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美容業界は今後何を求められるのか?市場動向や経営方針を解説

2022年01月26日

近年、美容業界は顧客競争が激化し、経営の改善が強く求められています。そこで今回は、美容業界の市場動向を、厚生労働省が公開しているデータを用いて整理していき、これからの美容院・美容室には今後どのような姿が求められているのかを解説していきます。

 

美容業界の定義

そもそも「美容業」とはどのような産業を指すのでしょうか。改めて整理していきましょう。

厚生労働省の定めた美容師法には、次のような記載があります。

美容とは『パーマネントウェーブ、結髪、化粧等の方法により、容姿を美しくすること』
とされており、染毛やまつ毛エクステンションも美容行為に含まれる」

 

つまり美容室・美容院やビューティーサロンなど、見た目を美しくする目的で消費者が施術を受けに来る施設が美容業であると言えるでしょう。

 

美容業の動向について

美容業を取りまく状況は、年々変化しています。ここでは、美容業界の動向を、調査データから見ていきます。

厚生労働省『衛生行政報告例』によると、2016年度末の時点で、美容室は243,360施設存在しています。実はこの数は年々右肩上がりで10年前と比較すると実に25,591施設も増加しているのです。国内のコンビニエンスストアの数が57,000件程度であり、美容室はその4倍以上の施設数があるということを考えると、非常に多くの施設が存在することが分かるでしょう。

さらに従業員である美容師の数は、509,279人。こちらも10年前より77,594人増えています。

では、事業規模に変化はあったのでしょうか。2015年の厚生労働省『平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査』によると、従業者数5人未満の事業者は、78.2%にのぼることがわかります。5年さかのぼって2010年度は、同割合は69.2%であり、小規模事業者の割合が増えていることが読み取れます。

経営者の高齢化も顕著です。経営者を年代で区切って割合を出すと、60歳から69歳の割合は32.4%、70歳以上の割合が19.0%となっています。2010年度の調査では前者が25.0%、後者が10.8%でした。こちらの割合も年々増加傾向にあることがわかります。

これらのデータから、中高年の人が経営する小規模な個人経営店が増えていることが分かります。

 

では「お客様」側である消費者の動向はどうなのでしょうか。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、2015年の1世帯あたりの「パーマネント代(シャンプー、カット、トリートメント、セット代共のもの及び指名料共のものを含む)」の平均支出額は、4,280円で、前年比241円減となっています。また「カット代(シャンプー、トリートメント、セット代共のものも含む)」の平均支出額は5,459円で、前年比17円減となっています。

数字としてはわずかであるものの、減少傾向に置かれていることがわかります。背景にあるのは、日本の人口減少でしょう。美容室の数が年々増加している中、日本の人口は減少していくことで競争が激化し、多くの美容施設が価格を下げていることが、結果としてこの数字に反映されていると推察されます

 

美容業の課題と今後の経営指針

厳しい状況に置かれていると言える美容業界ですが、変化を乗り越えて生き残っていくためには、どうしたらよいのでしょうか。美容業の課題を洗い出しながら、今後目標とするべき美容業のあり方を考えていきましょう。

美容業の経営者が抱えている課題

まず実際に美容施設を経営している人たちは、どのような課題を感じているのでしょうか。

厚生労働省『平成27年度生活衛生関係営業経営実態調査』の中に、「経営上の問題点別施設数の割合」を調べたデータがあります。これを見ると実に79.9%の施設が「客数の減少」を課題に挙げています。続いて、「施設・設備の老朽化」が35.2%「客単価の減少」が26.8%という数字になっています。

また参考として、日本政策金融公庫による『生活衛生関係営業の景気動向等調査(平成30年7~9月期)』をみると、美容業経営の問題点は、多い順に「顧客数の減少」(58.8%)「客単価の低下」(25.2%)「従業員の確保難」(20.6%)という結果になっています。

 

美容業の今後の経営指針

課題が山積みの中、厚生労働省は美容業の復興目標として経営指針を挙げています。

政府は、美容業は「容姿を美しくしたい」という国民の文化的欲求に応えるサービスを提供し、国民生活を充実させることに大きく寄与してきたとしつつ、引き続き国民に貢献できるような良質なサービスを続けていくことが求められると言及しています。衛生課題に対応しながら、事業を安定させ、今後の発展を図ることを国として要求しています。

一方、国民の「美と健康」に対するニーズも高まっています。トレンドを抑え、需要を正しく捉えながら業界全体が変化していくことが必要なのです。

そのためにはまず、技術とサービスの向上が急務です。お客様に対して施術内容を丁寧に説明し、安全対策やアレルギー対策を行うことも忘れてはなりません。また、障がいのあるお客様にも安心して施術を受けてもらえるように、施設のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化などの取り組みも推進すべきです。

高齢化社会においては、美容院は地域のセーフティーネットとしての役割も担います。場合によっては、来店が難しい高齢者に対する訪問サービスを提供することも求められるでしょう。

 

美容業界で勝ち残るための経営戦略

美容業界で勝ち残っていくためには、経営戦略を今一度考える必要があります。そのためにまず目指すべきは、より多くの顧客を獲得することです。1人でも多くのお客様に来店してもらい、さらにリピーターになってもらうためには、どうすればいいのでしょうか。

まず重要なのは、来店動機となる「口コミ」です。昨今では美容院に予約を入れる際、多くの人が検索・予約サイトやアプリなどのオンラインサービスを使用しています。このようなサイトには、実際に美容室を利用したお客様の口コミが掲載されています。多くのお客様は、投稿された口コミを見ながら、評判のよさそうな美容室を予約するのです。

口コミで高評価を受けられる美容室になるためには、清潔感と居心地のよさは欠かせません。滞在中、お客様に気分のいい時間を過ごしてもらえるよう、最大限の気配りをしましょう。また見落としがちですが、従業員が楽しく働いているかどうかも、重要なポイントです。明るく良好な職場環境であれば、お客様にとってもより居心地のいい店舗となるでしょう。

そして飛躍的に経営を改善したい、サービスを大きく向上させたいという場合には、M&Aもひとつの選択肢です。

M&Aを行うことで、相手先企業と技術を共有でき、お客様の満足度向上に大きく寄与できるかもしれません。また店舗数が増加すれば、資本力が上がります。上記のバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化にも対応しやすくなるでしょう。さらに事業規模が大きくなれば、商品や備品を一括発注できるようになります。これにより原価が下がり、利益率を上げられるでしょう。より低い価格で良質なサービスを提供できるようになれば、顧客満足度が向上することは間違いなしです。

 

美容業界におけるM&Aの成功事例

最後に、実際にM&Aを実施した事例を4件ご紹介します。

1つ目は、赤字経営となっていたリラクゼーションサロンを、個人経営者が事業継承した事例です。

買い手である新居和樹様(仮称)は「自分で商売をやってみたい」という強い思いがあり、事業継承に名乗りをあげました。サロンは赤字続きの経営状態ではあったものの、新居様は、投資した金額を1〜2年で回収できるイメージを持っていたといいます。

事業継承後、さっそくオペレーションの自動化を実施し既存の事業を軸に、店舗数を拡大を目指しています。

https://batonz.jp/learn/8058/

2つ目は、一時期5店舗を経営していたエステサロンのオーナー経営者・北野様が、神戸・三宮の目抜き通りに構えたサロンを譲渡した事例です。

創業当時から「数年経ったら事業継承をしよう」と考えていた北野様は、継承者探しをしていました。いくつか候補者の手が挙がった中で、サロンのすぐ傍に会社を構える友方様への継承を決断しました。

もともとは3年ほどかけてじっくり継承者探しをする予定でしたが、友方様を凌ぐ候補者には3年待っても出会えないだろうと確信し、予定を大幅に前倒しての決断となりました。「この人であれば従業員も幸せになれそう」「この会社に譲渡するために、この店を作ったのかも…とさえ思った」と北野様は話しています。

https://batonz.jp/learn/7140/

3つ目は、東京で総合建設業を営む吉田様が、経営している熊本市内の総合エステサロンを売却した事例です。

2016年4月の熊本地震をきっかけに、ボランティアとして被災地入りした吉田様は、震災で職を失った人たちに雇用を作るため、熊本での事業経営を決意しました。避難中の被災者の身体を想い、エステサロンという業種を選択します。しかし、畑違いであるエステサロンという事業を、東京から遠隔でマネジメントしていくのは簡単ではありませんでした。

そこで、売却を決意し、創業100年を超える美容系の老舗企業・株式会社安永の安永晋康様を後継者に選びました。社員のために従業員面談で後継者を選ぶなど、関係者全員に優しいM&Aを実現しています。

https://batonz.jp/learn/7463/

最後は、セルフネイル市場の立役者、株式会社ルーティアの小山様が、異業種へ事業譲渡をした事例です。

株式会社ルーティアは、個人向けネイル用品のパイオニアとして、直営店10店舗、フランチャイズ6店舗を展開していました。しかし新型コロナウィルスの拡大を受け、直営店の営業をすべて休止せざるを得ない状況に陥りました。これにより人件費や家賃だけがかさみ、経営が急激に悪化しました。

そこでM&Aを決意し買い手に選んだのは、有限会社丸京の柏崎様でした。引き継ぎ後は引退しようと考えていた小山様に、柏崎様は「残って一緒に会社を立て直しましょう」と提案しました。そして2021年現在、小山様のご子息・ご息女への譲渡も視野に、力を合わせて経営の立て直しをおこなっています。スピード感があり物事を即決していく柏崎様は、社内をワクワクした雰囲気で満たしているそうです。

https://batonz.jp/learn/7697/

 

まとめ

美容業界では施設数が年々増加し、競争率高まっています。顧客に愛される店舗づくりのために、衛生面の徹底、価格改善、技術・サービスの向上など、複合的な努力が求められているのです。

経営改善のためには、M&Aという選択も検討してみるといいでしょう。国内最大級の事業譲渡・事業継承プラットフォーム、BATONZをぜひご活用ください。

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