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中小企業のM&Aで活用したい、日本公庫からの資金調達方法を解説

2020.12.21

中小企業の間でもM&Aが盛んに行われるようになった昨今、資金調達を支援する取り組みが活性化しています。また、法人だけでなく個人がM&Aによって株式を取得し、事業を営めるようになったことで、中小企業のM&Aが益々増えています。この記事では、企業や一般個人がM&Aを行うために活用したい、日本政策金融公庫(日本公庫)が提供する融資制度について解説します。

M&Aに資金調達は必要なのか

まず、M&Aを行う際に買い手の資金調達は必須事項なのかについてみていきます。M&Aによって企業や事業を譲受(買収)する場合、その対価を売り手に支払う必要があります。資金力に乏しい中小・小規模企業や一般個人の場合、売り手に支払う譲渡金額の用意が難しくM&Aに踏み切れないことも少なくありません。

しかし、金融機関からの借り入れであったり、第三者割当増資を活用したりといった手法を使えば、自身で用意できる資金が少なくてもM&Aを行うことが可能になります。事業承継やM&Aで活用できる補助金制度が拡充されており、資金力が不足していてもM&Aを行うケースが増えているのです。

M&A(事業承継)の支援が拡充する背景

融資メニューの整備や補助金の拡充といった取り組みは、資金力のない企業や一般個人にもM&Aや事業承継のチャンスを与えていると捉えられます。これらの背景には、日本が直面している「大廃業時代」という問題が横たわっています。

大廃業時代とは、経済産業省が試算したデータによって流布された言葉です。2025年までに経営者の若返りを促進しなければ、127万社が廃業し、その結果22兆円のGDPや650万人の雇用が失われる、と言われています。この廃業の波を大廃業時代と呼び、行政や民間企業が足並みを揃えながら大廃業時代を解決する方策を模索している状態です。

その一環として注目を集めているのが、中小企業間で行われるM&A。M&Aには、経営者の若返りはもちろん、異なる事業を組み込むことでシナジー効果を生み出したり、資本力を強化したりといったメリットがあります。

今後益々M&Aを行うための基盤が整っていく

先述したように、M&Aは日本が直面している廃業という問題を解決するための手段として、大きな注目を浴びています。こうした流れを受けて、資金力のある企業だけでなく、小規模企業や一般個人などもM&Aに乗り出せるようになってきたことは、非常に意義あることだといえるでしょう。

その上で、資金調達を行ってM&Aに取り組むメリットとしては、「経営者の高齢化を理由に廃業する優良企業を取得すれば安定した経営が望める」ということです。

経営者の年齢のボリュームゾーンは年々高齢化しています。黒字経営が続いているにも関わらず、経営者が自身の老化を理由に廃業を選択するケースも少なくありません。M&Aによって、そういった後継者不在の企業を買収できれば、堅調な経営をそのまま引き継いで事業をさらに発展させていけるでしょう。

ゼロから起業するよりも少ないリスクで事業を展開していけるので、資金調達をしてでもM&Aに取り組むメリットはあると考えられます。

しかし、企業や事業をM&Aによって取得するためには、買収資金が必要になります。特に、一般個人がM&Aによって企業や事業を取得する場合、多くの方にとって資金面の問題が浮上してくるはずです。そんな時に活用できるのが、日本公庫が提供している融資制度です。

買収資金を調達するために検討したい日本公庫の融資制度

一般個人であっても、企業であっても活用をお勧めする資金調達の方法が、日本公庫が設けている融資制度「事業承継・集約・活性化支援資金」(事業承継資金)です。

一見すると事業承継のためだけに活用される融資制度のように思えますが、活用用途が非常に幅広いのが特徴です。株式や営業権、事業用資産などを買い取る際に利用できることはもちろん、事業承継・M&A後に必要になり得る「譲り受けた事業を円滑に開始するための運転資金」「老朽化した設備の買替資金」「事業承継・M&Aを契機に新たな事業を開始するための資金」などとしても利用できます。また、事業承継前の段階で、後継者の育成や後継者と共に事業を磨き上げるための取組みに必要な資金も対象です。

日本公庫の公表資料によると、2019年度の事業承継資金の融資実績は、約8千件となっています。M&Aに挑戦する小規模な企業や一般個人が増えてきていることが、融資実績が伸びている理由のひとつかもしれません。

なお、日本公庫では、新型コロナウイルス感染症の影響により、一時的な業況悪化を来している方を対象に、「新型コロナウイルス感染症特別貸付」を取り扱っています。要件に該当する場合は、この融資制度を利用して、事業承継資金よりも有利な条件で、買収資金を調達できる可能性がありますので、日本公庫のホームページを確認してみましょう。

融資額はいくらが上限になるのか

事業承継資金の融資限度額は、小規模事業者や個人事業主、創業希望者の利用が多い国民生活事業で7,200万円(運転資金は4,800万円)となっています(比較的規模の大きな中小企業の利用が多い中小企業事業の場合は7億2,000万円)。

もちろん、融資限度額と借入できる金額は異なります。申込に当たっては、まず、事業承継・M&Aに必要な金額を見積もって希望金額を申請します。後述する「審査」を経て最終的な融資額が決定されますが、審査の結果「希望額には満たないが半額までなら融資できる」という判断が下されたり、全く融資を受けられなかったりするケースもあります。

つまり、融資額は希望額の多寡ではなく、申込者の事業内容や財務状況、業績に加え、譲り受ける事業の状況や買収金額の妥当性などを、日本公庫が総合的に判断して決定されます。これまでの経歴や持っているスキル・ノウハウ、経営者としての意欲、事業計画の実現可能性なども融資額の判断材料になるでしょう。参考データとして、日本公庫の公表資料によると、国民生活事業の取引先への平均融資残高は約700万円となっています。上記の内容を参考に、必要とする適切な融資金額を検討していきましょう。

なお、フルファイナンス(必要資金の全額を借入で賄うこと)でも審査に通る可能性はあると考えますが、借入を抑え、自己資金の比率を高めることが、事業承継・M&A後の経営リスク(過重な返済負担に耐えかねて資金繰り破綻など)を低くすることにつながります。

返済期間について

事業承継資金の返済期間は、設備資金で20年以内、運転資金で7年以内ですが、日本公庫から事業資金の借入残高があり、それを借り換えする場合は、運転資金の返済期間が8年以内となります。ただし、資金の使いみちや返済能力、設備資金の場合は設備の耐用年数なども含めて検討した結果、希望どおりの返済期間を設定できないこともありますので、注意してください。

返済期間を長くすれば、月々の返済金額を抑えられるのがメリットですが、返済する利息の総額が大きくなってしまうというデメリットも存在します。あらかじめ余裕を持って返済計画を立てておき、そのスケジュールに沿って返済期間を設定するようにしましょう。

経営承継円滑化法が必要になるケース

日本公庫の事業承継資金の融資を受けるためには、経営承継円滑化法による認定が必要なケースが存在します。

たとえば、事業を営んでいない個人が法人の株式を取得して事業を承継(法人の代表者に就任)する場合や、すでに法人の代表者に就任した方が、前経営者が保有したままの株式の取得を行う場合です。

いずれのケースも、資金を必要とする方は、事業主体ではない一般個人であるため、本来、日本公庫の融資対象にはなりませんが、認定を受けることで、事業承継資金を申込むことができるようになります。

事業承継においては、経営権を取得するため、事業主体ではない一般個人が、株式や事業用資産を取得するための資金を必要とすることも少なくありません。そのため、経営承継円滑化法の認定を受けることを条件に、特例的に事業主体ではない一般個人にも融資ができるようになっています。ただし、経営承継円滑化法の認定を受けたからといって必ずしも融資が受けられるとは限らないので、その点には注意が必要です。

一方で、事業を譲り受けるのが法人、個人事業主である場合は、経営承継円滑化法の認定は不要です。また、融資時点では、事業主体ではない一般個人であっても、個人事業主として、創業または事業を譲り受けることを予定している方は、経営承継円滑化法の認定は不要です。

日本公庫で事業承継やM&Aの資金を借り入れる方法

まずは日本公庫に相談しましょう。電話での問い合わせ先として事業資金相談ダイヤルが用意されているので、Webサイトを確認してみましょう。

参考:日本政策金融公庫

融資を申し込む段階になったら、決算書などの必要書類を提出し、日本公庫の担当職員との面談へと進みます。原則として、事業を行っている方・行う予定の方本人が面談を行います。

これは、審査結果にも直結する、経営手腕や事業の見通しなどを判断するための重要なステップです。面談では、経営されている事業やご自身のことだけでなく、「なぜ事業を譲り受けるのか」「譲り受けた事業をどのように経営するのか」「必要な金額や返済期間は適切か」などの質問が想定されますので、しっかり答えられるように準備をしてから臨むと良いでしょう。

審査の結果、融資が決定したら、借用証書など、契約に必要な書類が届きますので、契約の手続きを行います。

「いきなり日本公庫へ申し込むのはハードルが高い・・・」という方もいらっしゃることと思いますので、バトンズへご相談をいただければ、M&Aアドバイザーから具体的な日本公庫での手続内容についてご説明をさせていただきます。事業承継やM&Aを検討しておられる方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

資金調達の手法を学んでM&Aをもっと身近に

従来に比べて、近年は中小企業や個人間でも見かけるようになったM&A。専門的な分野ということもあり、未だにハードルの高さは感じてしまいがちですが、この記事で紹介したように様々な支援制度や資金調達方法が拡充されてきています。

資金力に自信がない方でも、こうした制度を活用すればM&Aを実施できます。M&Aにご興味のある方は、ぜひバトンズへお気軽にご相談ください。

 

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