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受託開発から自社商品メーカーへ。シナジーを見据えた M&A で描く成長戦略

2026年08月27日

通信機器開発を祖業に、総合型エンジニアリンググループとして事業領域を拡大中のテクノブレーンズ株式会社。2026年3月には、隣接技術ながら別ジャンルの製品開発を主軸とする株式会社府中技研を譲り受け、グループ4社体制へと移行しました。受託開発を中心としてきた同社が、自社商品を持つ企業に着目した理由やこれまでのM&Aを通じた事業拡大の軌跡について、代表取締役の池口様にお話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 株式会社府中技研
業種 製造・販売(放送機器・医療機器等)
拠点 東京都
譲渡理由 後継者不在

 


 

譲受企業
社名 テクノブレーンズ株式会社
業種 開発・設計(通信機器・産業用設備等)
拠点 東京都
譲受理由 成長領域への事業拡大

 企業概要 

テクノブレーンズ株式会社
HP:https://www.technobrains.co.jp/

1962年、株式会社相模精工として創業。その後、東京都稲城市へ移転し、2001年に現在の「テクノブレーンズ株式会社」へと社名変更。祖業である通信機器開発と技術者派遣に加え、M&Aを通じて工場自動化システム開発、研究自動化システム開発、医療機器開発へと事業領域を拡大。現在はグループ4社体制で、「安心・安全・快適な社会づくりに貢献する製品・サービスを開発し、社会に貢献する総合型エンジニアリング会社」を目指している。

 

  受託開発を軸にM&Aで事業領域を広げてきた歩み

――貴社の沿革と事業概要について教えてください。

当社は、1962年に私の父が相模精工として創業した会社です。その後、私が1994年に社長に就任し、2001年にテクノブレーンズへと社名を変更しました。

父の代は通信機器の開発が中心でしたが、生産拠点が台湾や中国へシフトする中で、弱電メーカーの下請けという立場だった当社は国内需要が徐々に減少。その市場変化を受け、M&Aを通じて新たな事業を獲得・育成する形で、工場自動化などの領域へと広げてきました。

また、人材派遣事業は、開発でお世話になっていたメーカー様から人材面での協力を求められる機会が多く、派遣法の枠組みの中で整備・事業化したものです。

――貴社のこれまでのM&A実績を教えてください。

最初のM&Aは、当社からスピンアウトした会社の譲り受けでした。20年以上前のことですが、経営が立ち行かなくなり、支援してほしいと相談を受けたのがきっかけです。社内には「出ていった人間をなぜ助けるのか」という厳しい声もありましたが、経営力が足りなかっただけで技術力は確かだったため、資金面で支援をしました。

その後、成長分野への本格的な進出を目的としてM&Aに取り組んだのが、2016年のタイヨー電子との資本業務提携です。これにより、工場自動化システム開発、研究自動化システムそして医療機器開発の領域を強化し、続く2018年にはキサナドゥとも資本業務提携を結びソフトウェアー領域の強化を図りました。

自社商品を持ち、開発から販売まで手がける点に魅力

――今回、府中技研様とのM&Aに至った経緯を教えてください。

バトンズに掲載されていた案件の中で、後継者不在の課題を抱える府中技研を見つけ、実名開示を依頼したことがきっかけです。M&A仲介として間に入っていた株式会社日本リンクスの大室様とやりとりしながら、交渉を進めていきました。

――府中技研様のどのような点に魅力を感じられたのでしょうか。

これまで当社グループは、タイヨー電子やキサナドゥを含め、大手企業様からの受託開発を事業の軸としてきました。一方、府中技研はFM送信機やカメラの遠隔制御機器といった「自社商品」を持ち、開発から販売までを一貫して手がけています。この点が非常に魅力でした。

当社は長年エレクトロニクス系の装置開発に携わってきたため事業領域が近く、シナジーを創出できると判断しました。自社製品を持つことで新たな展開も見込めますし、また私個人としても無線関連の事業に携わってきた経験があり、その点でも強く惹かれました。

――先方との交渉はどのように進みましたか。

先方は、実質的なオーナーである会長様、現社長様、現工場長様の3名で交渉の場に臨まれていました。これまでのM&Aでは、オーナーや代表の方お一人とやり取りすることが多かったため、複数の方と同時に向き合い、それぞれの意見を擦り合わせするのは初めての経験でした。

また、先方とは一度お会いしたことがありました。まったくの初対面ではないという、心情的にもこれまでとは違った緊張感のあるM&Aでしたね。

――デューデリジェンスの過程はいかがでしたか。

近年、資料が十分に整っていないまま話が進む案件も少なくない中、府中技研は資料が大変丁寧に整理されていました。そのため内容の確認をスムーズに進めることができ、非常に助かりました。

これは、府中技研の運営体制の素晴らしさだけではなく、仲介として支援されていた日本リンクスの大室様のきめ細やかなサポートがあったからこそだと感じています。

グループ4社のシナジーを高めるPMI、そして次のM&Aへ

――M&A後のPMI(経営統合プロセス)はどのように進めていますか?

現在、グループは4社体制となりました。この4社の力をうまく組み合わせてシナジーを生み出さなければ、単に売上が合算されるだけになってしまいます。そのため、まずはグループ各社の相互理解を深めることに注力しています。

契約締結直後の3月末には、全社員を対象にしたパーティーを開催し、営業会議にも府中技研のメンバーに加わっていただくなど、現場同士の交流を進めています。そのおかげもあり、現在では私が旗を振らなくとも、グループ各社の社員が相互の受注拡大に動いてくれています。

一方で、今の忙しさが落ち着いた後の受注減少や、稼働率低下などのリスクも見据えなければなりません。そのため、次の事業の柱を育てるための体制づくりを進めていきたいと考えています。府中技研ではすでに部課長クラスまで巻き込んだ中期計画が策定されており、その実行状況を確認しながら必要な投資を段階的に進めていく方針です。

――今後のM&A戦略について教えてください。

私が現役でいられる間は、引き続きM&Aを事業拡大の重要な手法として活用していく考えです。技術力はあるものの、経営面に課題を抱えている会社があれば検討したいです。既存各社の技術と近い領域を対象に、グループ内の事業ポートフォリオの入れ替えも積極的に進めていく方針です。

通信業界は技術の移り変わりが早く、インフラとしての通信のあり方自体も変化し続けています。これまで、時代に合わなくなった事業をいくつも見てきましたので、常に先を読み、早め早めに手を打つことを意識しています。

――M&Aを進める上で大切にされていることはありますか。

リスクヘッジの観点から、労務まわりのデューデリジェンスはとくに丁寧に行うことを心がけています。一方で、意向表明からクロージングまでの短い期間で相手先を理解するのはかなり難しいので、仲介会社様とのコミュニケーション、トップ面談を重ねながらM&Aにのぞむ必要があると考えています。

――最後に、バトンズをご利用いただいての感想をお聞かせください。

私自身の業務の3分の1ほどはM&A関連の情報収集や交渉に充てております。案件探しから仲介会社とのやり取りまで基本的に自分で行っています。そんな中で、バトンズは、府中技研との出会いのきっかけになりました。良い機会をいただけたと思っています。

【成約を支援したご担当者様のコメント】
本件への弊社の関与は、2023年2月に対象会社である(株)府中技研様を多摩地域事業承継・引継ぎセンター様から紹介いただいた時点に遡ります。創業者様が80代半ばのご高齢であることが承継を指向された最大の理由でした。

同社は長い歴史の上に放送業界におけるブランドを確立した優良企業であり、その技術の価値と経営の独立性を尊重いただける承継先を希望なさっていました。売主様の思いに応えるべく、経営力と技術力とを兼ね備えた候補先を何社か紹介いたしましたが、友好的に交渉は進むものの契約締結に至らない事案が続きました。今振り返ると、自社製品を持つ大企業様にとって規模が小さく見える未知の事業に乗り出す判断はハードルが高かったのかもしれません。

そうした中で、BATONZ様経由で池口会長からご連絡をいただき、交渉がスタートしました。池口会長と次代を担う若い経営陣(会長のご家族)によるテンポ良いDDの質疑が執り行われ、早い段階で意向表明書をいただきましたが、他社経由で並行して進んでいた別の買い手候補が煮え切らず、お待たせしてしまう局面が生じてしまいました。

結果として売り主様がもう一社を見切ったことで、事態が打開されました。池口会長が状況を冷静に見守って頂けたことで、今回の成約につながったと感謝しております。主要株主であった創業者様からもねぎらいのお言葉を頂けたことも忘れられません。

テクノブレーンズ様は今回の案件をグループ事業発展の重要な通過点と位置付けられており、対象会社への深い理解と共感に基づいてPMIが進められております。微力ながら両社のご縁を取り結ぶお取引に貢献する機会を頂けたことに感謝いたします。

株式会社日本リンクス
大室剛様

誰でも会社を売買できる時代に、テレビで話題急増中

成約事例 技術力・開発ノウハウの強化 東京 製造業(機械・電機・電子部品) 買い手

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