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調剤薬局を買収。門前の強みを生かしつつデジタル化で新しい薬局作りに挑戦

2020年09月29日

Pharmacist Japanese women

都内に店舗を構え、処方せん薬の配達サービスを展開するファーブケア薬局のオーナー中川様は、2店舗目をM&Aによって取得されました。お薬の管理をしやすく、薬剤師をもっと身近な存在に感じて欲しいとの思いで調剤薬局の経営を始められたそうですが、新たに門前の店舗を得たことで、地域に根差した薬局としての役割の幅が広がったと話されます。

 

将来の調剤薬局の姿を思い描きつつ新たな薬局の在り方を模索

 

――今回、なぜ薬局を買収されたのですか?

2017年にファーブケア薬局を創業し今年で4年目なのですが、1店舗目はよくあるクリニックに隣接した薬局ではなく、住宅街の真ん中に店舗を構えてスタートしました。主に在宅のお客さまと介護施設の患者さまをメインにお薬の配達事業を行なってきましたが、今回、新たにM&Aで購入した店舗は、初めての門前(クリニックの隣にある調剤薬局のこと)です。元々は配達をメインにやってきたので、門前の形態で調剤薬局を経営するのは今回が初めてでした。

このご時世、お客さまはクリニックや薬局に行くのをなるべく避けたいと考え、生活様式は一変しています。門前の店舗で、そういった世の中の変化にどこまで対応し、事業を伸ばせるのか挑戦したいと考え今回M&Aに至りました。

 

――M&Aは当初から考えていたのですか?

 はい。実は、2020年2月に前代表から私が経営を引き継いでいます。前代表は薬局経営をプログラミングでどこまで伸ばせるのかに重点を置いていましたが、別会社を立ち上げてやっていくことになったため私が代表に就任しました。それからは薬局の店舗数を増やしながら処方せん薬の配達事業を同時に成長させていく経営方針に切り替えました。

薬剤師として、やはり店舗の強みを生かしながら事業を伸ばしたいと考えています。お薬の配達事業のテストマーケティングを行うにしても、やはり薬局は多く持っていた方がいいだろうと考え、やりたいことをすぐ展開できるような下地が必要だと思っていました。

 

調剤薬局を買収する際にチェックすべきポイントとは

 

――売り手様の薬局は何が魅力だったのでしょうか? 

買収後、2年ほどで回収できる案件を探していたんですが、PL/BSを見せていただいた時にこれなら約2年でペイできるだろうと思ったのと、引き継ぐにあたって不要な部分や改善できる部分も分かっていたので、これならやっていけるかなと決断しました。加えて、門前が婦人科だったので、コロナの影響を受けにくく、安定しているだろうというのも決め手のひとつでした。

 

――交渉中の論点はございましたか?

主に名義の変更や、在庫のお薬の対応についてお話しをしました。在庫のなかで返品できるものは返品してもらい、ジェネリックは消費期限が近いものはどれだけ値下げができるのか、あとはデットストックの処理等について契約書に盛り込んでいただきました。動いていない薬をそのまま譲渡されてもロスになってしまうので、そういったリスクは担当していただいたM&Aアドバイザーの鹿野さんを通して事前にきちんと交渉を行いました。

 

――調剤薬局のM&Aを行う際の交渉ポイントはございますか?

 そうですね。何年でペイできるかは他の業種のM&Aでも同じ事だと思いますが、基本的に3年は長いといわれています。あとは門前が何科のクリニックなのかも事前に把握しておきたいポイントだと思います。眼科・整形外科のような、外用のお薬をメインに取り扱うクリニックだと、薬局は内服薬と比較して利益が出にくいのです。あとは、クリニックの先生に後継者がいるのかどうかも、門前薬局を経営する立場としては確認しておきたいポイントだと思います。

 

診療報酬改定で揺れる調剤薬局業界、M&Aは先手を打つための施策

 

――診療報酬改定は、薬局運営に影響を与えていますか?

 大きな影響を受けていると思います。薬局はIT化が非常に遅れている業界のひとつなんです。いまだに紙媒体の業務が多いですし、それが故に患者様に対してきめ細かなサービスを提供する事が困難であったりもします。実際に当社も、患者様に対して処方せん薬配達サービスを開始する時に結ぶ契約書はまだ書面でのやりとりです。

ところが、今回の新型コロナの感染拡大によってオンライン診療や服薬指導の方法など、運営体制を大きく変化せざるを得ませんでした。我々はそうした変化にいち早く対応し、お客様情報のデータ管理に早急に取り組む事で、我々が持つ特徴を最大限生かしながら薬局業界にメスを入れていきたいと思っています。

 

――今回のM&Aを経て、どのような薬局を目指しているのですか?

今までにない形の薬局を作っていきたいですね。既存の薬局はクリニックの隣にあるだけで経営が成り立っていました。しかし国が掲げる方針で今後はかかりつけ薬局としてより地域に密着し患者様に近い存在になることを求められています。我々はM&Aを有効活用することで、国が掲げる方針を先取りし誰よりも早く事業を展開していきたいと考えています。

 

――最後に、今後の展望を教えていただけますか?

来期には店舗数を現在の2〜3倍に拡大したいと考えています。前代表が行っていたシステム開発も自社内で開発できるようにしているため、自分達が必要なシステムを外注に頼らずどれだけ自社で作っていけるかチャレンジし、利益を最大化できる薬局にしていきたいですね。

 

――ありがとうございました。

 

 

担当したM&Aアドバイザー:株式会社M&Aコンサルティング 鹿野様から

中川社長、オンライン対応でのIT化及び配達事業を進めていく御社の今後の成長戦略の中で、その一翼を担うことができたこと嬉しく存じます。売手様のご要望にも迅速にご対応いただき、本件ご紹介から1ヶ月強でクロージングさせていただけたのも中川社長のご協力によるものでした。お手伝いさせていただけたことに感謝し、深く御礼いたします。

バトンズ紹介ページ:https://batonz.jp/experts/1430

 

 

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