数々の逆境を乗り越えてきたことなど微塵も感じさせない…柔和で笑顔がチャーミングな須田様は、インターネットを介して日本全国に標準的なターンテーブルを始め、大型ターンテーブルや特殊ターンテーブルを受注販売している埼玉県の機器メーカー・有限会社昭屋テクノの経営者。そんな須田様が絶大の信頼を寄せるのは、アドバイザーの株式会社ユナイテッド・アドバイザーズ 小松史朗様。本日は、おふたりご同席の下、二人三脚で歩んでこられた譲渡先決定に至るまでのお話を伺ってきました。
上場企業を脱サラして始めた、ターンテーブル製造という特殊な家業
須田様が昭屋テクノを創業されたのは今から18年前。長年勤められていた上場企業を辞めての独立だったそうで、設立当初はサラリーマン時代に営業として携わっていたシリンダー等の精密加工品を主に扱っていらしたとのこと。
そして、少しずつ事業が軌道に乗っていくに従い取り扱い分野を拡げる中で、「何か変わったことがしたい」と思って目をつけたのが、現在、特化して扱っているターンテーブルだったそうです。
大手の機器メーカーが敬遠しがちな細かい要望も全て叶えることを強みとし、気がつけば個別性の高いノウハウが蓄積すること300件…インターネットを活用して日本全国に販路を拡げることにも成功し、当該分野において異色の存在感を放つ特殊機器メーカー、それが昭屋テクノという会社でした。
もちろん、ここまで順風満帆にきたわけではなかったとのこと。某大手航空会社への納品物にトラブルが発生したり、下請け先である中国メーカーと品質管理問題で苦労したりと、様々な逆境を唯一の社員である奥様と一緒に乗り越えた結果として今があるそうです。
そんな須田様が、後継者探しを始めた理由はご自身の年齢に依るところが大きく、医療関係に進まれたお子様への事業継承は難しいと理解はするものの、自分の息子のように愛情を込めて育ててきた昭屋テクノを無くしたくないと、悩んだ末に辿り着いたのがM&Aという選択肢でした。
ところが、買い手探しを始めた当初、「まずは…」と相談にいった銀行では苦い思いをされたそうです。「銀行は、大企業の価値を評価するのと同じやり方で、私たち中小企業のことも評価しようとするんです。
でも、私たちの経営は大手のそれとは全然違います。彼らは、大きく利益を出して、余裕が出たお金を何に使おうか…と考えるけれども、私たち中小は厳しい経営状況の中で、どうしたら悪くならないか…と考えているレベルなんです。だから、数字の部分だけを見られて“価値が低い”と言われるのは非常に残念でした」とのこと。
そんな銀行の対応に肩を落としていた矢先、お付き合いのあった大和証券の担当者の方からバトンズのことを勧められ、それが、かけがえのない戦友となるアドバイザーの株式会社ユナイテッド・アドバイザーズ 小松史朗様との出逢いへとつながっていったのだそうです。
アドバイザーと二人三脚で歩んだ、株式譲渡へ向かうデコボコ道
それでは実際、おふたりはどのようにして案件を進めてこられたのか…そのやり方をお伺いすると「まずは、私が買い手候補の企業を調べて、ふるいにかけることから始めました」と小松様。
「バトンズに登録してから5件もの問い合わせがありましたが、最初はネット上で概要を見て、必要に応じて直接会ってお話しを伺うことで、須田社長の主義に合うかどうかを確認していました」とも。
そんな小松様のスタイルは須田様にとっても大変やり易かったようで、「私は、機械のことは何でもやってきたので、ある程度のことはわかります。営業も品質管理も資材調達も…全部自分でやってきました。
ですが、経理だけはやってこなかった。だから、小松さんが法律や経理に関する難しい言葉を翻訳してくれて、私は判断すればよいだけだったというのは、本当に安心感がありました。彼のような、中小企業のことがよくわかっていて、私たちの立場に立って適切に説明してくれる存在は非常にありがたかった」とのこと。
おふたりは、非常にコミュニケーションがうまく取れたそうで、「だから、いろんなことを相談してもらえたし、本音で話してもらえました」と嬉しそうに小松様も微笑まれていらっしゃいました。最終的に須田社長が選ばれたお相手は、フリクト日本株式会社 石井義郎様だったのですが、決め手となった理由は「自分の会社とやり方が似ていたから」なのだとか。
「彼らはスウェーデンのポンプを仕入れて日本全国に販売しているのですが、私のビジネスも同じスタイルだったので、譲渡後も上手くやっていただけるだろうと思いました」とのこと。
しかしながら、交渉自体は一足飛びではいかなかったそうで「小松さんという第三者的な立場の方が間に立ってくれて、先方から譲歩できるポイントを引き出しくれなかったら、まとまるものもまとまらなかったと思います」とも。
たとえ満額解答には至らなくとも、最低限の答えを持ってきてくれる…利益が相反しがちな買い手様と売り手様との難しい交渉において、いかにアドバイザーの存在が頼りになるのかが伝わってまいりました。
「中小企業でも羽ばたける」実は身近にあったM&Aという選択肢
約8ヶ月に渡るバトンズでの後継者探しを終え、ご自身が「息子」と可愛がる昭屋テクノの譲渡先が決まった須田様に、今の率直なお気持ちをお伺いしたところ、こんなお言葉をいただきました。
「多くの人はM&Aというものを、大きな会社同士が何億円も何兆円も出して成立させているイメージが強いと思うんですが、私みたいな中小企業でもM&Aという選択肢を採ることができるんだということは、もっといろんな人に伝えたいです。
どんなに小さな会社でも、遠慮なく手を挙げて、自分の会社の価値を認めてもらって、次に羽ばたいていけるんだということを知らずに諦めているケースもあると思うんです。でも、実は小型のM&Aは想像しているよりも身近にあって、売り手も買い手も、お互いに利益を得られることもあるんです。だから、もっともっと多くの中小企業の社長に一歩踏み出してほしいと思います」
ちなみに、事業譲渡が決まった際の、奥様の反応はどうだったのかをお伺いすると、「遅かったねぇ…と言われました」と笑っておられました。
「とはいえ、家族のために稼がないといけなかったから辞められなかったのに、勝手だなぁ…とは思うんですが、老後の面倒を見てもらう相手なので素直にいうことを聞いているんですよ」とも。
今後は引き継ぎも兼ね、顧問として半年間はご在籍されるそうですが、その後は個人事業で機関車の模型などを取り扱うような事業を思案中とのこと。
「ボケないようにね、何かやっておかないとね」と明るく笑う須田様と、それを温かく見つめる小松様…そんなおふたりは、ア・ウンの呼吸でM&Aを成し遂げた素晴らしいチームだったのだと感じました。
小松様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
この案件を担当した株式会社ユナイテッド・アドバイザーズの紹介ページ
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