防振双眼鏡のレンタル事業を譲渡されたのは、旅行業を手掛ける合同会社MREの中野様。前回のカメラレンタル事業の譲渡に続き、バトンズを通じて二度目の事業譲渡を実現されました。前回のM&A経験を活かし、事業譲渡をどのように進めていかれたのか。レンタル事業を運営するコツやM&Aの魅力とともに、お話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
社名 | 合同会社MRE |
業種 | 旅行業、レンタル事業 |
拠点 | 大阪府 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
---|---|
区分 | 法人 |
業種 | 小売業 |
拠点 | 宮崎県 |
譲受理由 | 新規事業への参入 |
レンタル商材選びで重視しているのは「試算性」
前回同様、MREの主軸である旅行業に力を入れていくため、選択と集中を目的に事業譲渡に望まれた中野様。今回のご成約によって、レンタル事業として運営してきた3つのうち、2つをバトンズで譲渡されたことになります。
コロナ禍が落ち着き、観光業も回復傾向が見られる昨今。日本には外国人観光客が再び増加し、2023年8月には中国から日本に来る団体旅行が解禁になっています。これにより、旅行業にさらなる需要増が見込まれることを感じた中野様は、旅行業への投資を強化するために、複数の事業をM&Aによって整理する戦略を選ばれました。
そして今回譲渡の対象となったのが、防振双眼鏡のレンタル事業。コンサートやスポーツ観戦、野鳥観察などといったスポットでの需要は多くあるものの、普段利用の頻度が低く、購入のハードルが高い高額商品であるところに目をつけ、レンタルサービスを展開されていました。
「通常の望遠鏡は、倍率が大きくなるとその分手ブレも大きくなり、視界がガタついて見にくくなります。しかし、防振双眼鏡は手ブレを軽減するセンサーとモーターがついているため、倍率をあげても安定してクリアに見えるという特徴があります。
コンサートやスポーツ観戦のような、お金がかかるイベントを最大限楽しもうと思った時、高性能な防振双眼鏡は良いアイテムになります。一方で、たまにしか使わないものを高額な値段を出してまで買おうと思う人は、そう多くはないと思います。需要はあるものの、高額で手が出せないものを探していた際に、この商品に辿り着きました。」
防振双眼鏡のレンタル事業に参入された背景には、ニッチ産業で大手企業が参入していないことが大きな要因だったと話す中野様。また、レンタル事業を始める際には、その商材に「資産性」があるかどうかも重要なポイントであると話します。
「商材選びで最も重視しているのは『資産性』です。なぜなら、レンタル事業として上手くいかなかった場合に、商材購入費は大きな負債となるからです。購入後も高く売れる、マイナスが痛手になるものではないというラインを見極めて、リスクが極力少ないような商材選びを心がけています。
また、需要と供給のバランスも大切です。商材利用に一定の需要が見込めるかどうか。それは、月にどれだけそのキーワードで検索がされているかというので調べています。
ただし、需要があっても大手企業が参入しているものには手を出しません。大手企業がそこに資金を投下したら競争で負けてしまうからです。」
また、中野様の手掛けるレンタル事業は、100%ネットからユーザー獲得を行っているため、競合他社がSEO施策をどれくらいしているかというところまで調べた上で、勝算を見出した商材で事業を展開しているとのこと。
加えて、レンタル事業というビジネスモデルは価格競争に陥りやすいビジネスであるため、競合他社を徹底的に調査し、他社とは異なる独自のサービスを提供することで差別化を図ることを意識されているとおっしゃっておられました。
30件近くのお問い合わせから譲渡を決めたのは、「決断力」と「シナジー効果」がある買い手
事業譲渡の価格設定は、原価を元に付加価値や過去の実績を考慮に入れて決定していると話す中野様。具体的には、過去3年分の実績をもとに、適切な価格を見定めているとのこと。
しかし、今回のレンタル事業は立ち上げから年数があまり経過しておらず、実績がほとんど蓄積されていなかったため、原価に加えて中野様の労力や独自のアイディアのみを上乗せという形で設定しており、安価な価額設定となっていました。
買い手様にとっては、初期コストが低く、固定費も殆どかからないことから、買収ハードルが低い事業として多くのお問い合わせをいただいたと言います。
20〜30件ものお問い合わせの中から、10件以上のオンライン面談へと進み、わずか1カ月という短期間でご成約に至ったという本案件。バトンズで2件目の譲渡交渉となった中野様は、多くの方々とやり取りをする中で、買い手の買収意欲や熱意を感じられるようになったと話します。
「1カ月という短い期間でしたが、20人近くの方と事業の未来について話す中で、相手の真摯な姿勢や意志が見極められるようになってきました。残念ながら、中には単に情報を収集したいだけのように感じる方もいらっしゃいましたが、真剣に取引を望む方々とのやり取りは、非常に有意義でした。
多くの方と交渉する中で思ったことは、買わない人は買わない理由を常に探しているということです。一方、前向きに検討される方は、事業のネガティブなポイントを『どうしたらプラスに持っていけるか』という改善策を考えていらっしゃいます。
経営をするうえで大事なことは、事業をどうやって伸ばすかを考えることです。買う決断ができる方とできない方は、そこが大きく違うのかなと思いました。」
今回事業を譲り受けた山田様(仮名)は、ご自身でキャンピングカーのレンタル事業を展開されている事業者様でした。キャンプをされる方がバードウォッチングをしたいときに、防振双眼鏡のお問い合わせを多く受けるというので、本案件に興味を持ったのだそう。自社サービスとのシナジー効果を見込んで、この事業を譲り受けられたという背景がありました。
「M&Aは、単にそのまま運営するだけではなく、新たな風を取り入れ、時代の変化に応じて進化させていく必要があります。私は他にも譲渡できそうな事業がありますが、事業に真摯に取り組み、さらなる成長を遂げてくれる方へ譲渡できれば嬉しいです。」
山田様には、とても丁寧でスピーディにご対応いただける方という印象をもったと話す中野様。山田様の迅速な対応や決断力があったからこそ、1ヶ月というスピード感のあるご成約が実現しました。
M&Aの魅力は、バトンのように会社から会社へと繋げていくこと
過去にバトンズでの事業譲渡を経験されていた中野様は、譲渡契約書の作成から引継ぎまで、スムーズに進めることができたと言います。また、以前ご成約いただいた際にもインタビューにご協力いただいており、その記事が今回のM&Aを進める上で信用の向上に寄与したとおっしゃってくださいました。
中野様はM&Aについて、事業を「バトン」と見立て、一つの事業から次の事業へと繋げていくのが魅力的だと話します。
「バトンズさんのようなM&Aプラットフォームを利用させていただくと、私の予想もしなかったような方からの問い合わせが寄せられます。いろいろな方がバトンズさんのサイトをチェックしていることがわかり、サイトを通じて様々なビジネスチャンスが広がっているのを実感します。」
本業である旅行業に集中するために、事業譲渡を実行された中野様。買い手としてもバトンズに興味を示されており、バス会社などの旅行業に関連した事業でシナジーが生まれる可能性を模索されています。複数の事業を立ち上げ、次なる事業プランに向けて歩み始めている中野様は、自分でビジネスを行う魅力に対して以下のように話します。
「事業は他者にやらされるものではなく、自分で選び、楽しむもの。採算が取れ、楽しみながら進められる事業なら、それに越したことはありませんね。結局、楽しんだもの勝ちだと思いますよ。」
スピード譲渡を果たされた中野様は、今後もM&Aという事業戦略を有効活用しながら、経営者として次なる構想を描いておられます。
中野様と合同会社MREの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同心より応援いたしております!
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