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理科大院生が就職前にM&Aを決断。事業を畳まず「託す」出口戦略

2026年03月17日

東京理科大生が在学中に立ち上げた「アスラボ プログラミングスクール」。創業代表である高井洸烈様は、スクールの成長性と自身のキャリアを模索する中、就職という人生の節目でM&Aを決断しました。

譲渡先に選んだのは、個別指導塾を運営する株式会社EARTH WORKS。信頼できる相手に「託す」ことによる事業成長を選んだ、学生起業家のリアルな決断の軌跡を伺いました。

 

売り手
事業名 アスラボ プログラミングスクール
業種 教育サービス
(プログラミングスクール)
拠点 東京都
譲渡理由 イグジット、事業の存続・成長

 

 

買い手
社名 株式会社EARTH WORKS
業種 教育サービス
(学習塾)
拠点 千葉県
譲受理由 事業拡大

 

 企業概要 

アスラボ プログラミングスクール

HP:https://aslabpro.com/

2023年4月、東京都葛飾区(JR金町駅前)にて開校。反復学習を重視した独自の教材を用いた、確かな知識と技術を身につけるカリキュラムが好評。その後、2024年7月に2校目の新小岩校を開校。

 

留学資金を投じて学生起業。「理科大生が教える」独自モデルで急成長

高井様が小中学生向けの「アスラボ プログラミングスクール」を開設したのは、東京理科大学の大学院1年生になった2023年4月のことでした。留学のために蓄えていた貯金を、物件の保証金や中古パソコン代などの初期費用に充て、自己資金で学生起業を果たしたそうです。

「同じ理科大の仲間が立ち上げを応援してくれました。立地をJR金町駅前に決めたのは、 理科大のキャンパスに近く、ファミリー層が多いエリアだからです。

有料広告は出しませんでしたが、『理科大生が起業した』という話題性で、地元メディアや区の広報誌にも取り上げていただきました。そのおかげで、開校直後から生徒が集まり、順調な滑り出しとなりました。」

講師に理科大の仲間や後輩を迎え、高井様自身は運営・管理に注力。遊びや楽しさを重視する一般的なプログラミングスクールとは一線を画し、「確かな知識と技術を身に付けるカリキュラム」で差別化を図りました。

「目指したのは『公文式のプログラミング版』です。私自身が大学のプログラミングの授業で苦労した経験から、反復学習を重視し、『しっかり理解できなければ先に進めない』仕組みの独自教材を開発しました。」

開校からの数年間を振り返り、高井様は「黒字化へのプレッシャーや現場での細かい課題はありましたが、多くの起業家が直面する大きな壁にぶつかることなく歩んでこられた」と語ります。

ITメガベンチャー内定を機に、事業のさらなる発展を願いM&Aを決意

金町校の開校から1年数か月後の2024年7月には、新小岩校を開設。両校ともに生徒の継続率が高く、ビジネスモデルとしての成長性を感じたと振り返る高井様。しかし、大学院を卒業した2025年春頃にM&Aを決意。その経緯を次のように話します。

「もともと大学院卒業後は、スクールの経営に専念するつもりでした。しかし、今の自分の力では、経営者としていずれ限界が来るのではないかという危機感もありました。一度大きな組織に入り、新規事業開発のノウハウをゼロから学び直すことが、将来より大きなビジネスを創るための近道になるのではないかと考えるようになったのです。」

この決意のもと就職活動に挑み、ITメガベンチャーの新規事業部門の内定を獲得。プログラミングスクールは閉鎖するのではなく、他社へ譲渡するのがベストと考えました。大きなシナジー(相乗効果)を生む企業に譲渡できれば、スクールをさらに発展させられると判断したのです。

3社比較で圧倒的だったバトンズの集客力。アドバイザーと歩んだ交渉の裏側

事業譲渡を決意した高井様は、バトンズを含む計3社のM&Aプラットフォームや仲介会社に登録。当時はM&Aの経験も専門知識もなく、「本当に問い合わせが来るのだろうか」と半信半疑の状態からのスタートだったといいます。

「実際に登録してみるとすぐに反応があり、最終的に約20件もの反響をいただきました。複数のマッチングサービスを比較検討する中で、バトンズの圧倒的な集客力を肌で感じ、最終的にはバトンズ一本に絞って活動を進めました。

また、バトンズの活用は適正な譲渡価格を学ぶ機会にもなりました。登録案件数が多いため、他社がどれくらいの価格設定をしているのかの参考になり、有益な市場調査となりました。」

知見がない中で進めたM&Aでしたが、バトンズのコンサルタントである藤田のサポートにより、最後までスムーズに手続きを進められたと振り返ります。

「独学でM&A関連の書籍を読み、財務知識を深めるために簿記2級も取得しましたが、実務的な交渉や手続きでは不安がありました。そんな折、藤田様からきめ細やかなサポートと的確なアドバイスをいただいたことでスムーズに進められました。」

「プログラミングスクール × 学習塾」の理想的な補完関係。雇用と成長を支える新体制へ

問い合わせのあった約20社の中から4社と面談を重ね、最終的に個別指導塾を運営するEARTH WORKSへの譲渡を決断。選定において高井様が重視したのは、「講師たちの働きやすさを守ってくれるかどうか」という点でした。

「アスラボ プログラミングスクールは、東京理科大学の仲間や後輩たちと共に育ててきた大切な場所です。彼らが今後も活き活きと働けるよう、学生スタッフと円滑にコミュニケーションが取れる方を求めていました。その点、代表の木村様は誠実に対話してくださる方で安心だと確信しました。」

また、EARTH WORKSの得意領域である学習塾とプログラミングスクールが組み合わさることで、生徒・講師双方にメリットが生まれることも大きな決め手となったそうです。

「子ども向けのプログラミングスクールは、小学校高学年以上になると退会率が増えていきます。しかし、学習塾の指導も提供できれば、生徒様は慣れ親しんだ環境で中学校、高校と学びを継続できます。

さらに、夕方で終わるプログラミング教室と夜9時頃まで続く学習塾を兼務することで、学生スタッフがより長く働け、しっかり稼げる環境を提供できます。」

今回のM&Aにより、アスラボ プログラミングスクールが新たな成長フェーズに入ることにも期待を寄せています。

M&Aは「諦め」ではなく、事業成長の「合理的戦略」。実務マニュアル化でPMIも徹底

高井様は今回のM&Aを進めるにあたって、「共に運営してきた仲間と、最後まで誠実に向き合いたい」との思いがありました。立ち上げメンバーには、買い手様探しを始める段階でいち早く相談し理解を得ました。また、約20名のアルバイト講師に対しては、契約後に高井様自らの言葉で直接想いを伝えました。

就職を間近に控えた現在、高井様は全力を注いでPMIに取り組んでいます。

「引継ぎ期間は3か月と定めました。今は、契約時に木村様と共有したスケジュールに沿って、引継ぎ作業を進めています。

具体的には、私が不在でも運営が滞りなく回るよう、業務マニュアルの作成や各種契約の移管といったバックオフィス業務の整理などを行っています。細かいタスクを一つひとつ洗い出し、木村様へ状況報告を行いながら進める日々です。

今回自分でM&Aをするまで、私はM&Aに対して『勝ち逃げ』や『諦め』といったネガティブな印象を抱いていました。しかし、経験した今は、自分が育てた事業を次のステップへ引き上げ、より成長させていくための『合理的な戦略』であると考えています。」

最後に、M&Aを迷っている方へ向けて、高井様から力強いエールをいただきました。

「自分の事業が本当に売れるのか……と不安に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。まずはM&Aプラットフォームに登録し、情報収集をしてみる。それくらいの軽い気持ちでまず一歩踏み出してみると、道が開けるかもしれません。」

高井様の新たなステージでのご活躍とアスラボ プログラミングスクールのさらなるご発展を、バトンズ一同、心より応援しております!

「成約を支援したバトンズ 藤田英未のコメント」

売り手の高井様は、翌年4月に入社が決まっていたため、それまでに引継ぎを含めて譲渡が終えられるよう、スケジュールを意識してM&A支援に携わらせていただきました。

ご支援の面でポイントとなったのは、高井様から「カリキュラム作成事業は継続したい」と伺っていたため、教室運営機能のみを会社分割で譲渡するスキームで進めたこと。また、運営する2店舗のうち1店舗の移転が必要だったため、通われている生徒の保護者にアンケートを実施するなど、移転先選定を含めて丁寧な調整が必要だったことです。

加えて、買い手様は同時期に別のM&Aも並行して動いていたため、融資実行や綿密なスケジュール管理もアドバイザーとして重要な役割だったと感じています。

高井様は、ご就職先で今回のM&A経験を活かした事業に携わると伺っています。新たなステージでご活躍されることを心より応援しております。また、買い手様はM&A後がスタートとなります。両事業の強みが融合し、さらなる拡大と発展を遂げることを祈念しております。

 

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