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グループホームのM&A!医療分野で複数事業に取り組む「敏腕経営者」の新たな挑戦

2023年08月21日

鳥取県を拠点として、医療系の事業を複数展開されている田本様。その中のひとつである「株式会社Wonderful-Days」はこの度、グループホームを運営するA社を譲り受けされました。もともと小児科専門として活動されていた田本様ですが、周囲からの相談事を受ける中で、活動範囲や活動地域を広げていっています。

2022年にはM&Aプラットフォームの利用にも取り組まれ、更なる事業拡大をみせる田本様に、M&Aに取り組まれた背景や、今回初となる事業分野へ参入された理由など、詳しくお伺いさせていただきました。


 

譲渡企業
区分 法人
業種 医療・介護
拠点 兵庫県
譲渡理由 後継者不在

 

 

譲受企業
社名 株式会社Wonderful-Days
業種 医療・介護
拠点 鳥取県
譲受理由 新規事業への参入

 


 

現場に任せて責任は負う。クリニックの共同経営から得た学び

もともと小児科専門の医師として活動されていた田本様は、2012年に「医療法人田本会」を設立。鳥取県米子市に子どもクリニックを開院し、多くの診療に携わってきました。

子どもの診療を行う中で、付き添いの親御さんや祖父母の方々から「自分もこういった症状があって‥」というような相談も受けるようになってきた田本様は、より多くの患者さんに寄り添うべく、医療法人の設立から3年後に「ファミリー内科クリニック」を知人と立ち上げます。

「私は小児科の専門だったので、大学で同窓だった先生に来ていただいて、一緒にクリニックをはじめました。多くの患者さんと向き合いたいという気持ちから、自分は『どんどん患者さんを診ていこうよ』と言っていたのですが、その先生は『ゆっくり自分のペースでいい』というスタンスでして。

運営方針が合わず、その先生が半年で辞めてしまうことになり、クリニックも潰れてしまうという苦い経験をしました。その時に、『自分は口を出し過ぎず、相手にある程度任せて見守った方がいいのではないか』と反省をしました。」

その後、田本様は別の先生と共に糖尿病内科を設立。軌道に乗ってきたところで、企業主導型保育園や訪問看護ステーションを設立するなど、事業領域の幅を着実に広げていきました。過去の失敗経験から、どの施設も運営は現場スタッフに任せ、田本様は最終決定や最終責任を負うというようなカタチで、活動領域を広げていきます

 

「理事長を代わってほしい」という相談から、M&Aを検討し始める

Photo by iStock-1309115995

医療法人を立ち上げて10年が経ったころ。各施設の運営が軌道に乗り、田本様はこれまでの経験をもとにコンサルティング業の展開も検討し始めます。

もともと、多方面から『相談にのってほしい』というお話はあったそうで、運営改善の延長線上にある手段として、M&Aも考えるようになりました。

また、田本様はこれまで鳥取県を拠点に施設の運営を行ってきましたが、M&Aの検討を始めたことで、全国規模に視野を広げていきます。その動きの一つとして、2022年の10月ごろにバトンズの登録も行い、ネットを使ったM&Aの試みも開始します。

「実現には至らなかったのですが、ある病院の先生から『理事長を代わってほしい』と相談されたことがあったんです。先生曰く、『責任が重すぎる、私には荷が重い』と。人から相談を受けるうちに、そういう方が結構多いんだなとわかってきて。

自分はどちらかというとメンタルが強い方らしく、むしろ最終責任を負う立場が向いている人間なんだと思います。自分で責任を負って自分でやっていきたい、と思うタイプなので。だからこそ、逆に『責任を負わない立場で、身軽に動ける方がストレスなく仕事に向き合える』という方とマッチするので、事業継承と相性がいいのではないかと。」

今回、田本様はバトンズのプレミアムプラスに登録をいただき、M&Aに取り組まれておりました。プレミアムプラスを利用してみての感想をお伺いすると、何もわからないところからM&Aに取り組んだ身としては、非常に助けになったと答えくださいました。

「プレミアムプラス会員になると、条件にあった案件をバトンズさん側からご紹介いただけますよね。また、売り手さん側からこちらに提案もいただけたりもします。M&Aサイトを使うのは初めてだったのですが、紹介いただいた全ての案件にラブコールを送っているうちに、だんだんと目が肥えてきて、マッチする案件や合わない案件がわかってくるようになっていきました。」

 

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介護事業とマッチング。M&Aへのスタンスも一致し、交渉へ進めた

Photo by 27108195_m

医療系を軸に幅広い分野を検討していた田本様は、バトンズ側から紹介される案件を見ていくうちに、自分に合いそうな案件を絞っていきました。その中で、兵庫県でグループホームを展開するA社との出会いを果たされます。

「グループホームは、認知症患者が入居する施設です。介護の分野は未経験でしたが、私自身が近年祖母や親戚が認知症になり困っていた背景があって。また、私の専門は小児科ですが、介護認定制度の選定をする医者に選ばれたこともあったので、介護に関する勉強もしていました。」

A社は、経営も黒字、現場のスタッフのみで自走しているという好条件で、買い手希望者も多数集まっていました。その中で選ばれた田本様は、どのようなスタンスで売り手様と向き合っていたのでしょうか。

自分で選んだというよりも、向こうに選んでいただいたという意識の方が強いですね。私は、介護のスキルも経験もありませんでしたが、頑張れそうだと判断していただけたんじゃないでしょうか。

前代表は一代で事業を築いてきた方で、会社に対する強い思い入れを感じました。事業を継承したからといってガラッと会社を変えられるのは嫌だとおっしゃっていて、私は大手の会社さんと違って『どうぞそのままやってください』という姿勢だったのも、うまくマッチしたのかもしれません。」

過去にクリニックを潰してしまった経験がある田本様は、自分の色に染めていくのではなく、これまでの流れを踏襲して、そのままのカタチで継続してもらうことを望んでいました。スタッフからの相談があれば真摯に向き合うものの、基本的なことは自分たちで考えてもらい、自分たちで運営できるようになることがベストであると話します。

「最初に自分がテコ入れをしてしまうと、結局全て私が考えたことになってしまって、現場の成長がない。それよりも、それぞれがトライアンドエラーをしてもらって、失敗をしたからって責めずに、次に繋げていってもらう方が現場のためだと考えています。」

代表の退任に伴い、後継者不足に悩んでいたA社。現場を引っ張るスタッフはいるものの、責任を負う立場を担える人がいない状況で、田本様のM&Aに対するスタンスがぴったりとマッチし、今回のM&Aが実現しました。

 

M&Aには、様々なマッチングのケースがある。「自分には無理だ」と思わず、どんどん挑戦してみてほしい

先方のニーズと、田本様のM&Aに対する姿勢がマッチしたことから、医療と介護という異分野ながらもM&Aが成立。これまでM&Aは何度か経験があったものの、M&Aプラットフォームの利用は初ということもあり、最初は多少の不安があったと田本様は話します。

「慣れてくるまで、メッセージひとつ送るのにも勇気がいりましたね(笑)。どの程度返事が返ってくるのかもわかっていなかったですし、とりあえず試しに送ってみたら真剣な返事が返ってくることもあり、相手は本気なんだと気が引き締まりました。

実際の面談・交渉に入ってからは、やっぱりマッチングなので、ただ気を使ったり探り合ったりしているだけではうまくはいきません。お互いに出すものを出した上で、あとはご判断くださいというスタンスで臨みました。いくら交渉でいい顔をしていても、最終的にはすり合わせなきゃいけないのなら、もう最初から本気で勝負するという感じですね。」

これまでも精力的に事業を展開してきた田本様ですが、M&A成約後の今、改めて今後の
展開やこれからのビジョンについてお聞きました。

「A社の経営は、今は引継ぎが終わり、僕らにバトンタッチされる段階です。田本に任せてよかったと言ってもらえるよう、まずはしっかり足場を固めていきたいです。

事業の今後でいうと、どんなことも人と人との繋がりで動いていくので、出会いを大事にしたいと思っています。ですから、これからどう展開していくかは出会い次第です。私個人としては、再生医療や延命治療に興味を持っているので、勉強を続けつつ、医療分野での展開は引き続き深めていきたいです。」

田本様の運営するYouTubeチャンネル

また、現在YouTubeチャンネルで配信活動も行っている田本様。医療の知識を中心に、日常を発信する「ゆび先生&ひかちゃんねる」の登録者数は五万人を超えており、TikTokでの配信も人気が高まってきています。配信活動に力を入れている背景には、正しい知識を患者さんに届けたいという思いがあると田本様は話します。

「患者さんに対してお話をするとき、エビデンスのある医学の知識を持って一生懸命喋るんですが、『テレビで誰々がこう言ってた』というだけで、簡単にかき消されてしまうことがあります。医学的な知識よりも、知名度の高いメディア情報で判断がなされてしまう。

決して目立ちたいわけではないのですが、小さな診療室で話をしているより、まずは自分が有名になることで届きやすくなることもあるのかなと。そういった理由でSNS活動も行っていますので、こちらも引き続き積極的に続けていこうと思っています。」

医療分野で多岐に渡り活動を行う田本様。M&Aも複数回ご成約されている田本様から、最後にM&Aを検討されている方に向けてメッセージをいただきました。

「M&Aって、いろんなマッチングのケースがあると思うんです。自分みたいに、責任を負うのが苦にならないタイプもいれば、もっとドライに金額ベースで進めていく人もいる。だから、どんな人にもチャンスはきっとあると思います。

バトンズさんのいいところって、誰でもチャレンジができて、間口が広いところだと思うんです。何となくM&Aに興味があるなという人は、飛び込んでみたら何かしらの成長に繋がるでしょうし、誰かの役に立つんじゃないかなと思います。自分にあったニーズは絶対にあるはずなので、どんどん皆さんにチャレンジしてほしいです。」

顧客ファーストで、患者さんの声に耳を傾ける中で事業の幅を広げてきた田本様。そんな田本様だからこそ、今後の方向性は決まりきっているわけではなく、お客様の悩みがあれば新たに取り組むビジネスもあるかもしれない、とおっしゃっておられました。

M&Aもそのひとつとして考えている田本様の、今後のご活躍に期待が膨らみます。

田本様と、株式会社Wonderful-Daysの今後の更なるご発展をバトンズ一同応援しています!

 

【担当アドバイザー:「クレジオパートナーズ株式会社」再東様からのコメント】

田本会グループ様は、鳥取県米子市に本社を置き、小児科・内科・訪問看護・企業主導型保育園等、幅広く医療を中心に事業展開されています。

田本理事長は訪問介護事業の再建実績や介護判定の審査員の経験、グループホームの立ち上げ準備の経験もあったことから、対象会社に対しての理解力も早く、事業者面談から資本提携までスムーズに手続きを行うことができました。

M&A成立後も頻繁に従業員の方とコミュニケーションを取られている様子を定期的にヒアリングさせていただいており、色々な事業展開もグループ全体で考えられていることから、より一層存在感を増していく田本会グループの今後の展開を楽しみにしております。

 

 

 

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