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ネクストキャリアで学習塾経営。M&Aで多角化を目指す。

2021年07月20日

人生100年時代。転職や起業も一般化しつつある現代で、M&Aで会社を買うという選択肢はどういう心持ちで取り組んでいくべきなのか。2021年5月に東京都杉並区で70年続く学習塾「矢島塾」を買収された株式会社知伝の石川恭彦様にお話を伺いました。

資産運用会社を引退。小規模M&Aで目指す次のステップ。

「大学は文学部英文科におり、学校の先生になるつもりでした。」そうおっしゃる石川様ですが、実際の進路は保険会社。時はバブル全盛期。各社の新卒採用も活況で、保険会社に進路を決めた理由は本人曰くかなり大雑把なものだったそうです。「大学の門を出た左手に保険会社があって。ここなら昼休みに学食にも来れるな、そう思って就職を決めました。」保険どころか経済のこともよくわからないまま財務部門に配属されて、振り返れば資産運用の仕事を30年も続けてきた、と笑いながら語る石川様。

その後、縁があって石川様は外資系の資産運用会社に転職しました。プライベート・エクイティなどのオルタナティブ投資に特化したこの資産運用会社での勤務は15年になりますが、目の疾患で終始パソコンの画面に向き合う仕事は難しくなってしまったとのこと。手術をされて改善はしたものの将来的に会社へ迷惑をかけるわけにもいかない。そこで、石川様は会社に後任者の採用を願い出て、自分はその後任者が育った段階で引退することを決めました。

「マニュアル化できないノウハウもあるので、引き継ぎは少し長い時間をかけています。」現在は2022年3月の退社を見据えて後任者の育成を進めていますが、その後のライフステージを思案する中で、新型コロナウイルス禍をきっかけにテレビや新聞などでよく見かけるようになった事業承継や小規模M&Aというテーマに興味を持ち始めたそうです。

英会話スクールの買収と、矢島塾との出会い。

Photo by Christin Hume on Unsplash

石川様はこれまでの仕事柄、有価証券投資の知見があるので、会社を辞めた後は株式投資などを専らの生業とする選択肢もあるとのことですが、高齢化などによる事業継承の問題を深く認識したことをきっかけに、自分に何かできることはないかと考えました。「社会への恩返しがしたい、という気持ちが強く芽生えました。自分の経験や知識を生かして次の世代に貢献できることはないか。地域社会を盛り上げるようなことができないか。自分の手が届く範囲で、現場で働く方々を支える経営の仕事がしたいと考えました。」

そこでM&Aに関わるサイトをいくつか見始め、こうした交渉では法人格があった方が良いだろうとの考えから2020年10月に自身の会社として株式会社知伝を立ち上げ、M&Aや事業継承をより本格的に検討し始めたそうです。

石川様は、自己資金の範囲でできる小規模な事業継承やM&Aをミニマム・プライベート・エクイティと呼んでいます。なんらかの事情で存続が困難な事業を財務面や経営面から支え、その結果として雇用の維持や地域貢献につながるような案件を模索するので、当初は多様な業種の案件に取り組みました。

会社設立から数カ月、自分なりにサイトを通して幾つかの案件について、売り手とのコンタクトや交渉を重ねましたが、様々な理由から成約にはつながりませんでした。そんな中、大学時代に教師を目指していたことが思い起され、学習塾や英会話スクールなどにも目を向けた結果、とある横浜の英会話スクールの譲受けが決まり、2021年4月には実際にオーナーとして経営を開始しました。譲渡前から勤務している従業員を全て引き継ぎ、雇用の維持、生徒へのサービス提供を継続するというご自身の目標に沿ったもので、現在は地域密着型の独自ブランドの英会話スクールとして名称やロゴを刷新、広告活動を進めているそうです。

そんな折、さらにバトンズで他の案件を探していたところ、今回引き継がれた矢島塾に出会いました。最近は個別指導の塾が多い中でクラス単位の授業を行っているという特色があり、生徒募集を積極的にしなくてもクチコミだけで生徒を集めてきた地域での知名度がある学習塾です。矢島塾をこれまで率いてきた谷口様は、お年を召されているとはいえ、まだまだ現役で生徒を教えていらっしゃいます。そんな谷口様と共に歴史ある矢島塾の看板を守り育てていきたいという思いから、石川様は「一緒に矢島塾を育てて、100年企業にしていきましょう」と買収に名乗りを上げました。

大切なのはパートナーである売り手の気持ち。末長く共に事業を伸ばしていく秘訣とは。

TumisuによるPixabayからの画像

石川様が矢島塾に注目した主な理由は2つ。営業活動を積極的に行えば事業を伸ばす余地があることと、長年にわたり難関志望校への合格という実績をあげてきた学習塾としての実力です。矢島塾は潜在的価値が高いと石川様は判断し、その上でM&Aのスキームを検討しました。矢島塾の経営母体である有限会社について即時譲渡ではなく、段階的に財務状況を整理しながら、双方が無理なく引き継ぐことができる契約形態を考案し、専門家の助力を受けて契約書を作成の上、成約に至りました。このようなM&Aスキームの考案は、長く投資の仕事に携わる中で石川様が身に着けた企業分析、会計税務、法務などに関する知見が活きたポイントでした。

今後、石川様は矢島塾の潜在価値の顕在化に向けて、これからも塾の運営を引き受けてくださる谷口様と時間をかけて相談していきますが、その中で最も大切なことは言うまでもなく谷口様との信頼関係だと考えているとのことです。例えば、矢島塾では他にあまり例を見ないほどの授業料の家族割引特典を提供していますが、これは家計への子供の学費負担を配慮された塾の方針によるものだそうです。「経営である以上、収益は大切。でも引き継ぐものは70年の歴史が紡いだ矢島塾の事業文化と精神です。家計への配慮が矢島塾の方針なら、これからもこうした特典の提供は続けるべきだし、そうした矢島塾の伝統と歴史への敬意を示して初めて後継者として谷口先生の信頼を得られるものだと思います。」

M&Aの先に目指す事業の形。

石川様は、矢島塾と既に経営を開始した英会話スクールに加え、事業間での相乗効果が見込まれるM&Aや事業譲渡を引き続き検討していきたいとのこと。

「資産運用の仕事は、資金の出し手である投資家のために利益を最大化することが使命であり、投資家が企業に効率化や合理化による株主価値の向上を要求することは、私にとって揺るがない正当なものです。でもその半面、こうした投資家の期待に応えるために経営が人件費を圧迫すれば、従業員のモチベーション向上は後回しになってしまう。残念ながらこうした状況は企業の大小を問わず、従業員からの不満やモラルの低下につながる要因になると思います。スケール・メリットのない中小規模の事業では効率化や合理化も自ずと限界があるので、むしろ小回りが利くことで事業環境の変化への迅速な対応や地域固有のニーズの取り込みなどによる付加価値の創出で事業価値を高める必要があると思います。これを実現するには、現場で働くスタッフの協力が不可欠ですから、自分がオーナーとなる事業では資本提供者である私と従業員間の利益配分バランスを工夫することで、従業員が収益向上への一体感を感じ、よりよい成果を目指して一緒に考え行動する、そんなチームワークのある職場をつくってみたいです。その結果として良質なサービスを地域に還元できれば最高ですね。」

『知識や技術を次世代に伝えるパートナー』株式会社知伝として、石川様の新たなる挑戦が始まりました。

 

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