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流動比率の目安とは?どう活用すればいいかを解説

2021年07月03日

会社の財務諸表から会社の状態を読み解く財務分析の方法として、指標である流動比率を求めることがあります。流動比率とはどのようなものなのか、流動比率の目安はどのくらいなのか。詳しく解説します。

流動比率とは:会社の安全性を判断するための指標

流動比率とは、一体どのような指標なのでしょうか。また、どのように活用すれば有益なのでしょうか。

流動比率の概要

流動比率とは、貸借対照表の流動資産と流動負債の比率から会社の短期的な安全性を判断するための指標のことです。端的に言うと、流動比率という指標を求めることで、この会社が短期的に安全か=問題なく債務の支払いをしていけるかが確認できるようになります。

流動資産とはすぐ(1年以内)に現金化することができるもので、流動負債とはすぐ(1年以内)に支払うことが必要となる債務をいいます。この比率を求めることによって、企業がいまある手持ちの資金からすぐに債務を支払うことができる状態なのかを確認することができます。

流動資産

流動資産とは、貸借対照表科目の分類の中で、資産に分類されるもののうち、現金もしくはこれに準じる程度に1年以内の短期間で現金化しやすいもののことをいいます。貸借対照表の中では左側に表示される科目のうち、資産の部に属するものです。

流動資産には次のような勘定科目のものがあります。

  • 現金・預金
  • 受取手形
  • 売掛金
  • 棚卸資産
  • その他流動資産
  • 貸倒引当金

流動負債

流動負債とは、貸借対照表の分類の中で、負債に分類されるもののうち、1年以内に支払いの期限が到来する債務のことをいいます。貸借対照表では右側に表示され、負債の部に属するものです。

流動負債には次のような勘定科目があります。

  • 買掛金
  • 支払手形
  • 短期借入金
  • 長期借入金
  • 未払金
  • 未払費用
  • 前受金
  • 預り金
  • 前受収益

流動比率の計算方法

流動比率の計算方法はシンプルで、「流動資産÷流動負債×100(単位%)」で求めます。

たとえば、流動資産が200,000円、流動負債が100,000円である場合には「200,000÷100,000×100=200%」となります。

この数字が100%を超えているということは、1年以内に支払うべき負債を1年以内に現金化できる財産でまかなえる状態であるといえます。そして、流動比率が高ければ高いほうが、流動負債を支払うことができる可能性が大きいため、流動比率は基本的に高いほうが望ましいです。

ただ、数字の上での流動比率は高くても、売掛金の中身を見てみれば回収不能になっている債権があるという場合もあるため、注意をしておく必要があるでしょう。

流動比率の望ましい割合は

流動比率について望ましいとされる割合は、一般的には200%であるといわれています。

なぜ200%なのか

どうして流動比率は200%が望ましいとされるのでしょうか。1年以内に支払義務のある負債を、1年以内に現金化できる流動資産で返済できる状態なのであれば、100%でも良いように思えます。しかし、支払いは現金でしなければいけない一方、現預金以外の資産を現金にするためには時間がかかることがあります。

場合によっては流動負債を払うために流動資産を早期に換金する必要が出てきます。

たとえば、2カ月後に支払うべき債務を支払うための現預金がない場合には、8カ月後に支払われる売掛金を担保に現金を借りるファクタリングの利用を検討しなければならない、というケースもあります。

早期の現金化をするためには、ケースによって簿価の半分程度でしか売却できないようなものもあります。そのため、一応の基準として200%が基準となるのです。

しかしあくまでも一般論であり、小売業や飲食業など、現金の回収サイクルが早い業種であるような場合には比率が低くても問題ありません。また、現金の回収サイクルが遅く早期に材料などの仕入れが必要となる建設業のようなケースでは、200%よりも多めの数字を基準にすべきことになります。

そのため、現金の回収サイクルについての指標である売上債権回転率のような指標とあわせて検討することも必要となります。

流動比率が高ければそれでいいのか

一方で、流動債権比率が高すぎるのも問題であるケースがあります。

流動負債が残っているというのは、すぐに支払いをしなくても必ず支払いをしてくれるという信用があることが前提です。

もし信用のない会社である場合には、掛け取引ができず、現預金での即時決済しかできないことがあるとみることもできます。

また、事業を大きくするにあたって借金などが必要である場合もあり、負債が少ないことが必ずしも良いといえるとは限りません。

会社が多額の現預金をためているような場合は、効率的な資産の活用ができていないのではないか、という判断をする必要もあります。

流動比率が100%ない時は

流動比率が100%ない時には、流動負債に対して十分な返済資金が準備されていない状態である可能性が非常に高いといえます。

この比率を検討するシチュエーションごとに、早期に対策を練る必要があります。

自社についての検討の場合、短期的な資金調達ができる方法を確保したり、売上債権の回収期間を短くしたりする、債務の返済の期日を変更して返済期間を長くするなどといった必要があります。

取引先の状態についての検討しているのであれば、相手に返済に問題がないかを確認するとともに、場合によっては代表者個人などの連帯保証をしたり、債権放棄やリスケに応じたりなどする必要があります。

その他の安全性を見る指標

流動比率は企業の安全性を見るための指標ですが、企業の安全性を見るための指標には他にも当座比率や固定比率という指標があります。それぞれを詳しくみていきましょう。

当座比率

当座比率は、流動比率の計算である流動資産についての数値を当座資産に置き換えたものです。

すぐに債務の返済に用意できる資産に絞って考えられた指標ですので、より安全性についての評価を精密にすることが可能となります。

当座比率については100%を目安にすることになります。

当座資産

当座比率は「当座資産÷流動負債×100」で計算します。

計算のもとになる当座資産とは、現預金や売掛金、受取手形、未収金、有価証券などの、すぐにお金に換えられる資産のことです。

流動比率と当座比率の違い

流動比率と当座比率には、どのような違いがあるのでしょうか。

流動比率の分子となる流動資産には含まれて、当座比率の分子となる当座資産には含まれない勘定科目としては「棚卸資産」が挙げられます。棚卸資産はつまりは在庫のこと。業態にもよりますが、多数の在庫を抱えることが前提の会社では、数字が大きくなることになります。

そのため、流動比率の一般的な適正数値は200%、当座比率の一般的な適正数値は100%となっており、両者にはこの数字に大きな違いがあります。

また、当座資産は現預金とすぐに現金に換えられる勘定科目に属するものばかりなので、この数字が適正であれば、あえて流動比率を検討する必要もありません。当座比率は流動比率よりも、企業の安全性をシビアに判断する数値であるといえます。

当座比率を検討した上で、それだけでは安全性を判断できない場合に流動比率を検討、流動比率の数字が本当に適正なのかを判断するために、分子になっている棚卸資産の内容を精査する(不良在庫の存在の有無など)といった判断も必要な場合があるでしょう。

固定比率

流動比率とは異なり長期的な安全性を判断するための指標として、固定比率という指標があります。

株式会社の資金調達手段として考えられるのが、出資をしてもらうことと借金をすることです。借金の場合には返済の必要がありますが、出資の場合には返済をする必要がありません。そのため、返済の必要がない出資による資金である自己資本が多いことは、安定性の判断に影響します。

固定比率の計算は「固定資産÷自己資本×100(単位%)」で計算され、100%以下になっていることが目安とされています。

固定資産

固定資産の計算の基礎になる固定資産は、決算日から1年以内に回収が予定されてない資産である、土地・建物・設備機械などの無形固定資産が該当します。

まとめ

流動比率は企業の安全性を判断するための指標で、一般的には200%以上あることが目安とされています。高い方がよいとされていますが、場合によってはそうではないことも。数字の判断にあたって、売掛金・棚卸資産の中身(回収可能性・不良在庫の存在)などを精査する必要などもあることに注意をしましょう。

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