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熊本市内のエステサロンが手探りで見出した「ならでは」のM&Aとは

2021年09月17日

2016年4月…熊本県と大分県で相次いで発生した地震は最大震度7を観測し、その復旧活動には日本各地から多くのボランティアが駆け付けました。その数、延べ12万人。そして、そんなボランティアのひとりとして、東京から現地・熊本に赴き、「熊本のために、もっと何かしたい」と考えた結果、市内に総合エステサロンを開設したのが、現在も東京で総合建設業を営まれている株式会社 千斗の代表取締役 吉田 斉史様です。そんな吉田様が、アドバイザーを立てずに、手探りながらも自力で実現させた「ならでは」のM&Aについて、お話を伺ってまいりました。

熊本の震災を機に立ち上げた、市内好立地のエステサロンは初期投資2,000万円

東京で総合建設業を営む吉田様は当時、その知見を活かして瓦礫の撤去作業等を手伝うべく熊本に降り立ちました。そして、ボランティア活動を続ける中、震災で事業が立ち行かなくなった人や職を失った人がいるという話を聞くにつけ「何か、もっと自分ができることはないのか」と悩み考えた末に「少しでも現地企業に発注したり、現地の雇用を生み出せたりできたら」と立ち上げたのが、今回の譲渡対象となった総合エステサロン「Bellina」でした。

初期投資は、なんと2,000万円。なぜ、そんなにも高額な投資をして店舗を作ったのか。そもそも、なぜエステだったのか。不思議に思って理由をお伺いすると「広めのテナントをスケルトンから作ることで、地元の企業に対する多くの発注が叶いました。また、体育館等に避難している被災者の方々が、体を動かせないことからエコノミー症候群に陥るケースがあるとも聞いたので、そんな方々にマッサージを提供できたらと思い、エステという業種を選んだんです」とのこと。こうして生まれた「Bellina」は、熊本の企業によって造られ、熊本のスタッフによって運営され、熊本の市民に愛されるサロンとなりました。

コロナ禍を受けて決断した事業譲渡は、アドバイザーを立てずに全て自力で遂行

Photo by Camille Brodard on Unsplash

とはいえ、総合建設業界で経営者として歩んでこられた吉田様にとって、全く異なる畑であるエステサロンという事業を、東京から遠隔でマネジメントしていくことは、決して簡単なことではありませんでした。

「私は、出張でサロンに行った時は、必ずお客様の靴を磨いて揃えるようにしていました。なぜなら、エステの施術を終えて再び靴を履く時に、もしも自分の靴が綺麗に磨かれていたら、きっとお客様は喜んでくださるだろうと思うからです。私は、そんなお客様の“ちょっと嬉しい”が増えていくのを見るのが楽しいんです。そして、そういうサロンをスタッフと一緒に築き上げたいと思っていましたが、これを現場に根付かせるには根気と時間が必要で、月に一度の出張だけでは不十分だと感じていました。ですが、そんな折にコロナが始まって。本業である建設業も含めて会社全体の業績が厳しくなりました。このままでは、いろんな人に迷惑をかけてしまう。中途半端に続けるよりは、私よりも経験値のある経営者にサロンを託し、自分は本業に集中すべきだと判断したんです」と語る吉田様は、日経新聞の記事でバトンズのことを知るや、早速行動に移されたそうです。

績が厳しかったので、M&Aにあまり費用はかけられないと思っていました。ですから、大手のM&A会社に高額の手数料を払う余裕はありませんでした。バトンズは、自分が手を動かせば低額で物事を進めることができます。アドバイザーは立てませんでした。金額の問題もありましたが、誰かを間に挟むより、誰よりもサロンのことを知っている自分が直接働きかけた方が、イメージに合う人を見つけやすいだろうとも思ったからです。サロン立ち上げから現在、未来に至るまでの様々な出来事や、その際に抱いた想いを1〜2時間で誰かに伝え切るのは無理なので…」と笑う吉田様に、難しかったことや困ったことはなかったのか、お伺いすると「契約書関連や、エステ調剤の変更、電話の解約など、譲渡にあたって必要な細々とした事項を抜け漏れなく処理するのは大変でした。やるべきことのチェックリストなど存在しない世界ですから、後から未処理だったものが見つかったりして慌てたこともありました」とのこと。「全て自分でやるのは確かに大変でしたが、結果として非常にやり易かったですし、しっくり来ました」とも。

最後の決め手は「従業員面談で、最もスタッフの支持を集めた人だった」から

TumisuによるPixabayからの画像

そんな、独自のやり方でM&Aをまとめ上げた吉田様。最も印象的だったのは、買い手候補の絞りこみ方でした。ご自身で心を込めて書き上げた記事は、登録から1ヶ月で13件もの問い合わせを呼び、その反響の大きさに吉田様も驚かれたそうですが、条件を満たす候補者の中から、最後の最後、たった一人に絞り込んだ手法は、なんと従業員面談。

M&Aを検討する際、従業員に告知するのは終盤になるケースが多い中、吉田様は初期の段階から従業員に全てを明かしていたそうで、その理由をお伺いすると「ずっと一緒にやってきた仲間に前もって話さないのは、すごく冷たいと思ったんです。もちろん、身売りされるような気持ちになっただろうし、一時的にモチベーションも下がったと思うのですが、隠すよりはいいと思いました。譲渡されると知れば転職したいと思う従業員も出てくるかもしれません。でも、黙って進めてしまったら、彼らに次の行き先を探す時間を与えてあげることもできません。だからこそ、現状を包み隠さず話すことが重要だと思いました。また、できるだけ彼らの気持ちを尊重したかったので、彼らが “この人となら、一緒にやっていける”と思える人に決めたいと思いました。その方が、買う側もやり易くなるだろうな、とも。どうせ売るんだから、あとは関係ないという姿勢では絶対にうまくいかないと考えていました」とのこと。

こうして選ばれた「Bellina」の後継者は、株式会社安永の安永晋康様。創業100年を超える美容系の老舗企業で、豊富な経験値と明確なビジョンをお持ちの安永様に、スタッフはもちろんのこと、吉田様も強く惹かれたのだとか。

「安永さんにも、経営データを全て見せて、赤字であることも正直に伝えました。その方が、お互いにスッキリするし、気持ちよく進められると思ったので」とも。初めから終わりまで、そして、従業員から買い手まで、いつでも、誰に対しても、誠実でオープンな姿勢を貫き通された吉田様のM&Aは、事前の知識ゼロ。ほぼ手探り状態の中でイチから創り上げたものでしたが、吉田様「ならでは」の皆に優しいプロセスで進められました。そして、こうして見事、理想のお相手と結ばれて、皆が嬉しい結果となった事もまた、非常に吉田様「ならでは」だと感じました。これからしばらくは、本業に専念されるそうですが、もともとサービス業に対して熱い想いをお持ちの吉田様。時機が来たら、再びエステサロンを運営したいのだと、笑顔で語っておられました。

そんな吉田様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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