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「塾経営とは人の成長を間近で見ていくこと」 学習塾を譲渡した経営者の話

2020年08月17日

2020年3月1日、神奈川県で学習塾を営む宮入直登様(65歳)は7年間経営した塾を新しい後継者に譲渡されました。塾経営の醍醐味を「人の成長を間近でみていけること」と語り、ビジネス主義の経営とはまた異なる経営視点を大切にしてこられたのが伺えます。今回は、宮入様がどのように塾経営をされてきたのか、またわずか数ヶ月で素敵なお相手様を見つけM&Aでご成約されるまでの体験をお聞きしました。

海外駐在員として日本を外から見てきたからこそ感じた教育への熱意

管理職として大企業に勤めていた宮入様は57歳の時に早期退職。会社員時代は海外駐在経験が長く、当時から外から日本を見た時の日本人のビジネス力低下に危機意識を感じていました。日本のビジネスを強くするには根幹にある教育が最も重要だ。そう考えた宮入様は、第二のキャリアとして教育事業への参入を決意。個別指導型学習塾の経営(FC加盟教室)を始められます。

それ以来、日々の教室運営管理や人事、経理、総務、営業戦略、広告宣伝、中期計画などを一人でこなしてきました。ビジネスプランを考えそれをアクションプランにまで落とし込み、今年はどの高校、どの大学に何名合格させるためには何をすべきなのか、生徒たちの成績の目標設定など、会社員時代に培った経営スキルを塾経営に応用していきました。

ところが、一口に塾経営といってもその業務範囲は広く、講師はほとんどが現役の大学生だったので、彼らのマネジメントもしなければいけません。

「例えば、生徒さんは正直なので、あの先生は嫌だなということを言いますよね。そういう場合、生徒と講師のマッチングも考えなければいけません」。

最も多い時で講師の人数は約30名。塾の生徒さんと講師が増えるほど、宮入様の業務管轄範囲は多種多様になり多忙を極めるようになりました。

子供達が安心して勉強できるサードプレイスのような塾になれば

対生徒と対保護者に向けた塾の運営は一般的な業種と異なり特殊な部分があり、関わるお客様も2倍になるため、その業務の質と量は当初の予想を超えるものでした。

 

「塾経営が他の業種の経営と大きく違う点は、サービスを提供する相手(生徒)と対価をいただく相手(保護者)が異なることなんです。そのため全く新しい視点でサービスの提供方法や商品企画(授業や教材など)を考えなければいけませんでした。考えることが好きで、自分で仕事を開拓して進んでいき、成果を得るというプロセスを楽しめる人だったら、非常に性分に合う面白い仕事かもしれません(笑)」。

 

忙しくはありつつも、やはり小中高生の子供たちの成長を間近でみられることは宮入様にとってかけがえのない経験だったといいます。

 

「生徒にとって家がファーストプレイスだとすると、学校がセカンドプレイス。そして塾がサードプレイスになって欲しいわけです。学年が上がってくるほど親子関係や学校での関係が複雑化していくので、友達にも親にも言えなくてモヤモヤしている子が増えてきます。ところが、先生は子供たちと年齢が近いので、先生と生徒の関係性ができると話をしやすい。すると子供たちは抱えているモヤモヤを聞いてもらえることで、勉強にも身が入りだすのです。こういうとき、他の業種業態にはなかなかないことなので、塾を続けて良かったなと感じていました」。

 

こうした塾の雰囲気は大学生の講師にとっても、これから社会に出て色んな組織で仕事をする際に必要な傾聴力やコミュニケーション能力を磨く経験になっていたといいます。時には宮入様が講師を研修することもありました。

忙しくもやりがいのある日々を送るうち、そろそろ事業承継を考え始める時期に。宮入様のライフプランとして65歳までにはセミ・リタイアして次の道に進む事を考えていました。次のステップは学習環境に恵まれない子供たちを支援する活動との事。

事業承継し信頼できる後継者を見つけるためM&Aの検討開始

事業承継を始めるにあたり、まずはこれまでの宮入様の人的ネットワークを使って教育支援ビジネスに関心がある方たちとのコラボレーションができないか一年くらいかけて模索しました。しかし、いろんな方とお会いしたもののどの方も最初に聞かれる質問はビジネスとして利益になるのかどうか。宮入様は徐々に違和感を覚えるようになりました。

 

「一般的な事業であればその考えは非常に理解できますが、私がこれまでやってきた塾経営とは違うなと。やはり生身の子供たちを預かっているので、ビジネス最重視の経営者視点で後継者を選んでしまうと将来、子供たちに影響が出てしまうと思いました。急に塾の経営や現場の責任者が変わって儲かるのかという視点で塾の姿がコロコロ変わってしまうと、大人の事情を察して裏切られたと感じる子もなかにはいるかもしれない。そこで私自身の考え方もガラッと変えたのです」。

 

思いもよらない事態になったのは、信頼できる相手に塾を引き継いでもらおうとM&Aを具体的に検討し始めた矢先のことでした。去年の夏、宮入様は体調を度々崩してしまったのです。塾の仕事は子供たちの学校が終わる夕方から夜間まで教室を開けておかなければならず、その後の事後処理となると帰宅時間が深夜になってしまう事もあります。夏休みや冬休みともなれば、仕事に関わる時間は朝8時ごろから深夜まで続きます。今までと同様に地域の教育に貢献できるのだろうかと、体力・気力を維持する事への不安が大きくなりました。

 

「これをもう一年してしまうと、生徒や保護者に迷惑をかけてしまうと思いました。そこでネットで検索してバトンズにM&Aの募集案件として載せることにしたんです」。

バトンズで募集を始めてからきたマッチング数は20件以上!

こうして去年11月にバトンズでお相手探しを開始。するとわずか数ヶ月で20件以上のマッチングが宮入様のもとに届きました。

 

「正直びっくりしましたね。そのなかで12〜3名の方と何回かのメールでやりとりをして基本的な双方の考えの擦り合わせをした上でお会い(トップ面談)しお話をしました。数ヶ月間でこれだけ反応があったので、非常に効率がいいなと思いました」。

 

トップ面談では、「まずは塾をやりたいという思いや理由をお相手の言葉でどう伝えてくださるかを重視していました。私も塾の業界からは全く異なる分野から参入しましたので、子供の将来に対してどんな思いがあって、それを塾でどう表現したいのかを面接させてもらった感じです。笑」と、ビジネス主義とは異なる判断基準を重視されました。

 

そしてその中のお一人が、今回塾を譲渡された岩間様だったのです。

 

岩間様の印象について、「レスポンスがとても速い方でした。人によっては私からご連絡すると返信に3〜4日かかることがあります。その段階でその方の本気度をある程度推し測ることができますよね。もう一つは電話から伝わってくる人柄です。岩間様は電話いただいた時のトーンがフレンドリーでお優しい方でした。レスポンスの速い方だと、なかにはガツガツしている方もいらっしゃいました。焦っているのかな・・・背景には何かあるのかな、というのを感じてしまう方もいらっしゃったのですが、岩間様の場合は電話のやり取りから気持ちの優しい方だというのが伝わりました。そこは生徒や保護者と接する上でも非常に大事なポイントです」。

M&Aのお相手を絞り込み、トップ面談から基本合意まではスムーズに進行

トップ面談ではいよいよ対面でのお顔合わせになりますが、岩間様がどんなことを自身に質問すればいいのか検討もつかないはずだと考えた宮入様は、事前にこれまでの現実的な経営の数値や塾生・講師スタッフの様子などをデータでお見せすることで、岩間様が過大な期待を持ってしまい後で落胆しないようにと配慮されていたそうです。

その甲斐もあり、トップ面談から基本合意までは特に論点が浮上することもなくお互いに納得してM&Aを進め2020年3月に無事ご成約されました。

今年の3月といえば、ちょうど新型コロナウイルスが猛威を振るいだした頃。譲受されてすぐ経営を引き継がれた岩間様にとっては厳しい船出となりましたが、宮入様は結果が見え始めるまでには早くとも半年はかかると岩間様にお伝したそうです。

M&Aによる事業承継で繋がった子供達の将来。コロナに負けない塾経営を期待

「自分も塾経営はゼロスタートでした。最初は色々なことをしなければいけませんが、その中で学んだのが焦らず、個人塾は大手塾を真似すると失敗するということ。個人塾は大手塾にはマネできない木目細かい学習支援サービスを通じて勝ち筋を見つけていくことが重要だということをアドバイスさせていただきました」。

 

具体的には、生徒さん達にどんな目的を持って塾に来てもらいたいのかを明確にすることが重要だといいます。例えば中学生であれば5教科500点満点中、300点の壁をどうやって越えられるかを一緒に頑張れる生徒を対象にする。そのための最適な教材選びや教え方の工夫がとても大切だといいます。

 

「塾の経営者っていうのは、アルバイトから始められて社員になり、その後経営者になる人が多いようです。なので、私や岩間さんのように、全くの異業種からの参入はまだそう多くはないと思います。しかし、塾経営は知れば知るほど新しい発見が多く、その妙味に触れれば触れるほどそこから抜けられないんです。笑」。

 

実体験として、自分のペース+30%増しくらいを自身の活動の起点として目指すのがちょうどいいよと、新オーナーである岩間様にアドバイスをされたそうです。岩間様への信頼は厚く、今でもたまに塾に見学に来られ生徒さん達と顔を合わせるとのこと。新オーナーに引き継がれた塾の今後と子ども等の未来を楽しみにしておられました。

 

 

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