「納得できなければ止めればいい。」大阪府の老舗建設会社が、専門家の伴走支援で乗り越えた事業承継
2026年01月21日
2026年01月21日
大阪府泉南市で50年以上にわたり事業を営んできた辻野建設株式会社は、2025年11月、バトンズを通じて金属リサイクル事業を展開する「栄昇産業株式会社」へ株式譲渡を実現されました。辻野建設を長年守ってきた辻野様ご夫妻に、譲渡を決断した経緯や想い、M&Aの苦労点などについてお話を伺いました。
| 譲渡企業 | |
|---|---|
| 社名 | 辻野建設株式会社 |
| 業種 | 建設業 |
| 拠点 | 大阪府 |
| 譲渡理由 | 後継者不在 |


| 譲受企業 | |
|---|---|
| 社名 | 栄昇産業株式会社 |
| 業種 | リサイクル業 |
| 拠点 | 大阪府 |
| 譲受理由 | 新規事業への参入 |
「私は最近、大病を患いました。もし私が倒れたら、請け負っている工事がストップし、従業員や下請けへの支払いも滞ってしまうかもしれない……そんなリスクが頭をよぎりました。しかし、私の子どもは別の職に就いておりますし、先代社長である兄の家族にも相談しましたが、後を継ぐ人は見つかりませんでした。
そんな折、知人や娘から、M&Aという選択があることを教えられました。大病を患ったものの、まだ元気でいられるうちに信頼できる第三者へ会社を譲渡したい。そう願うようになったのです。」
年齢も70代半ばにさしかかり、M&Aを選択肢として検討し始めた辻野様は、長年の付き合いがある大阪信用金庫へ相談。そこでM&Aプラットフォームを運営するバトンズの紹介を受け、M&Aへと一歩を踏み出します。
「インターネットで本当に事業承継ができるのだろうかと不安もありましたが、信用金庫やバトンズの担当者に、登録から交渉のやり取りまで全面的にサポートいただきました。
契約前後の実務では、大阪府事業承継・引継ぎ支援センターさんのサポートもいただき、M&Aを無事に進められました。皆さんには本当に感謝の念に堪えません。」

写真)左:栄昇産業 代表取締役社長 松田浩毅様、右:辻野建設 代表 辻野祥治様
譲渡先に大きなこだわりはなかったと話す辻野様ですが、条件としてひとつ定めていたのが、近隣に拠点がある企業ではないこと。その背景には、地域密着企業としての切実な思いがありました。
「世間的にもM&Aの認知は広がってきましたが、地方ではまだマイナスイメージを持つ方もゼロではありません。もし地元で噂が広まれば、経営そのものに悪影響が出るリスクがあります。だからこそ、近隣は避けつつも交渉のしやすさを考え、大阪府全域や関西圏で検討していました。」
バトンズに登録後、買い手候補企業から交渉依頼があり、そのスピード感に圧倒されたと振り返る辻野様。最初に具体的な交渉まで進んだ買い手候補企業は、最終的な条件面で折り合いませんでしたが、その直後に交渉依頼を受けたのが、今回の譲渡先である栄昇産業でした。
「交渉を重ねるうちに、社長や担当者の誠実さを感じ、『この会社なら任せられるかもしれない』という手応えを感じるようになりました。」

M&Aが現実味を帯びてくると、契約時の法務や税務の手続きで不安を感じるようになったと話す辻野様ご夫妻。しかし、バトンズコンサルタントの鈴木、「大阪府事業承継・引継ぎ支援センター」の中西様、士業の方々のサポートで、前向きに成約まで進めることができたと、実務を担当された奥様は胸の内を明かします。
「私も夫も、M&Aに関する専門知識は全くありません。契約書を読み込んでも完全には理解できず、正直なところ不安でいっぱいでした。また、契約の手続き以外にもやらなければならないことがたくさんあり、心が折れかけたこともあります。
その不安を鈴木さんに打ち明けると、一つひとつの内容を噛み砕いて説明してくれました。その丁寧なサポートで不安は解消され、無事に成約の日を迎えることができました。
事業承継・引継ぎ支援センターの中西さんは、とても気さくで話しやすい方です。実務でわからないことがあるたびに連絡していましたが、その都度、親身になってアドバイスをくださいました。
また、信頼できる専門家もご紹介いただき、中西さんには実務面はもちろん、精神面でも支えていただきました。おかげさまで、M&Aの煩雑な手続きを乗り越えることができました。本当に感謝しています。」
成約までの慌ただしい日々を終え、「ようやく肩の荷が下りた」と安堵の表情を浮かべる辻野様ご夫妻。現在は1年間の引継ぎ期間(ロックアップ)に入り、業務の引継ぎを進めている最中です。改めて、現在の心境を伺いました。
「私自身は、足元の仕事を一つひとつ確実にこなしていく『コツコツ積み上げ型』の経営者です。対して、栄昇産業の経営陣は大きなビジョンを掲げ、そこから逆算して行動する『ビジョン達成型』です。
当初は、その経営スタイルのギャップに戸惑うこともありましたが、若い世代の柔軟な考え方に触れるうち、次第に『いけるんちゃうか』と期待が膨らむようになってきています。」
辻野様ご夫妻は現在、建設業という新たなフィールドに挑む栄昇産業が理想的なスタートを切れるよう、精一杯のバックアップを続けています。栄昇産業は謙虚な姿勢で売り手様からの教えを受けつつ、組織強化と事業拡大を目指します。最後に、M&Aを終えた辻野様ご夫妻に、M&Aに対する印象の変化を語っていただきました。
「最初は『M&A=高額な手数料がかかる』というイメージがあり、それがネックで踏み出せずにいました。しかし私たちの場合、皆様のご協力のおかげで想定よりはるかに低コストで済みました。
費用面や漠然とした不安で躊躇している経営者も多いと思いますが、悩んでいても状況は変わりません。まずは専門家への相談や、バトンズへの登録をしてみてはいかがでしょうか。実際に行動してみて、納得できなければそこで止めてもいい。それぐらいの気持ちで、最初の一歩を踏み出してみてください。」
辻野建設株式会社の今後のご発展を、バトンズ一同、心より応援しております!
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