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2018.11.01

廃業にも作法がある!? 廃業をスムーズに進めるコツ

▼企業には様々な利害関係者が存在します。そのため、廃業すると多くの人のビジネスや生活に影響を与えることになります。そのような廃業をできるだけスムーズに進めるにはどのような準備が必要でしょうか。今回はそのポイントを紹介します。


大変な思いで起ち上げられた事業はやめるときも決して楽ではありませんが、知っていれば対応できます

 

廃業を考える前に


今回は廃業をテーマとしていますが、廃業を考える前に、まずは企業存続の道を模索してみてください。なぜなら、それが多くの利害関係者にとって好ましい方法だからです。

廃業の原因を分析し、経営者の高齢化が問題であれば事業承継の道を探る、事業の窮境が問題ならその改善策を探ることが有用であると言えます。具体的には「経営状況や経営課題の見える化」(分析および可視化)を行い、不採算事業を譲渡したり、コア事業を強化したりするなどの「事業の磨き上げ」に注力します。

そうした策を講じても、なお廃業の方が好ましいと判断した場合は、スムーズに廃業手続を進められるように配慮しましょう。

廃業時に問題となること


中小企業庁が実施したアンケート調査によると、多くの経営者が廃業時に直面する課題として、取引先との関係の清算、事業資産の売却、従業員の雇用先の確保、債務整理の手続などを挙げています。

・取引先との関係の清算

これまで行ってきた事業を突然廃止すると、得意先や仕入先のビジネスにも悪影響を与えます。徐々に取引を少なくするなどしてソフトランディングを図る必要があると言えるでしょう。

・事業資産の売却

事業用の不動産や設備などを解体、廃棄するのにも費用がかかります。事業用資産を適正な価額で売却できれば廃業コストを下げられますが、実際には店舗や事務所を賃借していれば原状復帰が条件になっていることが多く、売却先選定にあまり時間をかけられないため“相応の価額”で売却できればよいでしょう。

・従業員の雇用先の確保

経営者の都合だけで従業員を解雇するはできません。法的な問題をクリアするだけでなく、従業員が路頭に迷わないよう雇用先の確保まで面倒をみてあげたいという経営者も多くいます。労務問題に詳しい弁護士や社会保険労務士のアドバイスを得ながら対処することも有用となります。

・債務整理の手続

廃業までに借入金返済などを進めることで計画的に債務を減らしておく必要があります。経営が窮境にある場合には債務の返済が困難なことが考えられます。私的整理、法的整理を含め、専門家を交えて対策を講じなければならないケースも想定されるでしょう。


必要な対応策は?


・財務状況の把握

企業の倒産に関するニュースなどを見ていて「負債総額○○億円」という表現を聞いたことがあるかもしれません。まずは自社の財務状況を把握して、どの程度の純資産額になっているのか、あるいはすでに債務超過になっているのかを正確に把握する必要があります。また、損益やキャッシュフローの状況も合わせて把握し、かつ関係者に説明できるよう準備しておきましょう。

・早期の債務整理

上述のように借入金の返済や債務整理手続の活用が考えられます。複数の金融機関から融資を受けている場合には調整のための協議の場を設けなければならない場合もあります。必要に応じ、債務整理を専門とする弁護士やコンサルタントに調整を依頼するとよいでしょう。

・廃業資金の確保

廃業するためにはコストがかかることを認識しておく必要があります。債務返済のための資金だけでなく、事業用資産の売却、雇用への対応、債務整理、会社清算などの各フェーズで専門家報酬や経費支出が必要となります。また、廃業後の自身の生活資金を確保することも重要でしょう。

引退時の生活資金などを確保する手段としては小規模企業共済の活用が考えられます。小規模企業共済は中小企業基盤整備機構が運営する経営者向けの共済制度です。掛金を所得控除できるとともに、共済金を退職所得などとして処理できるため税務面でも優れています。

また、一部の金融機関では事業整理ローンとして廃業のための資金を融資してくれるプランを提供しています。こうした資金の活用も検討してみる価値があるでしょう。

廃業をサポートしてくれる機関

 

廃業に関する相談を受け付けてくれる機関としてはよろず支援拠点などが考えられます。よろず支援拠点は、国が各都道府県に設置している無料の経営相談窓口です。中小企業の販売促進、経営改善、事業承継など経営上のあらゆる相談に対応しています。

廃業をスムーズに進めるためには、取引先、金融機関、従業員への説明も適時行っていく必要があります。専門家による支援やスケジュール管理のもと廃業を進めるのも一つのポイントといえるでしょう。

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