1961年の設立以降、60年にわたって機械工具・工業用品の販売を行ってきた「株式会社利工堂」が、同じく機械工具の販売を行う「吉岡機工株式会社」に会社譲渡されました。今回、株式会社利工堂の3代目社長として経営を続けてこられた小林様に、M&Aを決断した背景についてお伺いしました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 |
株式会社利工堂 |
業種 |
製造業(機械工具・販売) |
拠点 |
東京都 |
譲渡理由 |
後継者不在 |
譲受企業 | |
---|---|
社名 |
吉岡機工株式会社 |
業種 |
製造業(機械工具・販売) |
拠点 |
広島県 |
譲受理由 |
新規エリア参入・取引先拡大 |
「雇用」に悪戦苦闘しながらも、60年続いた会社
1945年に小林様のお祖父様が創業された利工堂は、1961年に株式会社化。これまでの間、親子3世代にわたって経営を続けてこられました。小林様には娘様がおられるのですが、本人の意向もあり、親族内以外で引継ぎ先を探されるようになりました。
「私自身、難病を患ってしまい、いつ仕事ができなくなるか分からない状態だったこともあり、早いうちに引き継ぎ先を決めたいという想いがありました。人を雇って後々に経営を引き継いでもらう、という考えもあったのですが、私がいつどうなるか分からない健康状態にも関わらずその決断をするのも不誠実だと思い、第三者承継という形で会社を譲り渡す決断をしました。」
経営者として長年事業に携わってきた小林様。経営する中で多くのご苦労もあったかと思いお伺いすると「小規模事業ということもあり、なかなか応募がこなかったり、雇ってもすぐ辞めてしまったりと、長期でずっと働いてくれる人材に巡り合えなかったことは、経営するうえで苦労したところですかね」とのこと。
優秀な人材ほど大手企業に流れてしまい、中小企業が慢性的な人手不足に陥ることは社会問題のひとつです。株式会社利工堂も例外ではなく、小林様が一人で事業を行う期間もあったそうです。
そんな中でも、60年という長期にわたって事業を続けてこられた小林様。事業をするうえで大切にされていたことをについてお伺いすると「お客様の立場に立ってお品物を入れさせていただいたり、お客様優先で物事を考えたりすることは、大切にしていました」とお話いただきました。
お客様視点で探し始めた後継者。希望通りのお相手とマッチング
小林様が引き継ぎ先を決められる際、『お客様が違和感を持たないような会社』であることを重視していたと言います。
「本業とは別で、新規参入として買収を考えているような会社だと、仕事をする中でどうしても分からないことが多く発生してしまうじゃないですか。そうなるとお客様にご迷惑をおかけしてしまうと思ったので、近しい知識や経験がある会社様に買い取ってもらいたいなとは思っていました。」
今回引継ぎ先に決められた吉岡機工株式会社は、株式会社利工堂と同じように機械工具を取り扱っている会社。扱う製品やクライアント先が近しいことは、お客様視点で考えたときにベストな会社だと感じたそうです。
「私がお伝えした条件をもとに会社を絞ってくださったのは辻本さんだったのですが、実際にzoomでお話したときに社長様がとても人として信頼できる方で、このまま進めていただいて、うまくいけば良いなと思っていました。」
吉岡機工様に無事引き継ぐことが決まり、社長様と契約等のためにお会いした時も、誠実でエネルギッシュな方という好印象をもったそうです。
成約サポーターを介して再チャレンジ。本成約の背景には
もともと、多摩信用金庫からのご紹介でバトンズを知り、自身で登録をしたという小林様。最初は自分でやろうと試みたものの、進め方がわからず途中で断念してしまったそうです。そんな中で、事業承継に関する東京都の補助金制度があることを多摩信用金庫よりお聞きし、バトンズのコンサルタント料も補助金対象ということを知った小林様は、今度はバトンズのサポーターを入れて再度チャレンジすることで、本成約に至りました。
今回サポートとして入っていたバトンズの辻本についてお伺いすると「すごく良くしていただきました。最初に公開した段階で反応があった会社様がいくつかあったのですが、自分では正直どう進めていったら良いかわかりませんでした。辻本さんが一個一個丁寧にサポートしてくださいましたし、私が引き継ぎ先に求める点もしっかりと汲み取ったうえで候補を絞ってくれて、とても感謝しています。私は成約までの過程で困ることもなく、スムーズに引き継ぐができました。」とお話いただきました。
最後に、吉岡機工株式会社や小林様自身の今後について、お伺いすると「吉岡機工様については、お客様を大切にさえしていただければ、私はもうそれで満足です。これまでは、私が倒れてしまうとお客様にも迷惑がかかるし、家族も困ってしまう可能性が高いということもあったので、無事に引き継ぎが終わって気分的にとても楽になりました。
私に関しては、今後も吉岡機工様に少なくとも1年間は残って仕事をさせていただく形になりますで、引き継ぎの仕事も行いながら、追々今後の楽しみも見つけていきたいです」とおっしゃっていただきました。
小林様と吉岡機工株式会社の今後のご活躍を、バトンズ一同心より応援しております!
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