福島県を中心に、東北・関東エリアで運送業を手掛ける株式会社ヤナイが、埼玉県で運送業を行う企業を買収されました。今回、株式会社ヤナイのグループ会社でもあり、M&Aの仲介を手掛けた株式会社エスアンドシーの簗田(やなだ)様に、買収に至った経緯についてお伺いいたしました。
効率化を強める動きが活性化する運送業界、中小企業が生き残るには
株式会社ヤナイは、東北・関東エリアに事業所を構えて物流業を行っている会社です。物流業は、コロナ前までM&Aが活発に行われている業種でしたが、コロナ禍において状況が変わってきた背景があるそうです。大手企業が物流コストを下げるためにライバル企業同士で共同配送を始めるといった「効率化」を強める動きがM&Aよりも活発化してきています。零細企業・小規模事業者を中心に採算が合わなくなってきているところもあり、簗田様のグループでも積載効率を高めていかなければ生き残れないと感じるようになったとおっしゃっていました。しかし、簗田様が積載効率を高めるために最も良い方法だと考えているのは、事業拠点をルート上により多く作ること。事業拠点を新たに作っていく手段のひとつとしてM&Aを検討しはじめたそうです。
今回、M&Aの決め手となった理由としては、事業拠点の立地が良かったことと、前社長様とコミュニケーションを進める中で意気投合したことが大きな理由だったと簗田様はおっしゃっていました。前社長様は、お父様が経営していた会社をお父様が亡くなったタイミングで親族内承継をして50年近く経営をなされていたとのこと。現在まで心を込めて事業を続けてこられましたが、簗田様は今のままでは事業縮小に伴い、経営を続けることが厳しい状況であるということをお聞きして、従業員を守りたいという想いを感じられたそうです。簗田様としては、自社の事業戦略上一致する部分があることと、そのような前社長様の想いになんとか応えたいということもあり、成約を決断したとのことでした。
物流業界は、行きの便と帰りの便の積載割合をいかに100%近くにするかが効率化の鉄則です。近年、積載効率基準の「当たり前」レベルがどんどん上がってきており、それに合わせて単価も安くなってきているため、各社しのぎを削っているそうです。それに対応できるようにしていくために、積載効率をあげて車一台あたりの売上高を上げていけるよう、今後もM&Aを含めた事業拡大・拠点拡大や他社との連携など、できることは何でもやっていきながら事業を進めていきたいとのことでした。
中小企業をよくしていきたいという想いからM&Aに取り組む株式会社エスアンドシー
M&Aのアドバイザーとしては何度もバトンズを利用している簗田様ですが、買い手として利用したのは今回が初めてだったとのこと。買い手としてネットを利用してみて難しかった点をお伺いしたところ、「ネットでは、色んな方がM&Aの取引に参加されているため、相手がどんな人なんだろう、と見極めなければならないところが難しい」とお話いただきました。一方で、バトンズはもともとM&Aセンターの理事をしていた会計事務所が参加しているため、そういった方にアドバイザーとして入っていただけると安心して進めることができるともおっしゃっていただきました。ネットM&Aならではの良さをお伺いしたところ、掲載すると登録者から色んな反応が直接返ってくるので、その事業がどれだけ求められているかなどを実感することができるというメリットがあるとおっしゃっていました。また、株式会社エスアンドシーは福島を中心に活動を行っているため、東京の買い手の方と簡単に繋がることができるのはネットならではの魅力であるとも。
簗田様自身は、もともと中小企業のコンサルティング業務を中心に行っていましたが、会計士の資格を持っていることや、財務・税務関係が得意だったこともあり、事業承継のお手伝いもするようになったとのこと。株式会社エスアンドシーのメンバーには銀行出身者が多く、中小企業をよくしていきたいけど銀行内では中々難しいというところから「中小企業を盛り上げるために良い方法は何か」と考え、今の形になったとおっしゃっていました。中小企業をよくしていきたいという想いが社員ひとりひとりに浸透している企業なので、安心してコンサルティングやM&Aの支援を依頼できますね。
事業の幅を広げ、地元の企業が良くなっていくための担い手を目指す
また、株式会社エスアンドシーは、新たな試みも始めています。「サラリーマンから会社を買って独立したいという方に対して出資と経営サポートを行う」というスキームで9月に初成約をしたエスアンドシー。M&Aをするときに売り手が重視しているのは、条件面よりも「誰がその事業の責任者としてやっていくのか」という部分。最近は、サラリーマンから事業承継して経営者デビューをすることに憧れている若者が増えてきたという実感が簗田様にはあるそうで、そうした方を応援していく取り組みも今後は力を入れていきたいとのことでした。
この新たな事業は、M&Aをしたあとの買い手側も従業員もよくなってほしいという想いを持ってM&Aを支援し、成約後も株式会社エスアンドシーがコンサルタントとして中長期的なサポートを行なっていくという、世の中のニーズと自社の強みをうまく合致させた事業ですね。株式会社エスアンドシーのような中小企業支援の経験が豊富な会社が、会社を買う個人の方の経営をサポートするという前提でM&Aを進めることは、個人M&A市場がより活性化していくキーポイントとなるように感じました。
今後の株式会社エスアンドシーについてお伺いしたところ、 「地元の色んな企業が連携をして、お互いが良くなっていくための繋ぎ役」を担っていきたいという想いがあるそうです。M&Aは、そのビジョンを実現するためのひとつの手段として機会があれば積極的に行っていきたいとおっしゃっていました。
エスアンドシーの今後の発展をバトンズ一同、応援しております!
この案件を担当した株式会社エスアンドシーの紹介ページ
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