20年黒字経営。新潟県の優良企業が決断した、未来を守るM&A
2026年03月11日
2026年03月11日
新潟県を拠点に、アメリカ車のパーツ販売専門店として20年以上黒字経営を続けてきた株式会社ワールドパフォーマンスサービス。売上を順調に伸ばしながらも、雇用維持や採用難といった多くの地方企業が抱える課題に直面し、東京の企業へ株式譲渡を決断しました。「雇用を守りながら、さらに成長するためにはM&Aが必要だ」と話すワールドパフォーマンスサービスの代表取締役を務める関様に、M&A決断の背景や交渉プロセスの裏側についてお話を伺いました。
| 譲渡企業 | |
|---|---|
| 社名 | 株式会社ワールドパフォーマンスサービス |
| 業種 | 小売業(自動車部品販売) |
| 拠点 | 新潟県 |
| 譲渡理由 | 後継者不在、雇用継続 |

| 譲受企業 | |
|---|---|
| 社名 | NYC株式会社 |
| 業種 | 中小企業投資、ベンチャー投資、経営コンサルティング |
| 拠点 | 東京都 |
| 譲受理由 | 事業拡大 |

関様が独立開業したのは2004年6月、29歳の時。大学卒業後に電子機器メーカーへ就職したものの、定年まで勤め上げる未来が想像できず、「いつかは独立したい」と想いが徐々に芽生えたそうです。
「メーカーの営業職で頑張っていたのですが、理系出身者が出世していく組織の中で、文系出身の自分はキャリアの限界を感じてしまって…。もっと上を目指すためには起業するしかないと思うようになりました。そこで独立のための下準備として、入社5年目から車部品の通販事業を副業で始めました。」
最初は副業として週末のみの稼働でスタート。「フルタイムでやれば生活できるぐらいには稼げる」という自信がついたタイミングで、独立を決断します。
「最初は四坪のコンテナハウスから始まり、ほぼ無休で営業していましたね。最初の6年間は、一年を通じて休みはお正月の1日だけだったと思います。」
ワールドパフォーマンスサービスは、事業開始から20年に渡り黒字経営を継続。その背景には、関様の一貫した事業戦略がありました。
「当社はアメ車パーツの仕入れ・販売を行っている会社です。取り扱う商品の特性上、これらの国内在庫は少なく、海外に取り寄せると到着まで1週間以上かかるのが通常です。たとえば、取引先のひとつに修理工場がありますが、部品が届くまで車を保管しながら待つのは致命的になります。当社はこの不便を解消するため、早い段階から多品種・少量の在庫戦略を確立しました。
具体的に言うと、1商品を大量に販売するのではなく、月に1点でも動く商品を何百・何千種類も在庫で抱えるというビジネスモデル。これにより多種ある部品の翌日配送を実現し、お客様から信頼を得られるようになったのです。」
2019年には新社屋を完成させ、在庫量をさらに拡大。コロナ期でも売上の大幅アップを成功させました。直近は売上こそ横ばいであるものの、仕入れラインナップを増やすことで利益は増加傾向にあり、「強敵と呼べる同業者は見当たらず、まだまだ成長させることはできると思う」と、関様は話しています。

会社のさらなる成長を見据え、関様は50歳を機に将来を真剣に考え始めます。
「独立してから約20年が経ちました。仕事第一でがむしゃらに働き続けてきて、少し肩の荷を下ろしたいという思いを抱くようになったのも本音です。ただ、引退をリアルに想像したときに一番に考えたのは、社員の未来です。自分もいずれは引退する時がくる。しかし社員がいる以上、『自分の引退=廃業』という選択はできません。その時にどうやって雇用を維持していくのか、あらゆる方法を検討した中で、M&Aが最善なのではないかと思うようになりました。」
また、雇用の維持と同様に関様を悩ませたのが「採用」の課題。都会と違って慢性的な人材不足に陥っている地方では、優良企業であっても簡単に人は集まりません。会社が成長を続けていくためには、雇用維持だけではなく採用活動も決して疎かにできない中で、関様は東京拠点の企業とのM&Aを選択肢として考えるようになります。
「地方の企業同士で手を組むよりも、都心の企業と組んだ方が現状の課題を解決できるのではないかと考えました。東京拠点の企業様から複数のお声がけがある中で、最終的に決めたのがNYC社です。同社は中小企業の事業承継に特化し、人材採用支援にノウハウがあったので、当社の課題を解決できるのではないかと思いました。
オファーの中には、ファンドからの高額な打診などもありましたが、ネットで調べても実態がわからない会社は、早々に対象外とさせていただきました。その点でも、NYC社は情報発信を精力的に行なっていたので、どういう事業をどういう思いでやっているのか、その実態がわかりやすかったというのもありますね。
また、M&A後は私自身がいずれ退くことを想定していました。オファーをいただく中には社長の継続が条件のものも多かった一方で、同社は私が社長を退く前提で経営スキームを提案してくれた点も好印象でした。最終的に『私の想いを尊重しながら、会社を成長させてくれるのはここしかない』と思い、NYC社への譲渡を決断しました。」
M&Aを含めた今後の会社の行く末について、関様はメインバンクである長岡信用金庫に相談。M&Aを具体的な選択肢として考え始めたタイミングで紹介を受けたのが、M&AプラットフォームであるBATONZでした。
BATONZに登録後は、バトンズのコンサルタントである鈴木のサポートを受けながら、候補先の選定や条件交渉などを進めていきます。
「株式譲渡って、当たりまえですが『株を渡して終わり』ではないんですよね。交渉中、初めて聞く専門用語が次々と出てきて…。退職金の位置付けや会社分割の進め方、支払い方法など、ありとあらゆるスキームが想像以上に複雑で、『これは一人で交渉するのは難しいな』と感じました。
長岡信用金庫さんからバトンズの紹介を受けた際、初めは『候補先を選ぶためのプラットフォーム』としか考えていませんでした。しかし、その本当の価値を知ることになったのはコンサルタントの存在。鈴木さんのサポートがなかったら、このM&Aは失敗していたかもしれないと思えるくらい、さまざまな面で助けていただきました。
具体的には、不明点の問合せにすぐ回答をくれたり、直接言いにくいことを上手く伝えてくれたりといったことです。結果として満足できる条件で譲渡をすることができました。」
M&A後もすぐに身を退くのではなく、「新社長がやりやすいようにサポートしていきたい」と語る関様。その上で、これからのワールドパフォーマンスサービスに求めることを次のように話してくれました。
「当社が黒字経営を続けてこられたのは、ちょっとずつでも絶えず新しいことに挑戦してきた結果だと思うので、これからも新しいことにどんどんチャレンジしていくべきだと思っています。
『経営が安定していればいい』で満足してしまうと、現状維持でさえ難しくなる。検索システムの最適化や顧客データベースの有効活用など、改善できるポイントはまだまだあるので、他社が手を付けていないサービスを常に先取りしてほしいですね。
また、今年中に後継社長の採用をNYC社で進めていく予定ですが、社長をやる上で大事なのは、相手の話をきちんと聞けること・気配り・優しさだと思います。車の部品やネット通販の知識はあった方がいいですが、絶対条件ではありません。
人間性が一番大事で、『自分の言うことがいつも正しい』と思うタイプの人だと、社員はついてきません。何か相談を受けたら、改善しようという気持ちになれる人なら上手くやっていけると思います。」
現在はNYCと定期ミーティングを行いながら、引継ぎ業務の洗い出しを実行中。後継社長が確定したのちの本格的な引継ぎに備えて、少しずつ業務を進めています。引継ぎ後のことはまだ考えていないと話していますが、地元の町内会長を務めて改革を行うなど、これまでの経営経験を活かしながら、新たな立場で地域貢献に取り組んでいます。社長とは違う立場から、関様の新たな挑戦がはじまろうとしています。
株式会社ワールドパフォーマンスサービスのさらなる発展と関様の新たなステージでのご活躍を、バトンズ一同、心より応援しております!
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