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個別指導塾を3教室譲渡!急成長を遂げる塾が、教室数の縮小を選んだ理由

2024年06月12日

九州エリアで自社ブランドの個別指導塾を展開するA社は、運営するA塾の一部である3教室を、それぞれ異なる買い手様に譲渡されました。個別指導塾のA塾を創業された田中様(仮称)は、数年でA塾を10教室まで拡大。1教室目は1年で生徒数100名を突破するなど、生徒に愛される教室を展開してきました。
そんなA塾が今回、一部の教室を譲渡するに至った経緯は何だったのか。大手塾との違いや急成長できた要因などについて、創業者の田中様にお話を伺いました。

大手塾との差別化により、創業から数年で10教室まで急成長

塾講師や塾運営本部の責任者としてキャリアを積まれた田中様は、そのご経験を活かして九州エリアの中規模都市に個別指導塾を開校しました。その後、3年目には周辺エリアに2教室を開校し、さらに6年目には他エリアにも複数教室を開校。運営する教室を10教室にまで増やしていきました。

学習塾は、フランチャイズ形態の大手塾がいくつも全国展開していますが、田中様が経営する自社ブランドの塾では、大手塾とは根本的な違いがあると田中様はおっしゃっています。

「例えば、大手塾では夏期講習などの別料金が発生するサービスの営業に、社員が多くの労力を費やしています。それがノルマ化されることで、本来向き合うべき生徒の教育や学習能力の向上にしっかりと向き合えていない塾があると、これまでの経験から感じてきました。

塾がそれでビジネスとして成り立ってしまっているという業界の課題もありますが、当塾ではそういった営業活動に時間をかけるのではなく、生徒の勉強や相談のサポートに時間を充てるような教室方針を掲げてきました。

また、生徒が塾で過ごす雰囲気も他塾と異なります。大手の個別指導塾の場合、生徒が教室にやってきたら1人用に区切られたブースに入り、勉強が終わったらすぐに帰る、というのが一般的な光景です。そのため、塾の雰囲気はとても静かです。

一方当塾では、休み時間になると生徒同士や生徒と先生が、活発にコミュニケーションをとっているのが当たり前の光景です。塾を、単に勉強をこなす場所というのではなく、生徒が積極的に通いたいと思えるような、居場所のような空間作りを目指して経営をしてきました。」

少子化が進み、競争が激化する厳しい経営環境である塾業界。それにも関わらず、田中様が経営するA塾が躍進できた理由はどこにあるのでしょうか。

「当塾のコンセプトに共感していただいた結果、生徒や教室の数が伸びたのでしょう。塾の営業効果で最も高いのは、生徒や保護者からのご紹介です。チラシやホームページを見てやってくる新規の生徒さんはごく一部に限られます。当塾で生徒さんが勉強していて『楽しい!』『成績が上がった!』と感じるからこそ、口コミで広がり成長できたと考えています。」

成長が鈍化した要因は‥若手社員の増加で、進まない組織化

教室数を10教室まで順調に増やしていったA塾ですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で成長が鈍化。コロナ禍が明けて開校したものの、生徒数で伸び悩む塾が散見されるようになり、11教室目の開校に着手できない状態が数年に渡って続きました。田中様は、当時の経営環境を以下のように振り返ります。

「確かに、コロナ渦は塾の経営にとってマイナス要因でした。しかし、コロナ渦以外にも成長を鈍化させた要因がありました。それは、急成長に伴って若手社員の割合が増えたことです。

当初、採用する社員は新卒者が中心でした。入社後の新卒社員は、教室長という重要なポジションを担い、教室と本部のハブとなります。教室長には、A塾らしさやA塾のこだわりを伝えるために、知識やノウハウをマニュアルなどを通じて十分に提供しているつもりでした。しかし、実際には伝わり切れていなかったというのが、教室の雰囲気からわかりました。」

それまでは、1人ひとりの教室長をご自身でフォローしていましたが、教室数が増えて目が行き届かなくなってきたことで、マネージャーが複数の教室長を管理・指導する体制に変更していました。

田中様がその教室に訪れた際に感じたのは、田中様自身が現場に入っていた教室とは違う、目に見えてわかる雰囲気の差。挨拶ひとつとっても、教室から感じる空気感がこれまでの塾と違うと、田中様は危機感を覚えます。

「A塾の次のステップとして組織化を進めましたが、状況を大きく好転させることはできませんでした。そんな中、マネージャーや社員の退職が相次いだため、私自身の目の届く教室数まで縮小することを決めました。

もともと、教室数を増やすことで教育の質が落ちてしまう場合には、縮小することも想定していました。そのため、理想的な教育を提供できないのであれば、自分の手の届く範囲内まで教室数を減らそうと気持ちを切り替えることができました。」

1教室当たりに要した期間はおよそ3カ月。トータル約5カ月で3教室を譲渡

最大10教室まで成長したA塾は、方向転換をして教室数の調整に入ります。整理の対象に真っ先に挙がったのは、割高な家賃により赤字が出ていたB教室。改善が難しいと判断したため、閉鎖を決断しました。

その他の教室は黒字であったものの、マネジメント面の課題から、本部と離れた他県の教室等を2023年11月〜2024年4月ごろの約5カ月間で、計3教室を事業譲渡。着手された当時の田中様はM&Aについて、どのような印象をお持ちだったのでしょうか。

「事業譲渡という仕組みは知っていましたが、当初は塾にそれが適用できるとは思っていませんでした。しかし、知り合いの塾の先生から、塾も事業譲渡ができるという話を聞き、自分の塾でも利用できるのではと考えるようになりました。

バトンズや塾専用のサイトなど3社ほど候補に挙げ、バトンズを選択しました。M&Aは初挑戦でしたが、条件が良い教室の場合、買い手様から20〜30件程度の問い合わせがあって驚きましたね。バトンズを選んでよかったと思っています。」

 

 

買い手様選びで重視したのは、塾業界の経験と事業への本気度

今回のように問い合わせが殺到した場合、「買い手様をどのような基準で選ぶか」で悩む売り手様もいます。田中様の場合、どのような基準を設けたのでしょうか。

「1教室目の案件募集を実施した際、買い手様からの応募がないと始まらないと考え、『経験なしでOK』の条件を設定しました。しかし、実際に問い合わせがあった企業や個人の方々と面談をしてみると、『塾業界の知識や経験がない』『収益面にしか興味がない』などの買い手様には、塾の運営が現実的に難しいのではないかと感じました。

そのため、最終的には豊富な実績と知見をお持ちの企業様や、塾経営を真剣に考えている企業様に譲渡することになりました。」

2024年4月現在、A塾は閉校(1教室)とM&A(3教室)の実行により、教室数は6教室に縮小。ご自身の目の届く範囲にまで教室の数を調整された今、田中様はどのような感慨や目標をお持ちなのでしょうか。

「創業してから約10年間で、自分の特性を改めて理解することができました。これから先は、自分の良い部分や得意な部分を活かして経営していきたいと思います。

私のメインの活動は、今後も塾の運営です。方向性は、創業当初の理念を貫き通します。修正点があるとすれば、教室の数や企業規模にこだわり過ぎないということ。少数精鋭の社員や志のある講師と協力し、本当に生徒のためになるサービスを提供し続けていきたいですね。

その結果、塾の本質を理解し、塾運営のスキルを十分に持った社員が出てきたら、新たな教室を開校することや暖簾分けを検討していきたいと思います。

併せて、私自身がこの10年間で経営者としての経験を積んだため、塾以外のビジネスにも挑戦してみたいですね。ただし、社員を主体とした組織ではなく、そのビジネスに共感する人々と業務委託を結ぶ体制をイメージしています。」

今回の経験から、改めて自身が目指す塾の在り方を見つめ直した田中様。さらにその先のビジョンとして、塾を超えた新しいビジネスチャレンジも構想しており、今後のご活躍に期待が膨らみます。

田中様のさらなるご活躍を、バトンズ一同心より応援しております!

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