愛知県名古屋市でIT関連事業を営む株式会社PELの三原昂洋社長は、2021年6月に観光地で銘菓の製造販売を営む事業を買収されました。トレンド化しつつある異業種買収ですが、どんな背景から買収に踏み切られたのでしょうか。今後の事業拡大戦略と合わせてお話を伺いました。
店舗型ビジネス×データプラットフォーム事業にトライするため、M&Aを開始
元々、ITソリューションを扱う一部上場企業で働かれていた三原様。サラリーマン時代から独立を考えていたため、3年ほど働きながら準備をした後、株式会社PELを2021年6月に立ち上げました。株式会社PELはIT関連サービスの提供やコンサルティングを事業としており、今回は自社で始めるプラットフォーム事業の実証店舗とするため、有名な観光地の銘菓店を買収されました。
バトンズで探していた検索条件としては、東海3県であること、店舗があること、観光地であることの3つを軸にしており、いくつかの案件が該当しました。一つひとつ概要を確認していったところ「地元の名物として根強い人気があり〜」というところからすぐに今回の店舗に興味を持たれたとのこと。担当アドバイザーだった株式会社ナゴヤM&A・エフピーセンターの富永伸郎様と連絡を取りつつも、独自のリサーチを開始。実はこの観光地には今回買収した店舗以外にも同じ銘菓を扱うお店があったので、三原様は自ら食べ歩きもされました。その中で、やはり今回買収されたお店の銘菓が一番美味しく知名度も高かったので、すぐに買収に向けて本腰を入れられたそうです。
買収時の検討ポイントは立地・知名度・取引先
実際に前オーナーにお会いして、今後取り組みたいビジネスや銘菓事業をどのように拡大させていきたいかを丁寧にお伝えになった三原様。前オーナーも思い入れのある事業を次世代へ残していってくれることをとても重視していたので双方の思いが合致し、とんとん拍子に交渉が進んでいきました。
交渉における確認の中でお店の味と観光地という立地以外に三原様が注目されたのは仕入と取引先です。より広い仕入先が確保されており販売先が分散されていると、M&Aにより特定の取引先から取引が断られてしまうことになっても、材料が確保できなくなったり、売上が大きく落ちるリスクが低いため、引継ぎ後も安定した経営ができます。飲食店などの引き継ぎを検討される方は、ぜひこの視点で気になる案件をチェックしてみてくださいね。
予期せぬトラブルもM&Aアドバイザーとクリア!円満な事業引継ぎに成功
サラリーマン時代から飲食店のコンサルティングをしていた三原様。飲食店の店舗経営ノウハウはお持ちであり、スキームも事業譲渡という事業の特定の範囲を指定して買収する手法を選択したため、M&Aの交渉についても困った点は少なかったとおっしゃっていました。しかしながら、一通り条件についての交渉もまとまった基本合意契約の後、いざ不動産を引き継ぐとなった段階で不動産会社へ今回の事業承継について説明したところ、賃貸契約の引継ぎにストップがかかりました。店舗が観光地にあったこともあり、地元の組合への確認が必要だったのです。そこでアドバイザーの富永様は親身になって動いて各所の調整に走ってくれたので大変助かったとのこと。事業運営には慣れていても、M&Aとなると予期せぬトラブルに遭うこともあるので、そんな時にM&Aアドバイザーの力が借りられると安心ですね。
また、前オーナーは今回の事業譲渡を終えたら店舗から引退する予定だったとのこと。飲食業のコンサル経験があり、経営に自信はあったけれども職人ではない三原様。惚れ込んだ銘菓の味を存続させるために今後も残ってほしいとお願いされたそうです。熱心にお伝えすることで想いが伝わり、結果として今後もアルバイトという形で残っていただけることになりました。新しいビジョンにも前オーナーは共感してくれて、相互に良い形での事業引継ぎとなりました。
今後の取り組みとしては、まずは経営のスリム化を目指されるとのこと。観光地という立地もあり、銘菓以外の商材も手広く扱っているので、まずは主力である銘菓に集中して必要外の経費を見直していかれるそうです。また、スリム化して足元が固まった後にはSNSを活用して認知を広げた上でインターネット販売を復活させたり、新たな販売先の開拓として百貨店などへの進出も検討されているそうですよ。長期的には、店舗型ビジネスを複数運営して購買データを活用することで相乗効果を高めるプラットフォームの運営を目指されていかれるとのことでした。
株式会社PELの成長も、銘菓の流行もとても楽しみですね!
バトンズ一同、三原様の今後の活躍を心より応援しております。
この案件を担当したM&Aアドバイザー株式会社ナゴヤM&A・エフピーセンターの紹介ページ
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