ノウハウ

2019.12.03

京都府や岐阜市、中小企業の事業承継支援に積極的。中小企業庁の事業承継補助金にも引き続き期待

「事情があって会社を経営するのが難しくなったけれど、後継者が見つからない」

「中小企業の事業を譲渡・売却するときに使える補助金や支援について知りたい」

後継者がいるのであれば問題ありませんが、後継者不在の場合、経営者はたとえ黒字であったとしても廃業あるいは事業を第三者に売却するという選択肢を検討することになります。事業を売却することができれば、経営者は売却益を得られるだけでなく、事業を存続させることができるため、廃業のまえにまずは事業の第三者承継を検討することをお勧めします。

また最近では、中小企業庁や各自治体が補助金を助成しており、より事業譲渡のための支援も充実してきています。そこで、今回は中小企業の事業譲渡について解説し、自治体が行っている支援について紹介します。

事業承継に悩む中小企業の方法

少子高齢化が進む日本には後継者を見つけることができず、事業承継に悩む経営者が多くいます。中小企業白書2017によると、33.3%の経営者が後継者を確保できないことを理由に廃業を検討しています。

育ててきた事業を存続させ、引き続き従業員を雇用し続けるためにも、事業承継を成功させたいものです。では、事業承継にはどのような方法があるのでしょうか。

経営している会社の事業を承継するには3つの方法があります。

  1. 親族内承継
  2. 親族外承継
  3. 事業譲渡・売却・統合(M&A)

 

それぞれの方法について簡単に見ていきましょう。

親族内承継

経営者の配偶者や子どもを後継者として、事業を存続させる方法が親族内承継です。会社の関係者から後継者として受け入れられやすく、教育期間を確保できる点がメリットです。

しかし、少子高齢化や核家族化によって親族内の後継者候補が少なくなり、この方法の難易度は上がってきています。また親族が必ずしも事業の承継を望んでいるとは限りません。親族内承継が難しいときは親族以外に事業を承継させる方法を検討する必要があります。

親族外承継

自社の従業員や役員から適任者を探して、後継者を見つける方法が親族外承継です。親族内承継に比べて後継者候補の範囲が広いため適任者を見つけやすく、教育にかかる期間が少なくなるメリットがあります。

しかし、それでも限られた範囲から候補を擁立しなくてはならないため、適任な後継者を選ぶことができない懸念があります。また承継には多額の相続税や贈与税が発生するため会社として多額の出費が伴う方法です。こうした背景から、最近では第三者への事業譲渡が注目されています。

事業譲渡・売却・統合(M&A)

会社の事業や人材を第三者に譲渡する方法が事業譲渡・売却・統合(M&A)です。金融機関やM&Aアドバイザーなどに相談することで、手広く適任の後継者を探すことができます。

事業譲渡は廃業コストがかからず、むしろ売却益を得ることができる方法です。また買い手側とのシナジー効果により事業をさらに拡大することも可能です。

事業譲渡・売却・統合(M&A)が広まる理由

親族や従業員に経営者として相応しい人が存在しないからといって、育ててきた事業をたたんでしまうのは口惜しいものです。そこで、外部から後継者を招聘し、事業譲渡を行えば適任の経営者の指揮のもと、事業を存続させることが可能になります。

また、廃業には資金が必要になりますが、事業譲渡を行うことができれば廃業資金が不要になるだけでなく、売却益として資金を得ることができます。一部の事業のみの売却といった分割もできるため、コア事業を第三者に、負担の少ない事業は引き続き創業者が経営するといった方法を取ることも可能です。後継者不足で廃業を検討する前に、まずは事業譲渡を検討してみましょう。

国・自治体による事業承継支援

国や自治体も事業承継を支援して中小企業の活性化を促すため、事業承継を行う企業に対して補助金の支援を行っています。まずは中小企業庁の支援からご紹介します。各種支援の内容や申込み方法について簡単に見てみましょう。

中小企業庁による事業承継補助金

事業承継・M&Aによる事業者の新しいチャレンジを応援するために、中小企業庁は事業承継補助金という制度を定めています。経営者の交代や事業の統合などで経営革新をするときに必要な経費を補助してくれるものです。

例えば後継者承継支援型(Ⅰ型)の場合、承継関連経費の2/3以内で最大200万円まで補助してくれます。もし事務所や事業の廃止などで事業整理が行われた場合、最大300万円の補助金が上乗せされるため、最大500万円の支援が受けられます。

また、事業再編・事業統合支援型(Ⅱ型)ではM&Aによる経営革新に対し、経費の2/3以内で最大600万円まで補助します。もし事業整理があればさらに600万円の補助金が上乗せされます。

平成30年度第2次補正の事業承継補助金における申請受付期間は2019年7月26日まででした。制度が継続されるかどうかは確実ではありませんが、令和2年度以降も4月ごろから公募が始まる可能性がありますのでHPを確認しましょう。

パンフレットの閲覧や申請は事業承継補助金事務局のホームページから行うことが可能です。

各自治体による支援

自治体によっては後継者問題を解決するために、M&Aによる事業承継の経費を助成してくれる場合があります。例えば岐阜市では市内で事業を営む中小企業者で、市内に本店または住所を有する人に支援をしています。

このケースではM&Aを進めるのに必要な費用やコンサルティング料などが補助対象経費に含まれます。岐阜市の補助額は補助対象経費の1/2以内として、上限金額は50万円と決められています。

必要な書類をすべて用意して、岐阜市役所商工観光部産業雇用課に手続きすることで申請できます。申込期間や必要書類などについては岐阜市の「事業承継サポート補助金のご案内」をチェックしましょう。

また、自治体は補助金だけでなく融資による支援も行っています。

京都府では中小企業の運転資金に対して最大2億円、無担保で8千万円までを融資し、資金不足による事業承継の断念を防ぐ取り組みをしています。

岐阜市や京都府に限らず、全国の自治体でこうした補助金や融資の制度は広がっていて、自治体と地域の金融機関、商工会議所などが協力して運営しています。

拠点にしている地域がどのような支援を行っているか確認してみましょう。

事業承継ネットワーク

中小企業庁は、国内の23県の商工会や金融機関など、事業承継のためのネットワークを築いています。身近な支援機関に事業承継を相談することで、マッチング支援や環境整備の支援を受けられるのが特徴です。

事業承継ネットワークに対応した地域事務局の事業者や電話番号は中小企業庁「事業承継診断~10年先の会社を考えてみませんか?~」からチェックできます。

自治体と協力して事業を残そう

育ててきた会社の事業承継は経営者にとって非常に重要な課題です。引退後、会社をどういった形で残すことができれば従業員、家族、自身の幸せに繋がるのかをよく考え、あらゆる選択肢を検討してみてください。そのうえで、国や自治体からの補助金やサポートを有効活用していきましょう。