大阪で学習塾を8年経営してきた杉山様(仮名)。2018年6月に発生した大阪北部地震がきっかけで、今年、新オーナーに塾を事業譲渡されました。自立をテーマに運営してきた塾について「やり切ったというのが正直な感想」とおっしゃいます。同時期にご結婚されるなど、ライフイベントも重なった今回のM&Aについて伺いました。
予測不可能な災害によって大ダメージを受けた塾、設備を整え再スタートするも入塾数が伸び悩み事業譲渡を決断
M&Aを決断されるきっかけとなった地震、どのくらい影響があったのですか?
被害の範囲は大きく、3店舗運営していた塾のうち1店舗は再開の目処が立たなかったので塾を閉めなければいけませんでした。残り2店舗はやめるにやめられず・・。支援や補助金もあてにできない状況でしたが、当時はすべての塾を閉めてしまったら負けになると感じて、生徒の安全を確保し3ヶ月くらいはブルーシートをかけたまま運営していました。
6月の地震が発生してすぐ夏期講習の募集を始めたものの、その年の夏は申込数が0・・・。例年、夏期講習に10名は申し込みがあったのですが、2018年は年末までに2名しか申し込みがありませんでした。毎年約20名は入塾していて卒業するとき20名近く抜けるので、その繰り返しで8年やっていけたのですが、地震以降は2名しか入塾していないので次の年は経営が厳しくなるのが明らかでした。もし地震がなければ、夏に10名は増えていたはずです。
まさか自分が大阪北部地震で被害を受けるなんて全く予想もできなかったことですから、当初はなす術もなく事業を行うことのリスクを痛感しましたね。
予測不可能な事態が発生し不安も大きかったですよね
正直、震災があるまでは絶対に失敗しない自信がありました。行動に起こせば絶対になんとかなると。しかし、自然発生的なものなので仕方ないと言えば仕方ないのですが、地震という壁にぶち当たったとき、また同じ事態に直面したらもうやっていけないだろうなと感じました。それから塾の設備を整え2年運営を続け、赤字経営から少しずつ盛り返してきたもののやりきったかなと感じたので、できるのであれば塾を譲渡しようと決心しました。
バトンズに掲載後一ヶ月でオファー。地震が原因で綺麗にリノベーションした設備を気に入ってもらいあっという間に交渉成立
バトンズでのお相手探しはいかがでしたか?
ネット検索しバトンズに登録しましたが、当時は本当にアクションがあるのかなと半信半疑でした。ところが1ヶ月弱でお相手とマッチングしまして、あっという間に話が進んでいったんです。いざお会いしてみたら、塾の設備と状態が今までのどの案件よりも格段に良いと気に入って下さいました。
また、私の塾の方針として、教える側と教えられる側がお互いに依存するのではなく、自立した関係性であることを大切にしてきました。塾運営は再現性がないと成功しないというのが持論で運営してきたのですが、その点についても理解していただけていたのが良かったです。お相手はこれまでたくさんの塾オーナーとお会いして買収を検討してきたそうですが、経営に対する考え方に相違がありなかなか成約できなかったそうです。
幸い、私とは相性もよく、塾の経営方針や考え方もマッチしていたのでこの方なら大丈夫だろうと思いました。正直、自分がM&Aを行うなんて考えてもいなかったのですが、どんな出会いにもご縁があって何か意味があるのだろうなと今では思っています。
いいタイミングでお相手が見つかったのですね。
そうですね。お相手との相性が良かったのもありますが、実は同時期に結婚しまして、これではまずいと思ったのも後押しになりました。もし自分一人であれば、経営を立て直すためにどうとでもやりようはあったと思います。しかし、結婚したからには家族のことも考えないといけない。それが事業譲渡する決定打になりましたね。
従業員の皆さんはどんな反応でしたか?
とてもびっくりしていました。それでも買い手の方は信頼できる方なので安心してくださいと講師陣を説得したら理解してくれました。
M&Aで事業譲渡した経験を活かし、次は買い手視点で将来の夢である飲食店のM&Aを検討
M&Aされたあと心境はいかがでしたか?
自分がやってきたような小さな会社がM&Aの対象になるなんて本当に思ってもいなかったのでびっくりしています。M&Aは大きな企業のみがやることとばかり思っていましたから。とはいえ、私がいないとまわらない塾運営をやってきたわけではないので、引き継ぎ後は新オーナーがしっかりやってくださると思います。私自身は、ふりかえらないで次のステップに進もうと考えています。
次のステップとは?
無事に塾を譲渡できたいま、残っている事業に注力しチラシやHPの制作の仕事を行なっています。また、今度は買い手の目線でバトンズの募集案件を検索しています。実は将来、バーの経営を行いたいと考えています。今回のM&Aで買う側としてはこういうビジネスのやり方もあるのだなということを学びました。次は買収する側としてM&Aを活用してみたいと思います。
こんなお悩みありませんか?
つなぐマッチングプラットフォームです。
累計5,000件以上の売買を成立させています。
またM&Aを進めるためのノウハウ共有や
マッチングのための様々なサポートを
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