ノウハウ

2018.11.02

家業や個人事業を譲渡する際の適切な相談相手の選び方

▼近年、小規模企業においてもM&Aの活用が浸透してきました。後継ぎ不在に悩むオーナー経営者にとって会社や事業の譲渡は親族外承継の有効な選択肢の一つといえます。とはいえ、会社の譲渡に手慣れた経営者など、そういるものではありません。適切な相談相手を見つけることが譲渡を成功させるための第一歩となるでしょう。

 

専門的な内容が多いため、相談できる先は以外に多くありません。

 

士業やM&Aコンサルタントは得意分野を見極めて活用

 

小規模企業を譲渡する際のもっとも身近な相談相手としては士業やコンサルタントが挙げられます。特にすでに顧問契約をしている税理士などであれば気軽に相談を持ちかけやすいのではないでしょうか。ただし、士業やコンサルタントには当然それぞれの得意分野があります。

たとえば、保有している企業の株式を売却する際にどのような税金がかかり、それに対してどのように対処すればよいのかについての相談では税理士が適任といえます。

通常は買主が依頼しますが、「デューデリジェンス(企業精査)」と呼ばれる財務調査や企業価値の評価等を実施する場合には公認会計士のお世話になることが多いでしょう。ただし、このデューデリジェンスには財務や税務だけでなく、労務や法務なども精査の範囲とすることがあり、範囲によっては社会保険労務士や弁護士のお世話になることもありますし、税理士だけで対応可能な範囲だけ行うこともあります。

一般に、譲渡主が独力で最適な買主を探すのは難しいでしょう。そこで買主候補を探すためのネットワークを有するM&A仲介会社やM&Aコンサルタントの力を借りることが想定されます。最近は買主を探すことができるWEBサイトも出てきており、サイトによっては登録する専門家に相談することもできます。

 

商工会議所、金融機関、経営革新等支援機関など

 

会社の譲渡に関するよろず相談先としては、民間の仲介会社やコンサルタントだけでなく、商工会議所や金融機関の窓口も味方となってくれます。これらの機関から外部専門家や買主候補を紹介してもらえることもあります。

また、譲渡に先立って事業の磨き上げを行い、企業価値を高めておくことは有効な方法です。コア事業を強化したり、不採算事業を整理したりするなどの経営改善を行う際には「経営革新等支援機関」に事業計画策定のサポートを依頼することもできます。

経営革新等支援機関とは、中小企業経営力強化支援法にもとづき、中小企業への事業支援を行う専門能力のある個人や法人を国が認定したものです。商工会議所や金融機関自体が認定支援機関となっているほか、一定の専門能力や実務経験を持つ各種の士業などが認定されています。優遇税制の適用、融資や補助金の申請などで経営革新等支援機関の関与が前提となっているものも多いです。

 

M&A専門家が在籍する事業引継ぎ支援センター

 

事業引継ぎ支援センターも、小規模企業を譲渡する際の相談相手の一つです。事業引継ぎ支援センターは、社外への事業引継ぎに関する相談に対応するため、全国47都道府県に置かれている支援窓口です。

センター自体にM&A専門家が配置されており、譲渡に関する全般的な相談ができます。また、事業引継ぎ支援センター内に設置された「後継者人材バンク」では、後継ぎ不在に悩む中小企業と若い起業家のマッチングを行っているため、そうしたネットワークを活用してみてもよいかもしれません。

 

実績や経験の豊富さ、ネットワークを選定基準に

 

いずれの機関に相談する場合にも、全ての機関に一様に実績や経験があるわけではありません。相談した先で、よくわからないという反応であれば、別の方に相談してみるべきでしょう。また、全国でのマッチングを希望する際には幅広いネットワークを有しているかどうかを選定基準に加えたいものです。また、民間のM&A関連サービスを提供する会社では小規模企業にターゲットを絞っている会社などもあります。費用や成約率はサービスによっても異なるので、自社の規模やかけられる費用に合ったサービスを比較検討してみるとよいでしょう。

何より、家業や個人事業を譲渡できることを知らなかったという方も多くいらっしゃることでしょう。いまや廃業・清算を検討することは、誰かに継いでもらうことを検討した後の二つ目の選択肢です。一番相談しやすいと思ったところへ一度相談してみるとよいでしょう。