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起業したら知っておきたい2つの共済制度とは?

2018年12月29日

起業によって独立すると、会社勤めであれば得られる手厚い退職金や年金はあてにできなくなります。また、小さな会社の場合、得意先からの資金回収が難しくなったとたんに、経営に深い影響を及ぼしかねないというリスクもあります。小規模な会社経営者は、こうしたお金に関する悩みを解決するために、余剰資金を確保したり、外部へお金を積み立てたりするなどしながら、自分でさまざまなリスクヘッジを行っていかなければなりません。

しかし実は、そうしたお金に関するニーズに応える公的な制度が存在します。将来の退職金や取引先が倒産したときの備えをしつつ、節税にも効果がある「小規模企業共済」と「経営セーフティ共済」という制度です。今回は、この2つの制度について概要を紹介します。

将来の退職金を準備できる「小規模企業共済」

小規模企業共済は公的な機関である中小機構(独立行政法人中小企業基盤整備機構)が運営する制度です。この共済制度を簡単にいうと、将来の退職金を積み立てるためのものですが、同時に支払った掛金を毎年の所得から差し引けるという特典があります。小規模企業共済は、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などが加入でき、全国で130万人以上の人が加入しています。

月々の掛金は1,000円から7万円まで500円単位で自由に設定することが可能です。仮に、20%の所得税率が適用されている個人事業主が月々5万円(年間60万円)の掛金を支払った場合、所得税が12万円(=60万円×20%)も安くなります。

小規模企業共済が節税に役立つ点は、受け取り時にもあります。経営者を辞任したり、個人事業を廃業したりした場合に一括で共済金を受け取れば、退職所得として扱われるのです。退職所得は、老後の資金という性格上、所得税がかなり優遇されています。つまり、掛金を支払ったときは、その額がまるまる所得控除されるのとともに、共済金を受け取ったときは、退職所得として優遇された所得税だけが課されるのです。

さらに、小規模企業共済の契約者は、掛金の範囲内で事業資金の貸付を受けられるメリットもあります。小規模企業共済では、掛金の金額が自由に設定できることに加え、共済金の受け取りも一括と分割、もしくは両者を組み合わせるなど、柔軟な選択が可能です。このため、自営業者にとっては、かなり利用価値の高い共済制度といえるでしょう。

経営を安定化させる「経営セーフティ共済」

経営には常にリスクが伴います。取引先の倒産もそうしたリスクのうちの一つです。経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)は、取引先が倒産した場合でも中小企業が連鎖倒産や経営難に陥らないようにすることを目的として設けられた共済制度です。

経営セーフティ共済では、取引先が倒産し、売掛金などの回収が困難になった場合、掛金の10倍(上限8,000万円)までの金額を無担保、無保証ですみやかに借入れすることができます。これにより、資金ショートのリスクの軽減が可能となります。経営セーフティ共済の毎月の掛金は、5,000円から20万円まで自由に設定でき、増額や減額をすることも可能です。また、掛金は法人の場合には損金として、個人事業主の場合には必要経費として処理できるので、節税にも役立ちます。

経営セーフティ共済は、小規模企業共済のように共済金を退職所得として受け取ることはできませんが、代わりに共済契約を解約した場合に解約手当金を受け取ることができます。この解約は自由に行うことができ、掛金を12ヵ月以上納めていれば掛金総額の8割以上、40ヵ月以上納めていれば、掛金の全額が戻ってきます。

また、経営セーフティ共済でも一時貸付金の制度が利用できます。取引先が倒産していなくても、急な事業資金が必要な場合には、解約手当金の95%を上限として借入れを行うことができます。

それぞれの加入要件をチェックして活用しよう

以上のように、どちらの共済も起業を目指す人にとっては魅力的な制度となっています。ただし、小規模企業共済と経営セーフティ共済では、加入できる人の要件や共済金を受け取るときの条件などが異なっています。どちらの制度が適しているのかよくわからないという人は、中小機構の相談窓口やコールセンターを活用してみるとよいでしょう。それぞれの制度の特徴をよく理解した上で、自身に合ったものを活用してみてください。

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