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急増するサイトのM&A、閉鎖するより売却のほうがメリットあり。価値が高くなるウェブサイトの特徴

2020年05月20日

M&Aと言えば、「企業や事業を売買すること」が一般的なイメージですが、ここ十数年でウェブサイトのM&Aが活況を呈しています。

広く知られている事例を挙げるとすれば、2006年にGoogleがYouTubeを買収した例などがありますね。

現在では大手企業、大手ウェブサイトのみならず、有名な個人ブログやSNSのアカウント、スマホアプリなど、無数のインターネットサイトが売買の対象となっています。

今回はウェブサイトM&Aが注目されている背景や、売買のメリット・デメリット、ウェブサイトの価値判断について解説します。

 

ウェブサイトのM&A案件が増えている背景

ウェブサイトはプログラムの技術さえあれば、誰でも、いくつでも簡単に作れてしまうものです。

しかし、量産して増やしすぎてしまったウェブサイトを運営するにあたっては、人・モノ・カネ・情報といったリソースの多くを割かねばならず、ある時点を境に整理を迫られることになります。

この整理の際に、選択肢としては、ウェブサイトを「閉鎖」するか、「売却(事業譲渡)」するかの二択があります。

ウェブサイトを不動産や設備などの資産と同じように、継続して利益を生み出す、価値ある資産と考えれば、「売却(事業譲渡)」のほうを選択するのは必然です。

多くの企業や個人がウェブサイトの価値に気づいた結果、ウェブサイトM&Aが増加する背景となっています。

 

ウェブサイトM&Aのメリット

ウェブサイトM&Aについて、サイトを売る側と買う側、それぞれのメリットを見ていきましょう。

サイトを売る側のメリット

サイトを売る側の最大のメリットは、何と言ってもサイト構築や運営にかけたコスト以上に高く売ることができ、本業以上に儲かる可能性もあるということです。

訪問者が多い、収益性が高いと判断されたサイトは、非常に高い金額で売買されます。

さらに、複数のサイトの運営を続けていくと、想像以上に人・モノ・カネの経営資源が分散してしまいます。

所有するサイトのうち、収益性の低いもの、優先度の低いものを売却すれば、その売却益を他の事業に充てることができます。つまり、経営戦略における事業の選択と集中です。

サイトを買う側のメリット

企業や会社がすでに運営されているサイトを買う目的は、サイトを一から立ち上げるより早く新規事業をスタートできる点にあります。

サイトを新規に構築するには、その規模によってある程度の初期費用がかかり、新規に立ち上げたサイトがアクセスを増やすには、ある程度の時間も必要です。

すでに一定のアクセスがあるサイトであれば、新規事業参入のスタートダッシュが図れるだけでなく、収益もスムーズに伸ばすことができます。

さらに、新規にサイトを立ち上げるために必要な人件費、外注費、立ち上げから安定化までの時間といったコストも省くことが可能です。

 

ウェブサイトM&Aのデメリット

ウェブサイトM&Aにはメリットがある一方で、看過できないデメリットもあります。

サイトを売る側のデメリット

サイトであれば何でも売却できるわけではありません。

ウェブサイトをM&Aで売却する場合、一定の審査が実施されます。

審査には「月○万円以上の収益が得られる」「安定したユーザーのアクセスがある」といったいくつかの基準があり、サイトを売却するにはそれら基準をクリアしている必要があります。

さらに、一般的な企業や事業のM&Aよりも気軽に売買ができるため、契約関係ではトラブルも起こりやすくなっています。

安心してサイトのM&A(売却)を成立させるためには、信頼性が高く、実績の豊富な専門家に依頼しましょう。

サイトを買う側のデメリット

サイトを買う側には、すでに一定のアクセス数があり、収益を上げているサイトを「自社や事業のイメージに合わせてリニューアルしたい」という思惑もあるでしょう。

しかし、すでに一定の価値を生み出しているサイトをリニューアルしてしまうと、ユーザーが離れ、収益性を損なうリスクもあります。

サイトのリニューアルを行う場合は、専門家の意見を取り入れ、段階的に行うのが望ましいでしょう。

 

バトンズに掲載されているサイトの案件を見る。

 

 価値が高いウェブサイト案件の特徴とは

ここでは、ウェブサイトを買う側にフォーカスして、どういったサイトが「価値が高い」と言えるのか、サイトの種類別に特徴をまとめました。しかし、買収相場については、個々のサイトによって月間営業利益の何ヶ月分が妥当なのかは大きく変動しやすいため、おおよその参考となります。

アフィリエイトサイト

買収相場:月間営業利益×12~24ヶ月分

アフィリエイトサイトは、取り扱っている商品やサービスの認知度がポイントです。

1つの商材に特化しているタイプでも、さまざまなジャンルを取り扱うタイプでも、検索順位が高く、多くのアクセスを集めるようなメジャーな商材を取り扱っているサイトのほうが、高く評価される傾向にあります。

逆に、ニッチな商材は、いわゆる「濃いユーザー」からのアクセスが見込まれますが、どうしても案件が頭打ちになってしまい、サイト買収後に収益が上げられなくなるリスクがあります。

さらに、サイトのM&Aでは、被リンクの数も重視されます。

そのため、被リンクの数が多く、クオリティーも高いサイトは「買い」と言えます。

ECサイト・ネットショップ

買収相場:月間営業利益×12~24ヶ月分

ECサイト・ネットショップは、買い手側がサイトだけでなく在庫や仕入先、商標権、顧客リスト、運営ノウハウなども譲り受けることになります。

買う側は、サイト構築にかかるコストの削減、販売チャネルの拡大、EC業界への安全な参入、さらには顧客をそのまま引き継いだことによるシナジー効果に期待して買収を試みるため、単純に営業利益が上がっているだけでは、買収価格に対する費用対効果が高いとは言えません。

では、買いか否かをどこで判断するかと言えば、サイトの伸びしろです。

たとえば、ブランドや集客力がすでにありながら、サイトデザインがやや古い、ランキングやレビューなどが設置されていない、商品は売れるがコンテンツが十分でないなど、まだ伸びしろのあるサイトはシナジー効果を生み、買収後も大きな利益をもたらしてくれるでしょう。

マッチング系サイト

買収相場:月間営業利益×24~36ヶ月分

恋愛マッチングサイト、ビジネスコンサルタントマッチングサイト、起業家・投資家のマッチングサイトなど、現在ではさまざまなジャンルのマッチングサイトが登場しています。

売りに出されているマッチングサイトは個人所有のケースが多く、サービスのニーズが高くなるにつれ、セキュリティーや問い合わせ対応のリソースが必要となるため、発展途上のうちに安く買えるというメリットがあります。

そのうえで、ECサイト・ネットショップと同じく、SEO対策やコンテンツなどに発展の余地があるマッチング系サイトは、より充実させることでさらなる収益を生む可能性があると考えられます。

ポータルサイト

買収相場:月間営業利益×36~60ヶ月分

ポータルサイトは構築して集客するまでに非常に多くのコストがかかるため、ウェブサイトM&Aではもっとも相場が高いジャンルです。

たとえば、無料で素材画像をダウンロードできる会員制サイト、観光名所の歴史や見どころを知ることができる情報サイトなど、取り扱っている情報や運営形態が収益性に影響するため、買収する際は収益モデルを慎重に判断する必要があります。

すでに収益モデルが確立されており、なお会員数やユーザー数が増えると判断できるポータルサイトは「買い」と判断して良いでしょう。

個人ブログ

買収相場:月間営業利益×12~30ヶ月分

個人が運営するブログは、他では得られない管理人独自のリアルな体験が綴られていたり、優れた被リンクが得られたりするため、市場価値が高いサイトのひとつです。

サイトM&A市場では、PV数が稼げる芸能情報ブログや子育てブログ、趣味ブログなどの人気が高まっています。

ブログは記事数が多いこと、ニッチ過ぎず更新しやすいジャンルを取り扱っていることなどが高く評価される条件ですが、加えて、ある程度のPV数が稼げているにもかかわらず、ほとんど収益化がされていない場合は、収益改善余地が高いと判断できるため、「買い」の案件と言えるでしょう。

 

まとめ

ウェブサイトM&Aは、企業や事業の売買と比べて気軽にできて、大きなメリットが得られるという強みがあります。

売り手はまとまった資金を手に入れ、より集中したい事業にリソースを注力することができ、また買い手は一からサイトを構築するよりも低いコストで、収益性の高いサイトを手に入れることができます。

その気軽さの反面、希望価格で売れるとは限らない、買収したものの収益が伸びない、想像以上に税金がかかるなどの問題点もあります。

実際にウェブサイトM&Aを行う際は、必ず専門家のアドバイスを仰ぎ、メリットだけでなく注意すべきポイントをしっかりと押さえておくようにしましょう。

 

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