ノウハウ

2018.11.08

【経営者、経営企画の方向け】事業拡大の一環として小さな事業を買うという選択肢

▼近年、事業拡大の効率的な手段として注目されるのが、小さな事業を買ってその事業が培ってきたノウハウやラインを基盤とする方法です。効率のみならず事業拡大に伴うリスクの軽減にもつながる、小さな事業を買うという事業拡大戦略のメリットを見ていきます。

 

 

小さな事業を買うことはさまざまな事業拡大スタイルに対応

 

既存事業の規模拡大や強化、業務の多角化や新規事業への参入など、事業拡大といってもさまざまな意味合いが考えられます。そしてどの拡大方針をとっても、仮に現存のリソースを使って事業拡大に関わるすべてをゼロから始めようとすると、多大な労力と時間が必要となります。設備投資から人材の確保と教育、ノウハウの体系化、販路や顧客の確保など、膨大な作業量と時間が必要であり、それに伴うリスクも発生します。

そんな中で注目を浴びているのが、M&Aを事業拡大に活用する方法です。かつて日本では、M&Aそのものに対してネガティブな誤認識がありました。大企業のマネーゲーム、非友好的な経営戦略などとみなされ、特に中小規模企業からは「うちには縁のない話だ」と敬遠されがちでした。

しかし近年その誤認識は解消されつつあり、中小零細規模の会社が事業を誰かに継いでもらおうという風潮が広がってきました。中小規模企業にとって(もちろん大企業にとって)も有効な経営手段の1つとして捉えられ始めてきています。その理由は、事業拡大をゼロスタートする際と比較しての効率の良さとリスクの軽減です。

多くのビジネスは、事業拡大はなるべく少ないリスクで、短期間に利益に結び付けたいはずです。事業拡大プロセスに伴う時間や手間などは可能な限り省きたい部分であり、既存のビジネスモデルを持つ小さな事業を買い取って事業拡大に生かす方法は、大きな会社だけでなく、企業の1部門や中小企業にとっても効率的な経営戦略であると認識され始めました。

M&Aで事業を買うには、会社を合併する方法、株式や持分を買い取り経営権を手にする方法、資産や営業権など事業の一部だけを譲受する方法などがあります。ただ、小さな規模で行われる引き継ぎでは、そのほとんどが株式や持分の買い取り、事業の一部を譲受する方法で行われます。

 

小さな事業を買うことで享受できるメリットとは

 

小さな事業を買い取って事業拡大を図る場合、ゼロスタートから事業の拡大する場合と比較すると、具体的に次のようなメリットが考えられます。

・時間の短縮

設備投資やノウハウの確立、顧客や販売ラインの開拓、人材確保と教育などを、買い取った事業から引き継ぐことによって大幅に短縮することができます。

・無形資産を受け継ぐ

ノウハウ、人材、販路、顧客、技術、商標、特許や権利などのさまざまな無形資産を受け継ぎ、そのまま事業拡大に生かすことができます。

・有形資産を確保

機械、設備、在庫や株、不動産などといった有形資産を受け継ぐことができます。

・リスクの削減

買い取った事業がすでに確立している販路や事業ラインを受け継ぐことによって、新規顧客や販路を獲得できないリスクや、事業拡大開始に必要なプロセスに時間を要することによってビジネスチャンスを失うリスクなどを減らすことができます。

・効率よく利益を追求できる

何もない状態からの事業拡大の場合、利益にたどり着くまでにはさまざまな試行錯誤や失敗を乗り越える必要があります。引き継いだ事業からの前例から、例えば仕入れ値はいくらなのか、粗利は何%か、など目安を見ることによって、効率良く利益まで結びつけることが可能となります。

・シナジー効果が期待できる

有形、無形にかかわらず経営資源を有効活用することや、異なる事業を組み合わせることで付加価値が生まれ、更なる相乗効果(シナジー効果)が期待できる可能性があります。最近は、組み合わせだけでなくアイデア一つで引き継いだ事業をガラリと成長させる経営者の方も出てきています。

 

まず初めに情報収集の大切さ

 

事業拡大のために事業を買うことが注目され始めた理由とメリットを挙げましたが、事業を買う際に最も大切なことは、M&Aでは買収監査ともいわれるデューデリジェンスです。

財務内容や法的観点、組織の姿や財務活動などさまざまな面から調査し、正当な市場価値やリスクなどの情報を徹底的に集めることはもちろん、企業カルチャーが合っているかなど、ソフト面の情報も大切になります。

より多くの情報を集めることによって最適な事業を見つけ、M&Aを成功に導くことができるのです。