■調査概要
調査概要:「2021年12月版M&A需要動向」に関する調査
調査方法:インターネット調査
調査期間:2021年12月6日〜同年12月8日
有効回答:会社・事業の売却もしくは買収について検討したことがある経営者・役員103名
*参考:2021年7月28日配信「「ポストコロナを見据えたM&Aによる成長や事業再編」に関する需要調査」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000098.000034376.html
■あらゆる業種で会社・事業の買収もしくは売却について検討
Q1.「あなたの会社が属する業界を教えてください。」(n=103)
と質問したところ、「製造業」が19.4%、「不動産・建設業」が17.5%という回答となりました。
業種 | 割合 |
製造業 | 19.4% |
不動産建設業 | 17.5% |
運送 | 6.8% |
IT情報通信 | 12.6% |
飲食食品 | 2.9% |
小売アパレル | 4.9% |
サービス業(消費者向け) | 9.7% |
サービス業(法人向け) | 10.7% |
医療医薬介護 | 8.7% |
その他 | 6.8% |
■2021年4月~2021年9月の期間での、会社または事業の買収について、28.2%が「実施」、45.6%が「検討」
Q2.「あなたの会社では、2021年4月~2021年9月に会社または事業の買収を検討もしくは実施しましたか。」(n=103)と質問したところ、「実施した」が28.2%、「検討したが実施しなかった」が45.6%という回答となりました。
・実施した:28.2%
・検討したが実施しなかった:45.6%
・検討していない:26.2%
■買収の実施・検討の理由、64.5%が「事業拡大のため」と回答
Q3「Q2で「実施した」「検討したが実施しなかった」と回答した方にお聞きします。買収の実施・検討の理由を教えてください。(複数回答)」(n=76)
と質問したところ、「事業拡大のため」が64.5%、「市場の変化への対応のため」が48.7%、「自社のウィークポイントの補強のため」が48.7%という回答となりました。
・事業拡大のため:64.5%
・市場の変化への対応のため:48.7%
・自社のウィークポイントの補強のため:48.7%
・普段ではアクセスできない会社・事業が市場に出ているため:32.9%
・普段より有利な条件で市場に出ているため:32.9%
・その他:6.6%
■2021年4月~2021年9月の期間での、会社・事業の売却について、28.2%が「実施」、32.0%が「検討」
Q4.「あなたの会社では、2021年4月~2021年9月に会社または事業の売却を検討もしくは実施しましたか。」(n=103)と質問したところ、「実施した」が28.2%、「検討したが実施しなかった」が32.0%という回答となりました。
・実施した:28.2%
・検討したが実施しなかった:32.0%
・検討していない:38.8%
・答えられない:1.0%
■売却の実施・検討理由、59.7%の経営者が「事業再編のため」と回答
Q5.「Q4で「実施した」「検討したが実施しなかった」と回答した方にお聞きします。売却の実施・検討の理由を教えてください。(複数回答)」(n=62)
と質問したところ、「事業再編のため」が59.7%、「経営不振のため」が51.6%、「将来への不安のため」が48.4%という回答となりました。
・事業再編のため:59.7%
・経営不振のため:51.6%
・将来への不安のため:48.4%
・後継者不在(事業承継):43.5%
・イグジット:29.0%
・その他:8.1%
■2019年1月から2019年12月までに、「遠距離企業の買収を完了・開始した」経営者は32.1%
Q6.「2019年1月から2019年12月の期間において実際に遠距離企業(本社所在地から地方区分の区切りを超える状態。例えば、本社が東海地方で買収先が九州地方、など)の買収を実施・開始しましたか。複数買収案件がある場合には、「すでに買収を完了した」ものがあれば優先的に選択してください。」(n=103)
と質問したところ、「すでに買収を完了した」が24.3%、「買収開始・手続き中」が7.8%という回答となりました。
・すでに買収を完了した:24.3%
・買収開始・手続き中:7.8%
・買収は行っていない:65.0%
・答えられない:2.9%
■2020年1月から2020年12月までに、「遠距離企業の買収を完了・開始した」経営者は34.0%
Q7.「2020年1月から2020年12月の期間において実際に遠距離企業(本社所在地から地方区分の区切りを超える状態。例えば、本社が東海地方で買収先が九州地方、など)の買収を実施・開始しましたか。複数買収案件がある場合には、「すでに買収を完了した」ものがあれば優先的に選択してください。」(n=103)
と質問したところ、「すでに買収を完了した」が25.3%、「買収開始・手続き中」が8.7%という回答となりました。
・すでに買収を完了した:25.3%
・買収開始・手続き中:8.7%
・買収は行っていない:62.1%
・答えられない:3.9%
■2021年1月から現在までの期間、約4割が「遠距離企業」の買収を完了・開始
Q8.「2021年1月から2021年現在までの期間において実際に遠距離企業(本社所在地から地方区分の区切りを超える状態。例えば、本社が東海地方で買収先が九州地方、など)の買収を実施・開始しましたか。複数買収案件がある場合には、「すでに買収を完了した」ものがあれば優先的に選択してください。」(n=103)
と質問したところ、「すでに買収を完了した」が25.1%、「買収開始・手続き中・検討中」が11.7%という回答となりました。
・すでに買収を完了した:25.1%
・現在買収開始・手続き中・検討中:11.7%
・買収は行っていない:58.3%
・答えられない:4.9%
■その理由、「オンライン化が進み、遠隔でも拠点経営ができるため」(66.7%)や「営業拠点を増やすため」(59.0%)
Q9.「Q6またはQ7またはQ8で「すでに買収を完了した・買収開始・手続き中・検討中」と回答した方にお聞きします。遠距離での企業買収を行った理由を教えてください。(複数回答)」(n=39)
と質問したところ、「コロナ禍をきっかけにオンライン化が進み、遠隔でも拠点経営ができるため」が66.7%、「営業拠点を増やすため」が59.0%、「事業シナジーが見込める会社が遠距離だったため」が56.4%という回答となりました。
・コロナ禍をきっかけにオンライン化が進み、遠隔でも拠点経営ができるため:66.7%
・営業拠点を増やすため:59.0%
・事業シナジーが見込める会社が遠距離だったため:56.4%
・オンラインツールの発達により、M&Aの交渉を遠隔でも行いやすいため:38.5%
・その他:2.6%
■まとめ
今回、会社・事業の売却もしくは買収について検討したことがある経営者・役員103名を対象に、「2021年12月版M&A需要動向」に関する調査を実施しました。
まず、2021年4月~2021年9月の間に、73.8%の経営者が「会社または事業の買収」を、また、60.2%の経営者が「会社または事業の売却」を検討・実施したと回答しており、2021年7月調査より高いポイントを示しました。
また、買収の実施・検討理由としては、「事業拡大のため」が64.5%で最多、売却の実施・検討理由としては、「事業再編のため」が59.7%で最多となり、双方ともに2021年7月調査と同様の項目が高い割合を占めました。
今回新たに設けた「遠距離企業の買収の実施・開始」に関する設問では、2019年1月から2019年12月に完了・開始した経営者は32.1%、2020年1月から2020年12月に完了・開始した経営者は34.0%、2021年1月から現在までの期間に完了・開始した経営者は36.8%と上昇傾向にあることが明らかとなりました。
遠距離での企業買収を行った理由としては、「コロナ禍をきっかけにオンライン化が進み、遠隔でも拠点経営ができるため」が66.7%が最多となり、遠距離企業の買収に対する関心が高まっていることが伺えます。
以上のように、買収・売却のニーズは依然衰えることはなく、オンライン化が進んだことにより遠距離にある企業も買収・売却の対象となってきていることから、選択肢も幅広くなっていると推察されます。今後も積極的なM&Aによる業界の再編や事業再構築が進められるのではないでしょうか。
■成約事例
【秋田県仙北市のタクシー会社と栃木県宇都宮市のタクシー会社→福岡県久留米市のタクシー会社】
福岡県久留米市を中心としてタクシー会社を中心に複数の事業を営む西日本通商ネクスト有限会社と同じく福岡県久留米市を地盤としたタクシー会社である丸三タクシー株式会社が共同出資という形で、2021年4月秋田県仙北市の角館観光タクシー株式会社を、6月に栃木県宇都宮市の東野タクシー株式会社を買収されました。「全国にM&A案件が出ている今こそがビジネスチャンス」と全国展開へ向けてM&Aを加速されています。
参考:https://batonz.jp/learn/7833/
参考:https://batonz.jp/learn/7824/
【東京の排水処理機器管理会社→大阪府吹田市の水処理会社】
2021年10月、東京で40年続く有限会社増澤技研を大阪府のミズカラ株式会社が引き継がれました。増澤技研は工業廃水の濾過装置を扱う「川下」の仕事で、ミズカラは地下水から飲水を作るという、いわば「川上」の仕事という意味で技術的親和性も高く、お客様も全国にいるので遠隔の企業をM&Aすることも経営戦略上の選択肢に入れやすい、というところが買収に踏み切ったのポイントでした。
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