユーザーの声
今回ご成約された株式会社ユニオンコスメティックボーテは、オリジナルのサプリメントを扱っている会社。異業種への事業参入となりましたが、経営の多角化を考えている鈴木様にとって、どんな業種であるかはそれほど重要な指標ではありませんでした。
3つの軸を満たしていればランニングコストも低くなるため、新たな領域へもチャレンジがしやすくなります。
鈴木様は、M&Aについて「ネット販売のインフラ、情報発信のインフラが整っている今は、中小企業の私たちでも全国展開できる余地が十分にあります。それらのインフラをうまく活用して展開していく、新たなブランドを自社に向かい入れるためにM&Aに取り組んでいます。」とおっしゃっておられました。
また、バトンズでの交渉の進め方については「実名依頼をしないと実際にどういう商品を扱っているのかわからないので、何社か実名依頼をして、商品をネットで調べて、可能性がある会社かどうかを判断する、という形で進めていました。
結局、良い商材を扱っていなければどれだけ優れたPRや広告宣伝をしても厳しくなるので、そこを交渉前に判断していました。ただ、すべて数値化できるものでもないとも思いますので、最後は商売をする人間としての勘、というのもありますね。」とのこと。
そんな中交渉に進まれた「株式会社ユニオンコスメティックボーテ」は、会社の利益を考えると売却価格にのれん代が大きく反映されているとは感じたものの、消費者レビューやリピート率の高さをみて、商品クオリティが高いと判断された鈴木様。物流量を増やしてユーザーを広く獲得できれば勝算があると感じたことで、買収する決断に至ったそうです。
最後に、スズキ機工の今後のビジョンについてお伺いすると、「現在売り上げのコアになっているオリジナルブランドを軸において、今の時代にあった販売・PR活動をしていくと同時に、弊社のプラットフォームを最大限活用して、まだうまく磨けていない原石のような商品を、バトンズさんのようなM&Aプラットフォームを使ってどんどん手を組んでいければと思っています。
これだけ技術革新が著しい世の中では、経済環境もどんどん変わっていくので、多様性がないと生き残っていくことが非常に難しいです。多様性を持ちながら付加価値のある商品を展開していくことが、グループとしての生存戦略です。」とお話いただきました。商品の付加価値に重きを置くスズキ機工が、今後どのようなオリジナル商品を展開していくのか、目が離せません。
スズキ機工株式会社と鈴木様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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