新型コロナが猛威をふるっています。新型コロナは世界で400万人以上の方が感染し、28万人以上の方が亡くなっています。生死に関わる非常に深刻な問題ではありますが、経済面にも大きな影響を与えていることを多くの方が実感していることだと思います。
多くの業界が苦境に立たされ、立て直すために必死の努力をしています。
今回は、新型コロナが経済に与えたダメージや今後のM&A業界に与える影響について考察します。
新型コロナがもたらした現実
新型コロナの影響で多くの業界で営業自粛を求められ、売上や利益が激減した業界も少なくありません。残念なことに、新型コロナの影響で多くの会社が倒産してしまっています。
新型コロナの影響で倒産した会社は、帝国データバンクによると10月2日時点で576件になります。
経済の専門家でなくても多くの企業が大変な苦境に立たされていることは日常生活を送る上で皆さん実感していることだと思いますが、今後も新型コロナの影響で倒産する企業は増えるだろうと多くの専門家は予想をしています。
では具体的に倒産リスクのある企業はどのくらい増えたのでしょうか?
倒産リスクのある企業はどのくらい増えた?
先述しましたが、帝国データバンクによると新型コロナ関連の倒産は2020年10月2日時点で576件判明しています。
業種別上位をみてみると「飲食店」(84件)、「ホテル・旅館」(57件)、「アパレル・雑貨小売店」(40件)、「建設・工事業」(35件)、「食品卸」(34件)、「アパレル卸」(24件)などでした。
倒産した企業の内訳は、飲食店に次いで旅館・ホテルが最も多くなっているため、やはり人の異動が制限されると直に影響を受ける業種が倒産に追い込まれる可能性が高いことが分かります。
5月には、東京証券取引所1部上場企業の老舗アパレル企業のレナウンが倒産し話題になりました。レナウンは新型コロナの前から経営状況が厳しく、新型コロナだけが倒産の原因ではありません。しかし、高級紳士服ダーバンやアクアスキュータムなどのブランドは特に40代以上の方には思い入れのあるブランドとして認識されていただけに、世間に与えた衝撃は大きなものでした。
今後は更に新型コロナの影響がより顕著に結果として出てくることが想定されます。
コロナの影響が小さい業界もある
緊急事態宣言が解除されたからといって、今年中に新型コロナ以前のレベルまで国内の消費活動が再開されるとは考えられないため、一概には言えませんが、業種によっては新型コロナの影響が小さかった業界もあるようです。
コロナ禍で株価を大きく上げた製薬関連や保険業などが新型コロナの影響を受けにくい業種として挙げられます。製薬業界はワクチンや新薬の開発が期待されいるのと、保険業界については経済危機に備えて保険に加入する人が増えていることが背景にあると考えられます。
コロナ禍でわかった真実、買い手の意欲は減退していない
新型コロナの影響で大きなダメージを受けている企業がある一方でコロナの影響がほとんどなくむしろ投資をするチャンスだと思っている人や会社も多く存在すると思います。
内部留保が潤沢な大手企業や新型コロナウィルスの影響が比較的少ない業種などは特に、今がM&Aのチャンスと見ています。そうした買い手は、経営環境は悪化しているものの、新型コロナが収束する頃に大きく成長するために、現在は投資期間と捉えているのです。M&A案件で株価の下落はもちろんですが、不動産の価格下落も手伝って買収を行いやすい案件が今後も増える可能性は多分にあります。
コロナ禍では証券口座の開設数も急増!いまが「買い」と考える買い手が多い
コロナの影響で株式や為替が急落したことで投資を始めた人は多いと思います。大手ネット証券の口座開設にかかる時間は、通常1営業日から2営業日程度ですが、一時期は口座開設の依頼が殺到しているため10営業日程度かかる証券会社もあったほどということです。
M&A市場も同じく、優良な会社を安く買うことができるタイミングでもあるため、今が逆に買いと思っている方が多いです。実際にバトンズの買い手登録者数は外出自粛期間中にも関わらず伸びていました。
ではM&Aにおける買い案件とはどのような案件なのでしょうか?
いま買うべき案件の特徴とは
コロナ禍においてM&Aを検討する際に留めておきたいポイントは3つです。
- 借金せずに買える
- 事業譲渡である
- コロナの影響が少ない
それぞれの案件について詳しく説明していきます。
借金せずに買える(レバレッジをかけないM&A案件であること)
借金をせずに行うことができるM&Aも買いだといえます。新型コロナウィルスのような経済危機がなければ借金をしてM&Aを行う事は決して悪いことではありません。しかし、経済情勢が悪化すると本来M&A案件に出てこないような企業も割安で買うことができる可能性が高まるので、借金を負うというリスクを負ってまでM&Aを行う必要が低くなります。
経済情勢が不透明な今、多額の借金をする事は大きなリスクになります。M&Aを行い期待していたシナジー効果が生まれない可能性も平時の時以上に想定しておかなくてはいけません。コロナ禍でなくてもそうですが、継続的に無借金経営の企業は優良案件であることは間違いないでしょう。
事業譲渡である
日本の中小企業は高い技術を持ち、希少性の高い事業を営んでいる中小企業も多いのですが、だからといって赤字の会社を丸ごと受け継ぐ必要はありません。そこでお勧めするのが、事業譲渡による買収です。事業譲渡を行うことで、売り手の債務を請け負わず、買い手側が伸ばしていける事業のみ引き継ぐことが可能となります。
帝国データバンクによると約65%の中小企業は後継者不足に悩んでいます。日本の中小企業の後継者問題は深刻で、後継者がいないがために事業の継続が難しく売却を望む企業は増えています。そうした企業は、ギリギリで黒字を維持しているか、赤字債務超過のまま長年経営を続けているケースが多いのです。
こうした企業を平時よりも比較的安価な価格で事業譲渡により買収できる今は、買い手にとってメリットといえるでしょう。
売上が外出自粛の影響を受けにくい(自粛中に消費可能または需要の変化を受けにくいこと)
今回のコロナショックを受けて売り上げが外出自粛の影響を受けない業種である事は非常に重要です。
例えば、外出自粛の影響が少ない非接触系のビジネス・サービスやゲームなどのエンターテイメントの業種などは外出自粛の影響を受けにくいといえ、逆におこもり需要を期待できるかもしれません。
このように、買い手にとっては有利な条件でM&Aを行えるタイミングではありますが、あまりにも売り手企業にとって条件が悪いと売り手企業の従業員のモチベーションの低下や期待していたシナジー効果が出ないなど、M&A後の経営に支障をきたす場合があります。
有利な条件で交渉しつつも売り手企業の従業員の労働条件等に配慮し、買収後に高いシナジー効果を狙えるよう戦略的に行いましょう。
来年以降の消費回復はどうなる?
新型コロナの影響は来年以降も長引くと考えている経済の専門家は多いですが、在宅勤務のニーズを満たすサービスや外出自粛に影響されないスーパーやエンターテイメント業界等が牽引し、新型コロナが収束に向かった時の消費回復は早いとみる向きもあります。
理由は専門家により様々ですが、主な理由は3つあります。
- 経済や金融市場の悪化が理由による不況ではない
- ワクチンが開発され普及すれば消費意欲は比較的早い段階で戻ってくると予想できる
- これまでになかった新たなビジネス需要が期待できる
それぞれの理由について説明します。
もともとの経済や金融の悪化が理由でない
今回のコロナによる経済不況は、経済や金融市場の悪化が理由ではありません。
むしろ経済や金融は比較的好調であったといえます。日経平均株価はコロナの問題が顕在化する前には24,000円台で推移していましたが新型コロナウィルスという未知のウィルスによって経済は急速に悪化してしまいました。
しかし、コロナが収束すればもともと市場の状態は悪かったわけではないので、経済回復は比較的早いとも予想できるのではないでしょうか。
ワクチンが開発され普及すれば消費意欲は比較的早い段階で戻ってくると予想できる
新型コロナウィルスのワクチンは治験が開始され始めていますが、もしワクチンが開発され一般に普及すれば、消費意欲は比較的早く戻ってくると予想されます。外出自粛で溜まった消費意欲や移動の飛躍的な拡大や、政府の大規模な経済対策が背景にあると考えられるからです。
決して楽観視してはいけませんが、新型コロナウィルスに対するワクチンが普及すれば、経済は大きく回復することが期待されます。
新たなビジネス需要が期待できる
新型コロナの影響で多くの業界がダメージを受けましたが、今回の危機がきっかけとなり、リモートワークの普及等で従来の働き方が根本的に見直されることになりました。コロナ以前までは当たり前だった経済活動における常識だけでなく、私たちの価値観すらも大きく変化させられたことによって、新たに需要が増えた分野も沢山あります。
来年以降は、コロナ禍で生まれた需要を解決する新たなビジネスが経済の一翼を担ってくれることも期待できるのではないでしょうか。
まとめ
今回はM&A業界におけるコロナの影響について解説させていただきました。もし新型コロナが収束しても、従来の生活に戻ることは難しいでしょう。これからは、ウィルスと共存する世の中を前提に経済活動も見直していくことが求められます。そうした状況を踏まえて、買い手の方も売り手の方も、M&Aを行う際は専門家の意見をもとに適切な判断で交渉されることお願いします。お困りの際は、お気軽にバトンズにお問い合わせください。
出典:https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html
出典:https://www.tdb.co.jp/tosan/syukei/2003.html
出典:https://www.tdb.co.jp/tosan/covid19/index.html
参考:https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p191104.html
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