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【会社を売るなら必見】会社や事業の譲渡交渉で、どんな資料を用意するのか

2019年05月14日

▼M&Aで会社や事業を売ろうとする際、アドバイザーや買主から最初に求められるものはなんでしょうか。実は、直近3期分の決算書(申告書、勘定科目明細含む)を見せてくださいと要求されます。銀行融資でも、事業の内容や状況を把握するため3期分の決算書を要求されるのが一般的です。

 

たかが決算書と侮らないこと

 

しかし、事業所得税の納税のためには申告書に決算書を添付するのが普通ですが、個人事業や小規模企業では決算書が保存されていないというケースもあるかと思います。また、個人事業では、決算書作成を自身で行い、どんぶり勘定で納税しているケースなどもあるでしょう。

納税申告書と領収書等の証拠書類は9年保存が法定義務(平成30年4月以降は10年に延長)ですので、(M&Aを考えているかどうかにかかわらず、)決算書や資料はしばらくの間保存しておきましょう。特に、税務署の文書収受印のある納税申告書の控えは、事業主や会社の正式な決算資料となります。必ず一式保存しておきましょう。

なお、決算書は作ったが、作成の過程でいくつかファイルがあり、どれが正しいかわからなくなったというケースも散見されます。ファイル名に最終版と表示されているのが複数あることもあります。気持ちは最終版でも、必ず日付を付けるとともに不要になったファイルは消去していきましょう。

 

会社を売るには、会社を知ってもらう

 

今回は、M&Aにおいてどのような書類が必要になるか、決算書を中心に、M&Aのプロセスごとに検討してみます。説明のために、M&Aのプロセスを以下の4段階に分けます。必ずしもこの順番に進むとは限りませんが、この4つがM&Aの重要なステップになります。

 

  • マッチング
  • 価格交渉
  • デューデリジェンス(買収監査)
  • 譲渡契約

 

第一段階 マッチング

マッチングというのは、いわば出会いです。特にM&Aにおいては、買いたい方が売りたい会社や事業を見て、「自社事業と組み合わせたら面白い」「自分のスキルでもっと成長させられそう」などと思うことで始まります。インターネットが盛んな現在、このマッチング機会は飛躍的に増えています。

個人事業や小規模企業など、事業規模が小さくなればなるほど買いたい方を探すのは困難になるので、ネットを活用したマッチングが有効です。数万、数十万という中から後継者が浮上することは大いに考えられます。マッチングの機会を逃さない準備が必要です。

ただし、後継者とはいえ、当然買う方もなんでもよいわけではないので、承継する事業は魅力的であるほどよいでしょう。事業承継の意義を盛り込んだ企業(事業)概要書を作成して、きらりと光るものをしっかり強調しましょう。中小企業のM&Aでは、売上や利益だけではなく、絶えさせてはならないという共感が得られることや、(大きすぎない)追加投資や戦略修正などによる成長性を見せることで、映える概要書になります。

先程来でてきています、この段階で必要な書類は、企業や事業の概要書(IM:Infomation Memorandum)と言います。お見合いで言うところの釣書に相当するもの、採用面接で言うところの履歴書、職務経歴書にあたるものです。あまり見るのに時間がかからないよう、重要な事項を簡潔にまとめておくのが肝要です。このような概要書が英語でFact Sheetと呼ばれるように、数字は事実に基づいたものを記載します。記載情報を基に買いたい方は条件を考えますので、(特に財務面において)お化粧したりするのはご法度です。

 

第二段階 価格交渉

買主がマッチングした時点で、「これから開示される機密情報は許可なく漏えいしません」という旨の秘密保持契約書を取り交わし、具体的な交渉に入ります。

ここでM&Aの重要なポイントは譲渡対価に移ります。営利事業である以上、いかに社会的な意義が大きくても、元が取れないようでは買うことはできません。

そこで、資産状況、売上、利益などをベースに譲渡対価を計算します。売主希望価格が妥当かどうかの検証です。このときに、直近3期の決算書が基礎資料となります。決算書は以下の三種類の経理的な書類で構成されます。(小規模事業の場合、資金繰り表は含まれないことが多いです。)

  • 貸借対照表

会社の資産と負債を表示したものです。

  • 損益計算書

会社の一年間の売上と原価・経費を示して、利益を計算するものです。

  • 資金繰り表

資金不足に陥らないための必要資金の変動を示すものです。

 

以上の資料に加え、従業員の状況や取引先の状況、業界の将来性などを総合的に勘案し、買主は資産をいくらで買い取り、必要な追加資金をいくら準備すれば、いくらの売上と利益を期待できるかという計算を行います。この計算に基づき、売主が要求している価格が妥当か考えます。

ただ、決算書が出来上がっていても、「節税のため保険に加入しています」「事業にあまり必要のない交通費も含まれています」などといった、事業には関係のないものが入り込んでいるケースや、決算期では見えないものの実態はもっと高い(低い)といった資産なども多いのではないでしょうか。また、従業員の状況なども判断基準になり得ます。(従業員が全員60歳以上です、というと将来の事業計画も変わってきます)

ですので、下記のように、

  • 足元の預貯金額
  • 不動産の時価
  • 回収不能売掛金の有無
  • 保険の解約返戻金額
  • 融資残高と利率、抵当権と保証人
  • 退職金規程の有無
  • 取引先ごとの売上
  • 仕入れ原価
  • 役員の業務内容

などの情報を別途準備するのが普通です。はっきりいって、決算書をもう一つ作るようなものです。

ただ、同業比較が可能な反復継続的なビジネスの場合、売上・利益の基礎となる数字でM&A価格が決定することもあります。たとえば、調剤薬局の譲渡金額は、処方箋数で決まることもあるようです。

 

第三段階 デューデリジェンス(買収監査)

Due Diligence(DD)は買収監査や企業調査と呼びます。売主が開示した情報が正しいものか精密に査定することを言います。会計士や弁護士などが有償で行うのが普通ですが、中小企業の事業承継型M&Aにおいては、あまり費用をかけられないことが多いです。(譲渡対価300万円に対し、DDに200万円をかける、ということはあまりない)

 

大型M&Aでは大手コンサルタント会社に莫大な対価を支払って依頼するDDですが、コンサルタントは通常以下の視点などから対象会社の精査を行います。

 

  • ビジネスDD
  • 財務DD
  • 税務DD
  • 法務DD
  • 労務DD

 

ビジネスDDは、企業の強みや弱み、市場の将来性、市場での立ち位置、社会的意義など事業全体を総合的に分析し把握するものです。

法務DDは、係争中の事件がないか、必要な認可や届け出に不備はないかなどを調査するものです。事業認可や資格証明書類など関連する書類は正本の存在を確認して、写しを準備してください。係争案件がある場合は、一件書類を準備してください。

決算書が重要になるのは、2,3番目の財務・税務のDDです。売主から開示された経理・財務・納税に関する資料が実態を示す妥当なものかを専門家が精査します。このときに、どんぶり勘定であれば、専門家の調査の手間と時間がかかり、DDに必要な費用がかさむことになります。

買主にとっても、重要な経営資料が整理されていない会社を引き継ぐのは二の足を踏みたくなるものです。商談が整っても、取引価格は低くならざるを得ません。(素性の分からない方とお見合いをしても、結婚したいとは思わないですよね)

財務・税務DDを有利に展開するためには、買主の立場に立って、現時点で考えられる限りの正しい数字と裏付けを説明できるように準備することが大切です。それが結果として買主のスムーズな検討や、好印象につながります。

また、隠れた債務があるなら、隠さずDDの段階で説明しましょう。特に会社が、他人(社長含め)のために保証行為を行っている場合や社長名義で会社の借り入れがある場合は申告していなければ、最悪の場合、虚偽の説明になることもあります。また、税務申告に過少申告や税務否認の恐れがある場合は、できるだけ具体的に説明しましょう。

後日の紛争を防ぐためには、ありのままに説明することが肝要です。

 

第四段階 譲渡契約

企業や事業のM&Aで、後日に紛争が起こるのは、「話が違う」という点です。例えば譲渡契約書の中で保険を解約することが謳ってあり、双方で合意していたとしても、「なぜ解約することになったか認識が異なる」など後に出てくることはよくあります。

お互いに心を開き交渉するだけでなく、細かくいつ、誰、なぜそうなったかなど、その時々の議事録をつけるようにするとよいでしょう。仲介者などのアドバイザーをつける場合、その方に議事録をつけてること確認しておきましょう。粉飾や省略することなくしっかりと説明し、記録に残すことで後日の紛争は防げます。

 

いつでも売れるようにするためには

 

個人事業や小規模企業の承継目的のM&Aにおいて、売主が準備する資料としては以下が重要です。自分がこの会社を買う立場になって考えてみるのが良いです。

 

  • 経営の実態を表す決算書(申告書一式)3期分
  • 購入者の懸念を持たせない経営関連資料(従業員一覧や不動産鑑定、取引先別売上など)を準備しましょう。
  • 資料に説明されていない懸念事項は、正直に説明しておきましょう。

 

以上、小規模事業の承継型M&Aに必要となる書類、特に決算書の重要性についてご説明しました。

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