大阪府の北に位置する箕面市箕面。その中心部にある阪急箕面駅から徒歩5分という好立地に、1976年の創業以来、市民に頼られてきた眼鏡店「メガネのサンクス」があります。2代目としてお店を引き継ぎ、20年以上事業を続けてきた石田金治郎様は、次の引継ぎ先を探されている途中で急逝。親族であった藤田様(仮称)がその意向を引き継いで、3代目探しを始められたのは、今年に入ってすぐのことでした。
右も左もわからない状態から、M&Aアドバイザーであるやまもと事務所の山本 裕司様と共に歩まれた、半年以上にわたるM&Aの軌跡についてお話を伺いました。
譲渡側 | |
---|---|
事業名 | メガネのサンクス |
業種 | 小売業 |
拠点 | 大阪府 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受側 | |
---|---|
区分 | 個人 |
業種 | 小売業 |
拠点 | 大阪府 |
譲受理由 | 起業 |
急逝した2代目の意向を引き継ぎ、手探りながら後継者探しをスタート
1996年に、2代目として「メガネのサンクス」を引き継いだ石田様。両眼開放検査と呼ばれる左右の視線のズレを補正し、両眼のバランスを整える検査を得意とされ、「眼鏡が合わない」という悩みを持った方にも、最適な度数合わせで「人生を変える眼鏡」として多くのお客様に頼りにされてこられました。
その技術力は、大阪府の経営革新計画に「石田式検査メソッド」として高く評価されるほどで、創業者である中島様よりお店を譲り受けた後も、補正が難しいお客様ひとりひとりに丁寧に応え、それが評判になって口コミが口コミを呼ぶ形で、「メガネのサンクス」は順調に成長していったのでした。
しかし、2022年の7月。癌を患っていたことが発覚した石田様は、先代より譲り受けたお店を潰すわけにはいかないと、後継者探しをスタートされます。その際に、箕面商工会議所からの紹介を通じて出逢ったのがM&Aアドバイザーとして活動されていた「やまもと事務所」の山本様で、同時にバトンズへも登録されたのだそうです。
第三者承継に取り組み始めた石田様でしたが、病状は想定外の速さで悪化。同年の12月には、後継者を見つけることが叶わぬままにご逝去されました。これを見て、石田様のご意向を汲み、代わりに後継者を探そうと立ち上がったのが、親族のおひとりにあたる藤田様でした。
「苦労しながらも、大切に自分の眼鏡店を切り盛りしていたという話を聞いていました。その先にいる沢山のお客様の存在も知るうちに、このままお店が跡形もなくなってしまうのは避けたいと思うようになったんです。
お客様の中には、初代から贔屓にしてくださっている方もいらっしゃって、お店の歴史を知るうちに、胸の内に使命感が芽生えていきました。」
藤田様は、前店主である石田様とバトンズとの契約を引き継ぎ、「メガネのサンクス」の3代目を見つけるべく、当時勤めていた会社もご退職され、後継者探しに熱心に向き合われたのでした。
頼れるアドバイザーとの二人三脚で歩み、ようやく見つけた理想のお相手
「私は経営に携わったこともなければ、眼鏡業界との接点もない素人だったので、本当に右も左もわからない状態で苦労しました。」
そう話す藤田様が、信頼を寄せて後継者探しを共に進めたのが、M&Aアドバイザーの山本様でした。石田様のご意向を直接見聞きしていた山本様は、経営数字に関わるやり取りはもちろんのこと、石田様と藤田様の橋渡し役としての価値も存分に発揮されたそうです。
そんなお二人が譲渡先として選んだのは、両眼視検査専門の先生のもとで働きながら、自身でお店を持つことを目指されていた二村 徳人様。決め手となったのは、技術面と人柄を兼ね備えた方だったからと話します。
「初代も2代目も高い技術力を持っていたため、同じように高い技術力を持っていることは必須条件としていました。というのも、懇意にしてくださるお客様は度数合わせが難しい方が多かったので、彼らに対応できる人でなければ、これまでお世話になったお客様にもご迷惑がかかりますし、引き継ぐ側も顧客離れで経営が立ち行かなくなることが見えていたからです。
そして何より、『見えない人を見えるようにして差し上げる』ということは、2代目が非常に大事にしていたことでした。『ものが見える』ということは、人が生きていく上でとても重要なことのひとつだとして、自身の技術を磨きながら追究していたことだったので、同じ想いを持った方に引き継ぎたいと考えていました。
その点、二村さんは十分な実務経験もおありでしたし、業界内では有名な方のお弟子さんということで、技術面では問題ないと思いました。また、真面目でお人柄も素晴らしく、奥様も眼鏡関係のお仕事をされていると伺ったので、安心してお任せできると感じたんです。」
このご時世で、眼鏡店を買って独立しようという人は少ないと想定していたと話す藤田様。眼鏡業界は価格競争が年々激しくなっており、経営の難易度は上がっていることもあってか、買い手候補者もそう多くはなかったと言います。
自分でもネットを駆使して全国の範囲で技術力と志の高い眼鏡店を探しては、電話をかけて売り込んでいた藤田様。その努力が身を結び、技術もお人柄も素晴らしい、新潟で同業を営む先生から大事なお弟子さんをご紹介いただき、今回のご成約へと繋がっていきました。
「本当はもっと腰を据えて探したかった」肩の荷を下ろし、今後は元の生活へ
突然の後継者探しから、無事ご成約を果たされた藤田様に、今回のM&A案件を振り返っての感想を最後にお伺いしました。
「本来は、これまで苦労して運営してきた自分のお店や会社を引き継ぐ相手を探すときは、じっくり腰を据えて、早い段階で綿密な準備をして、交渉に時間をかけながら進めるものなんだと思います。
私の場合は、急遽2代目の意向を受け継いで始めたものでしたし、自分の仕事を辞めた上で関わっていたので、精神的に制約が多かったように感じます。
それでも無事に引き継ぐことができたのは、箕面商工会議所の強力なサポートや、山本先生、石田前店主を大事に思う皆様の助けがあったからです。二村さんも、遠いところにお住まいだったのに、箕面という場所に居を移すということを即断してくださったことにも感謝しています。本当は、二村さんももっと時間をかけて検討する予定だったと思うので。」
今回の事業承継に関わった方々に心から感謝していますとお話しいただいた藤田様。第一優先としてきた事業譲渡が終わり、ようやく肩の荷が下りて安堵しているご様子で、これからご自身のことにゆっくりと戻られるそうです。
メガネのサンクスの今後の更なるご発展を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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