▼ M&Aで一番大事なのは譲渡額ではない!?
事業承継なり何なりで会社・事業の譲渡、つまりM&Aをする時売り手が一番重視することは一体なんだと思いますか?
多くの人たちは直感的に、やはりお金=「譲渡価格」だと思いがちです。特に投資銀行などの大企業向けM&Aアドバイザーや、そもそもM&Aアドバイザリーの経験が少ない専門家は、頑なにそう信じている面があり、極端な話、自分たちの役割は如何に売り手が高く会社を売れるようにするか、如何に会社を安く買えるかアドバイスすることだ、と公言する人たちも無きにしも非ずです。
確かに譲渡額は大事で、決して軽視していい訳ではないんですが、こと中小企業となると、そこに囚われると大抵M&Aは失敗に終わることになります。その原因は、そもそも会社を単なる売買の対象、言わば「もの扱い」しているからです。
会社は決して「モノ」ではありません。会社には社員がおり、その家族がいて、又取引先や仕入れ先など含めれば、とても多くの人たちが関わっています。そして自分自身が会社を経営してきた経営者は、本当はそのことを一番よくわかっているのです。
では譲渡を考える経営者は、M&Aにあたって一体何を一番重視しているのでしょうか?
アンドビズ株式会社では、先日バトンズの正式発表に併せて有識者の方を集めて「あとつぎ会議」というイベントを実施しました。
その際、外部機関に委託して中小企業経営者にアンケートをとり、後継者がおらず(実際アンケート回答者の54.8%は後継者不在)M&Aを検討した場合、一番重視するポイントは何か、という調査を実施したのです。
その結果は下記の通りでした。
一番重視する点は譲渡額と答えたのは、20%にも満たず第4位。
そして一番多かったのが「事業を発展させてくれること(それが可能な相手)」でした。
私も経営者ですから正直その気持ちはとてもよくわかります。多くの経営者が一番使命感を持つこと、そして仕事のモチベーションの源泉になっているのは、まさに「会社を発展させること」だからです。
例え自分がその任を果たせなくてなったとしても、「誰かがそのバトンを引き継いで」より会社を発展させてほしい、と願うのが経営者なのです。
第二位になったのは「自分の思いを継いでもらえること(それが可能な相手)」でした。経営者、特に創業者にとって会社というのは単なる勤務先以上の重みを持っています。
この辺の感覚はサラリーマンの方には今一つピンとこないかもしれませんが、極端な話、彼らにとってそれは自分の生きた証であり、自分自身の半身にも等しいものです。
親が子供に会社を継がせようとするのは、社会学的にはそれが家督相続というかつての習慣に則ったものという側面が大きいですが、生物学的にみれば又別の側面もあります。
経営者の想いとは、言い換えれば経営者が大事にしてきた価値観であり、会社に引き継がれてきたDNAのようなものです。
だからこそ、親は自分の遺伝子を受け継いだ子供に自分のDNAが脈々と流れる事業を引き継いで欲しいと願い、それがダメなら、子供の代わりに自身の想いを引き継いでくれる人に、事業を譲りたいと考えるのですね。
単に値段が高ければいい、安ければいい、という考えてM&Aをやっても決して上手くいかないことは、私も30年近く中小企業のM&Aの仕事をする中で痛いほど実感してきました。
M&A成功の秘訣とは、まず相手の気持ちを理解することであり、それには相手がどんな価値観を持っているのか、まず知ることが何より大切なのです。
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