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撤退から一転、事業譲渡へ!宮崎のアウトドア事業が見つけた、シナジーある継承先

2023年12月14日

宮崎市稗原町、宮崎港から徒歩15分という好立地に、オリジナルキャラクター「カズさん」が描かれた非常食や防災グッズが購入できるアウトドアショップ「3field」(スリーフィールド)があります。実店舗を構えてから3年、運営元であった株式会社FOFの代表を務める児玉玲子様は、このアウトドア事業を手放す決断に至り、バトンズを通じて事業譲渡を実現されました。

「好きなことをしたい」と始めたこのお店を、なぜ手放す判断をされたのか。そこに寄せる想いとM&Aに対する印象について、詳しくお伺いしてまいりました。


 

譲渡企業
社名 株式会社FOF
業種 小売・EC(アウトドアグッズ)
拠点 宮崎県
譲渡理由 選択と集中

 

 

譲受企業
社名 ヤマブルー株式会社
業種 温浴事業、アウトドア事業
拠点 宮崎県
譲受理由 新規事業への参入

 


「好きを仕事に」土木系インフラ企業が手掛ける異色のアウトドアショップ

児玉様が起業されたのは、今から約6年前。宮崎県の電気設備系専門学校を卒業された児玉様は、リゾート施設を運営する大手企業に就職され、ホテルの設備・点検業務に従事されます。その後、建設・土木系のインフラ企業へと転職され、2018年に独立。株式会社FOFを創業されました。

業務主体である土木系インフラ事業では、橋梁をはじめとするインフラ構造物の点検・調査を請け負い、VRでの現地踏査サービスやドローンを使った撮影など、最新技術を取り入れたサービスも提供されています。

独立時、「どうせ自分で会社を興すなら、好きなことをやりたい」という想いがあった児玉様は、本業を営む傍ら、ご自身の趣味であったアウトドア領域で、物販事業という新たな業態に挑戦されます。

家でも外でも、日常で活躍するグッズを取り扱うことをマーチャンダイズの柱に掲げ、最初はオンラインショップとして立ち上がった「3field」。コロナ禍からのキャンプブームに乗り、2020年には宮崎市花ケ島に実店舗をオープン。翌年にはリニューアル移転をし、2000点以上の商品を取り扱う店舗へと成長していきました。

そんな「3field」のトレードマーク的な存在は、店頭に設置してある自動販売機。これには、非常時でも対応できるようにと内部に発電機と蓄電装置が取り付けられており、停電時でも正面の黄色いカバー内のハンドルを回せば発電できる仕組みになっていて、飲料以外に非常食や防災グッズなども購入できる仕組みになっています。単なるアウトドアショップにとどまらず、店舗運営を通じた地域貢献の役割も果たしてきた3fieldでしたが、児玉様は事業譲渡の決断へと進んでいきます

「会社にとってプラスとなる選択を」引継ぎ支援センターのアドバイスで決断した事業譲渡

Photo by iStock-1309115995

ひとりで立ち上げた株式会社FOFは、気がつけば多くの従業員を抱えるようになっており、会社としての顔つきが整ってきていました。本業の業績が好調に推移する中、アウトドア事業は徐々に手薄になってしまっていたと言います。

そして、異なる事業領域で経営を両立させることに限界を感じた児玉様は、閉店・撤退を考え商工会議所に相談。そこで、宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターを紹介してもらい、支援センターの担当者である阿南様から「事業譲渡」という選択の提案があったのだそうです。

「会社が大きくなるにつれて、自分の“好き”を貫くだけではダメだという考えが強くなっていきました。一緒に頑張ってくれている従業員のためにも、冷静な経営視点を持ち、採算性や効率性を重視しなければならないと感じたのです。

正直、アウトドア事業の運営は思うように収益が出ていない状態で、テコ入れが必要なことは明白だったものの、本業が忙しくて手が回っていない状態でした。そのため、当初は閉店・撤退を考えたんですが、支援センターの方に事業譲渡という選択肢を薦められまして。

『撤退したら何も残らないし、会社としての信用に傷がつく可能性もある。廃業にはお金がかかるが、事業譲渡であればそういったリスクが回避できる上に、残されたファンの方にとってもマイナスにはならない』というお話を伺い、自分も挑戦してみようと決めました。」

九州エリアでは、本店舗でしか取り扱っていないブランドも数多く取り揃えており、多くの固定ファンを作ることに成功していた3field。また、築いていきた仕入れ先との関係性やSNS等の顧客資産もあったため、児玉様は可能であればブランドが継続していくことを希望しておられました。

そんな中でスタートした、児玉様のお相手探し。バトンズに登録後、問い合わせがあった9件の中から選んだのは、同じ宮崎県でリゾート・宿泊施設を運営するヤマブルー株式会社でした。

「一番の選定条件は、3fieldというブランドを継承してくれるかどうかということでした。また、デザイナーさんと一緒に考えたオリジナルグッズや、“カズさん”という名前のオリジナルキャラクターには思い入れがあったので、これらも一緒に引き継いでいってくれるような方を希望していました。

その中でもヤマブルー様は、すでに店舗を出す候補地を保有しておられ、キャンプ場も運営しているとのことだったので、確実かつスピーディに事業を引き継いでいけると感じました。また、代表の方とは前から接点があり、その温和で誠実なお人柄を知っていたので、その点も安心できました。」

ブランド継承という希望条件の承諾に加えて、引継ぎ後の戦略も明確だったことが決め手となった譲渡先選定。FOFの設立前、アウトドア関係でお会いしたことがあったという方に約6年の時を経て譲渡をするという稀有な巡り合わせの下、M&Aは進んでいきました。

M&Aで広がる無限の可能性。今は目の前に集中し、将来的には買い手としての参画も

宮崎県事業承継・引継ぎ支援センターの阿南様は、「2ヶ月以内で決めたい」という児玉様からの要望を受け、バトンズにご紹介いただきました。「相談をうけた時点で、すぐに譲渡先が見つかると思った」と本案件に太鼓判を押していた阿南様は、なぜM&Aプラットフォームを活用するという判断をされたのでしょうか。

「我々単独で交渉を進める場合、ある程度の時間を要してしまいます。児玉様は撤退も視野に入れており、できるだけ早くというご要望だったので、バトンズさんを含めた複数のM&Aプラットフォームへ登録することを提案させていただきました。

また、多少の手数料を払ってでもサポートがあるプランを活用することをお勧めさせていただきました。その方が児玉様の要望であるスピーディさを叶えることができますし、本業があって時間がなかなかとれない児玉様のご負担を減らすこともできるからです。

バトンズさんは、他のプラットフォームより登録までの対応も早く、すぐに買い手候補者を募ることができました。結果的に、短期間での成約が実現でき、大変嬉しく思います。」

阿南様の提案・サポートもあり、スピーディな事業譲渡が実現できた児玉様は、M&Aを終えた心境について、以下のように話しています。

「阿南さんのご提案の通りに進めて、本当によかったと思います。全てを自分でやれば安く済むのですが、本業と並行して交渉を進めるには限界がありましたし、契約内容については、専門家に最終確認してもらうことで安心感にも繋がりました。」

今後は本業に集中して事業拡大をしていきたいと話す児玉様。また、今回の一連を通じてM&Aの可能性も見出しており、将来的には買い手として参画してみたいともおっしゃっておられました。

児玉様と株式会社FOFの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同心より応援いたしております!

 

宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター:阿南様のコメント

児玉様からご相談を受けた段階で、買い手は見つかるだろうというイメージがありました。10年近くこの業界で経営者様からご相談を受けてきた中で、事業価値を見出す買い手様はいるだろうと感じたからです。

 

ただ、すでに閉店を進めていて期間が限られていたため、重要なのはスピーディに成約まで進めるかどうかという点でした。そこで、バトンズさんを含めた民間のプラットフォーム2社と引継ぎ支援センター3社の力で進めるという、我々としても初の試みをさせていただきました。

結果として、児玉様が望む形で事業譲渡を実現できたことを、大変嬉しく思います。

 

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