沖縄のオーガニックショップを譲受!副業をきっかけに、遠隔で挑む店舗マネジメント
2026年08月19日
2026年08月19日
東京でマーケティング業を営む株式会社SOMETHING代表の平野雄大様は、バトンズを通じて沖縄のオーガニックセレクトショップを事業譲受。沖縄の店舗スタッフと遠隔でコミュニケーションを取りながら、店舗ビジネスに新たに挑戦しています。本業とは異なるビジネスにM&Aで参入した理由や、譲受先選定でこだわったポイント、リモートで店舗運営を円滑に進めるコツなどについて伺いました。
| 譲渡企業 | |
|---|---|
| 社名 | mana.OKINAWA本店 |
| 業種 | 小売 |
| 拠点 | 沖縄県 |
| 譲渡理由 | 選択と集中 |


| 譲受企業 | |
|---|---|
| 社名 | 株式会社SOMETHING |
| 業種 | マーケティング |
| 拠点 | 東京都 |
| 譲受理由 | 新規事業参入 |
──平野様のこれまでのご経歴についてお聞かせください。
新卒で外資系の広告代理店に入社し、営業や企画、マーケティングなど、幅広い業務に携わりました。約5年間勤務した後、オリンパスや博報堂などを経て、2025年4月に株式会社SOMETHINGを立ち上げました。
新卒から40歳まで大手企業で働いてきましたが、もともと自由度の高い働き方が自分には合っていると感じていました。新しい環境に飛び込み、これまでにない経験を積みたいという思いもあり、起業の道に進みました。
── 起業直後にオーガニックセレクトショップ(現:Sounds Good organic)のM&A交渉を進められています。M&Aはいつごろから検討されたのでしょうか?
M&Aには起業前から関心を持っていました。創業する1〜2年ほど前から、副業の選択肢としてバトンズなどのM&Aプラットフォームに登録し、情報収集をしていました。そのため、起業と同時期にたまたま素晴らしいご縁に恵まれ、M&Aが実現したという経緯です。
──情報収集の段階で、どのような事業を検討していたのでしょうか?
検討していた業種は、大きく分けて「Webメディア」と「カフェ・小売店などの店舗ビジネス」でした。Webメディアを検討していたのは、会社員時代に培ったスキルや知識を生かしやすいという考えからです。
一方、カフェや小売店に興味を持ったきっかけは、広告代理店時代の経験からです。大手企業のフラッグシップショップを全国に出店する仕事に携わり、企画から、実際に物を販売するまで携わることができる店舗ビジネスの「構想」と「手触り」のバランスに魅力を感じ、店舗ビジネスにも挑戦してみたいと思っていました。

── 譲渡案件を絞り込む際は、どのような条件を重視していましたか?
店舗ビジネスで最も重視したのは、私が現地にいなくても、スタッフだけで運営できるかどうかです。本業と併行するため、現場だけで自走できる体制は欠かせませんでした。
今回譲り受けたオーガニックショップは、店舗のインテリアや什器がきれいだったので、大きな追加投資をせず運営を始められそうだったことはひとつの魅力でした。譲渡金額が予算内でも、改装や設備の入れ替えに費用がかかれば、総額は大きく膨らみます。その点、この店舗は追加投資を抑えられると感じました。
実際、引継ぎ後に大きく変えたのは看板くらいです。あとはユニフォームや店内の細かな部分を整えた程度で、ほぼ予定通りの初期費用でスタートできました。

── 売り手様とトップ面談をした際、どのような印象を持たれましたか?
売り手様はオリジナルのサステナブル商品に加え、国内外の環境に配慮した商品を扱っていました。お話をするなかで、環境問題やサステナビリティに対する強い思いを感じました。
一方、当時の私は、オーガニックやサステナブルにそこまで強い関心があったわけではありませんでした。売り手様が大切に育んできたショップを、自分が引き継いでよいのだろうかという迷いもありました。
──迷いがあったところから、最終的に決断されたのは何がきっかけだったのでしょうか?
実際に沖縄を訪れ、店舗を見たことです。お店の雰囲気がとても良く、売り手様の思いを引き継ぎながら、この場所を守り育てたいと思いました。
また、店舗がある嘉手納町には米軍基地があり、お客様の約半数が外国の方です。リピーターも多く、外国人のお客様の平均購入額は、日本人のお客様の約3倍です。継続的に利用してくださる常連客がいることは、大きなプラス材料でした。
── スタッフの継続有無は、どのタイミングで確認されたのでしょうか?
契約前に、当時働いていた2名のスタッフが、M&A後も勤務する意思があるかどうかを、売り手様を通じて確認しました。お二人とも残ってくださるとのことだったため、最終的に譲受を決めました。
──スタッフに安心して働いていただくために、工夫されていることはありますか?
譲受後すぐに、残ってくださったお二人へメッセージを送りました。まず伝えたのは、引き続き当店で働くことを選んでくださったことへの感謝です。
そのうえで、お互いの役割についても共有しました。オーナーである私の役割は、売上や収益を伸ばし、事業を継続させること。一方、お二人には、目先の売上にとらわれず、お店のファンを増やすことを大切にしてほしいと伝えました。また、変化を前向きに捉え、新しいことにも挑戦してほしいと話しました。
実際、お二人ともファンづくりを意識しながら店舗を運営してくれています。毎日の日報で店舗の状況を報告してもらい、LINEでもこまめにやり取りしています。
── 遠隔からの運営でも、良い関係を築けているのですね。
今回の譲受で最も大きな価値だったのは、残ってくださったお二人の存在だと感じています。お二人とも前向きで話しやすく、日々のコミュニケーションもとてもスムーズです。店舗を運営するなかで、あらためて人の大切さを実感しました。
最初のメッセージでは、私が大切にしたいチームのあり方も伝えました。仕事だけでなく、家族や自分らしさも大事にしてほしいということです。もちろん、理由のない急な欠勤や早退は困りますが、家族に関わる事情であれば、仕事より優先すべきこともあります。
また、性善説を前提に、嘘をつかず、お互いを信頼できるチームにしたいとも伝えました。最初にこうした考えを共有できたことは、その後の関係づくりにおいて大きかったと思います。最近加わった従業員にも、入社時に同じメッセージを送っています。
── M&A後、店舗運営や集客の面で変えたことはありますか?
店舗名を「mana.OKINAWA本店」から「Sounds Good organic」に変更しました。「オーガニック」という言葉には、少し堅く「こうあるべき」という印象もあります。私としてはもっとフランクで、気軽に立ち寄れるお店にしたいという思いがありました。
成分や環境への配慮はもちろん大切ですが、「デザインが好き」「使いやすそう」といった感覚で選んでもよいと思っています。オーガニックに詳しくない方にも楽しんでもらいたい、という思いが店名には込められています。
店舗名以外で大きく変えたのは、営業日です。当初は人員の都合で週4日営業でしたが、新たに従業員を採用し、現在は週6日営業にしています。
集客面では、Googleマップ上の店舗情報を整えるMEO対策や、店舗専用のInstagram運用に取り組んでいます。LINEでつながっているお客様への情報発信にも力を入れています。そのほかの仕入れ先や商品構成は、基本的にこれまでのものを引き継いでいます。

── 前店舗の商品構成を受け継ぎながら、新たに加えた商品もあるのでしょうか?
これまでは、お土産需要を十分に取り込めていませんでした。そこで、沖縄で生産・開発された商品を積極的に仕入れています。
たとえば、うるま市の「TETTOH TEA FACTORY(テットウ ティー ファクトリー)」が手がける沖縄紅茶です。廃業した茶畑の復活を目指し、沖縄在来種の「やまぐすく茶」を無肥料・無農薬で栽培しているのが特徴です。収穫量が少ないため、当店ではケニア産の茶葉とブレンドして販売しています。
もう一つが、沖縄市の工房でつくられているクラフトチョコレート「LIVES CHOCOLATE(ライブス・チョコレート)」です。厳選したカカオ豆と沖縄県産のさとうきびからつくられています。当店ではパッケージ商品だけでなく、加工前のチョコレートを塊のまま仕入れ、量り売りしているのが特徴です。
沖縄の商品をそろえるだけでなく、売り方や味わい方にも工夫を加え、当店ならではの魅力をつくっていきたいと考えています。
── 平野様の今後のビジョンや事業展望を教えてください。
「Sounds Good organic」を通じて、こだわりを持って商品を生産・開発している方々に、私の経験を少しでも役立てたいと思っています。商品の魅力や背景にあるストーリーを、より多くの方に伝えていきたいですね。
将来的には、店舗数を増やすことや、店舗運営で得たノウハウをコンサルティング業務に生かすことも考えています。ただ、今は新たな挑戦が始まったばかりです。まずは目の前の1店舗に向き合い、より良いお店に育てていきたいと思っています。

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