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AIが職人技術の継承の橋渡しに(1) 組織の仕組みづくりとAIの活用

2019年01月22日

AIによって多くの人々が職を奪われることになるのではないかと危惧されています。しかし、熟練の技術を必要とする産業は、AIを活用することでむしろ洗練され、後継者への事業承継がしやすくなるというケースも存在します。今回は、現場感覚のみを頼りに伝統技術の承継が行われてきた業種がAIを活用することでどのようなメリットを得られるのか、そして企業の実践的な取り組みについて、2回に分けて紹介します。

寿司職人に修行は必要か?

以前、「寿司職人は何年も修行する必要があるのか?」という議論が世間を賑わせました。各意見を要約すると、修行の工程派としては「修業期間を通じて、苦労をしながら仕事の基礎を学べる」、否定派としては「丁稚奉公するより、早く寿司の技術を体系的に学んだ方が、成長スピードが早い」という意見の対立があったと思います。

どちらが正しいかは一概には言えませんが、この議論はいずれも寿司職人側の立場として語られています。この問題を、寿司職人を雇う企業側から見たときにどのようになるのでしょうか。

経営者からみた職人制度

まず、企業側のメリットとしては、従業員をコントロールしやすいことが挙げられます。「修行」ということで多少の厳しい環境でも一人前の職人になるために我慢して仕事をしてくれますし、あえて長い期間を通して技術習得させることによって、組織のなかで長く活躍してもらい、独立を防いだりすることができます。

一方でデメリットも存在します。一人前の職人として育て上げるのに時間をかければかけるほど、事業の展開スピードに影響が出ますし、もしキーマンとなる職人が独立・引退してしまえば、経営が危うくなるかもしれません。職人ベースで技術の承継が進められている場合、伝統的な会社であっても、実は会社という組織自体には何もノウハウが蓄積されず、その職人のみが技術やノウハウを持っているという事態になってしまうことになります。

これが現在の伝統産業が潜在的に抱えている、解決しなければならない課題です。生産年齢人口の減少、人手不足が叫ばれる昨今にあって、職人的な技術承継の仕方では現在の国際的な競争スピードに耐えることができません。さらに、そこで働く職人に依存し過ぎて、会社として競争力の源泉が実は弱いということもなるのです。

「ヒト」に依存しすぎない組織の仕組み化とは

このような状況の中で、さまざまな企業の経営に大きな影響を与えるかもしれないのが「ディープラーニング」というAIです。いま、ディープラーニングを活用する事によって、熟練の技術を必要としてきた産業に変革がもたらされようとしています。

ディープラーニングの最大の特徴は、自分で勝手に学習できることです。例えば、カラスと鶴を見分けるAIを作ろうと思えば、これまではAIにカラスと判断する場合と鶴と判断する場合に、答えとなる画像やデータをあらかじめプログラミングしていなければいけませんでした。しかし、ディープラーニングを使えば、何百枚という大量のカラスと鶴の画像データを覚えさせていくことで、どれがカラスでどれが鶴かを、その蓄積されていくデータを更新しながら、勝手にカラスと鶴の違いをAIが考えて区別できるようになるのです。こうして、これまで動物の中で人間だけが行えると考えられていた「考える」という行為を、人間だけでなくAIも行えるようになりました。

そして、今後はIoT(Internet of Things)がAIの活躍をさらに促進するともいわれています。AIがビジネスに影響を与えるために重要視されているIoT技術とは、簡単に説明すると、モノに挿入されたセンサーによってデータを計測し、その計測されたデータ情報をインターネットを使って伝達する技術のことです。

AI(ディープラーニング)に考えさせるためには、はじめは手動で材料となるデータを入力していく必要がありますが、人間がいちいち情報を計測・入力するのには手間がかかります。そこで、IoTとAIの技術が組み合わさることによって、IoTがデータを生成して入力作業を自動で行い、AIがサーバーに集められたデータを分析して改善するというように、人間が介在しないPDCAの仕組みが構築されるのです。

AIが現場に与える影響

このように、AIは伝統的な産業に大きな変革をもたらす可能性があります。特に期待されている人手不足の解消については、IoTやAIが労働作業のなかで発生する意思決定を人間の代わりに行い、最適な答えを模索してくれるので、判断における人間の手間は著しく削減できるはずです。

何よりも、データを蓄積していくことで会社としてのノウハウをインフラ化することができるようになります。職人的な技術承継の方法は一見、会社にインフラがあるようで実は、個人のみに結びついており、会社組織として職人だけが持っているノウハウを共通化しにくいというデメリットがあることを今回お伝えしました。

そんななか、AIとIoTを組み合わせることによって、いわゆる「職人の勘」のような属人的なノウハウや意思決定方法をAIが行えるようにと、事業に取り入れようとしている企業が出てきています。次回は、AIを活用した伝統産業の具体的な取り組みについて紹介したいと思います。

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