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少子化時代における塾業界の成長戦略。学研教育 HD が進める M&A を駆使した「教育ネットワーク構想」

2026年07月09日

「教育ネットワーク構想」を掲げ、全国の優良塾をグループに迎え入れている株式会社学研教育ホールディングス。同社は2026年3月に山梨県の有限会社山ヨビ(山梨予備校)を譲り受け、同校が持つ年内入試の知見・ノウハウのグループ内への共有を進めています。少子化により厳しい時代を迎える塾業界で同社が進めるM&A戦略、全国の優良塾と創り上げるネットワーク構想の展望について、学研教育ホールディングス常務取締役・青木聡様にお話を伺いました。


 

譲渡企業
社名 有限会社山ヨビ
業種 教育事業(塾運営)
拠点 山梨県
譲渡理由 後継者不在

 


 

譲受企業
社名 株式会社学研教育ホールディングス
業種 教育事業(教室・塾運営)
拠点 東京都
譲受理由 独自性とノウハウの獲得

 企業概要 

株式会社学研教育ホールディングス
HP:https://khd.gakken.co.jp/

学研グループにおいて、教育分野の教室・塾事業を担う。幼児から小学校低学年を対象とした個別指導教室の学研教室事業は全国に約1万教室を展開。中学生から高校生・既卒生を対象とした進学塾は全国15拠点で展開し、全国的な教育ネットワークを構築。

 

『教育ネットワーク構想』のもと、M&Aでグループのシナジーを最大化

――まずは、貴社の事業概要について教えてください。

私たち学研教育ホールディングスは、学研グループ全体の約4分の1の売上を占める、教室・塾事業を担っています。全国に約1万教室を展開する「学研教室」と、地域最大級の実績を持つ有力塾による「進学塾運営」の2つが事業の柱になります。

現在は少子化という環境変化に合わせ、通信制高校のサポート校運営や自治体からの受託事業など、進学・受験対策に留まらない多様な学びを提供する業態転換も推進しています。

――貴社が戦略的にM&A(グループイン)を推進されている理由をお聞かせください。

最大の目的は、四半世紀前から掲げている「教育ネットワーク構想」の実現にあります。塾業界は、少子化により冬の時代を迎えています。その厳しい環境で勝ち抜くために、地域で圧倒的な実績を持つ塾を仲間に迎え、強者連合を構築したいという狙いがあります。

また、グループとしてのシナジーの創出も目的のひとつです。学研には幼児・小学生向けの「学研教室」という強固な基盤がありますが、以前はその後の受け皿となる中高生向けの指導が不足していました。エリアごとに有力な塾をグループに迎えることで、1人の生徒に幼児期から高校卒業まで、長く寄り添い続けるLTV(顧客生涯価値)の向上を目指しています。

――今回、山梨県の老舗塾を譲り受けられた経緯と、その決め手を教えてください。

山ヨビに着目したのは、「突出した独自の強み」に魅力を感じたからです。1つ目は、難関大学や医学部への圧倒的な合格率に加え、近年需要が急増している年内入試(総合型選抜・学校推薦型選抜)において非常に高度なノウハウを持たれていた点です。

既存のグループ塾の多くが一般選抜に特化している中で、山ヨビの持つ年内入試の知見は魅力的であり、グループ全体に共有すべきものだと確信しました。

2つ目は、山梨県内における戦略的な補完関係です。県内には既に「学研教室」と、2017年にグループインした中学生指導に強い文理学院が存在しています。ここに高校生・既卒生に強い山ヨビが加わることで、地域内での垂直連携ができるという点も大きな魅力でした。

教育の質はそのままに、強固な経営基盤へ刷新

――山ヨビ様の事業について、第一印象はどうでしたか?

前経営者の松坂様が長年築いてこられた地域での信頼と、講師陣との良好な人間関係が印象に残っています。事務管理面での改善余地はありますが、それ以上に教育に対する真摯な姿勢と指導実績が、私たちの目指す質の高い教育ネットワークに合致していると感じました。

――最初に売り手様とトップ面談をされた際の印象はいかがでしたか?

前経営者の松坂様は、教育に対して非常に真摯で、しっかりとした経営者という第一印象でした。面談では、私たちがグループ全体の課題としていた年内入試(総合型・学校推薦型選抜)の話題で非常に盛り上がり、その高度な知見に強い魅力を感じたことを覚えています。長年地域で予備校を切り盛りしてきた実績と熱意に触れ、「この方たちが築いた教育の灯を絶やしてはならない」と感じました。

――成約に至るまでのプロセスで、特に苦労された点はありますか?
松坂様にはデューデリジェンス(企業調査)の際にも丁寧に対応していただきました。苦労した点を挙げるとすれば、その後の契約書作成に時間を要したことです。M&A特有の慣習に不慣れということもあり、その調整に時間がかかりました。そのあたりは、バトンズの担当者のご対応に大いに救われました。

――グループイン後は、具体的にどのようなことから着手されましたか?

まず、講師陣の安心感を最優先し、前経営者の松坂様に顧問として残ってもらいました。現場の指揮を引き続きお願いすることに加えて、現場を熟知する杉山取締役には重任いただき、従来通り変わらない体制を継続しています。

「買収」ではなく「グループイン」。“共に成長する仲間”としてのM&A構想

――山ヨビ様をグループに迎え、今後どのように事業を発展させていくお考えですか?

山ヨビが持つ年内入試の高度なノウハウをさらに磨き上げ、グループ全体へ共有することで、多様化する受験ニーズに応えていきたいと考えています。山梨県内の「学研教室」と「文理学院」とのさらなる連携を実現し、ひとつのロールモデルをつくりあげたいですね。また、山ヨビの経営基盤については、これまでの経営管理手法を尊重しつつ、併せてデジタル化を着実に進めていく予定です。

――御社の今後のM&A戦略や、目指すべき事業の方向性について教えてください。

少子化という厳しい時代が続く中で、地域で実績のある塾を仲間に迎える強者連合の構築を継続していく予定です。また、冒頭でも述べたように、受験指導に留まらず、時代の変化に合わせた多様な学びを提供する業態転換も推進し、全国的なネットワークを強化していきたいと考えています。

2026年春には山ヨビを含め3校の優良塾のグループインが実現しました。宮城県で高専受験のブランドを確立しているエニバ、我々が事業拠点を有していなかった中国エリアで50年の歴史を持つ白石学習院(広島市内に12校舎)です。このように全国の特色ある塾にグループインしていただき、グループ内のシナジーをより一層高めていきたいですね。

――M&Aを検討されている全国の塾オーナーの皆様へメッセージをお願いします。

私たちは「買収」という概念ではなく、共に成長する仲間として迎え入れる「グループイン」という考え方を大切にしています。相手企業の教育理念や独自の勝ち方を尊重し、無理に学研色に染めることはしません。

後継者不在で悩まれているオーナー様にとって、大切に築かれた教育事業を絶やさず、安心して託していただける存在でありたいと考えています。共に教育の未来を切り拓くために、多くの企業様とご一緒できればと思います。

――最後に、今回バトンズを利用された率直な感想をお聞かせください。

担当のアドバイザーの方には非常に誠実かつ真摯にご対応いただきました。特に、先方がPCを使わず電話や手書き資料で管理されていたという難しい環境下で、私たちの見えないところで細やかに橋渡しをしてくださった点に深く感謝しています。バトンズは、M&Aのハードルを下げつつ、質の高い仲介を提供されており、経験豊富なプロフェッショナルとして非常に信頼できるプラットフォームだと実感しました。

――本日はありがとうございました。

 

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