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地方銀行員から独立。秋田発アウトドアブランド事業構築に向けた最初の一歩

2023年07月06日

銀行員として約8年間勤務された佐藤拓海様は、今回のM&Aを機に独立・起業。EC事業を引き継ぎ、事業経営者として新たなスタートを切りました。地元である秋田県を拠点に、地元企業と連携したOEM商品を開発し、いずれは秋田初のアウトドアブランドを立ち上げたいと話す佐藤様に、銀行員から独立を果たされた道のりとこれからの事業展望について、お話を伺いました。

 


 

譲渡企業
スキーム 事業譲渡
業種 小売・EC
拠点 岐阜県
譲渡理由 資本獲得による事業拡大

 

 

譲受側
区分 個人
業種 金融業
拠点 秋田県
譲受理由 起業

 


出向をきっかけに、スモールM&Aの実態を知る

Photo by iStock-644191738

2014年の4月に大学を卒業した佐藤様は、新卒で地方銀行にご就職。およそ8年間、銀行員として勤務されました。その後、他行への出向を命じられた佐藤様は、約1年間の業務を通じて「LBOファイナンス」について学ぶこととなります。

「出向期間の1年間は、ファンドなどがM&Aをする際の資金融資を行う、LBOファイナンスを主として担当をしていました。この業務を行う中で、M&Aについて知見を深めることができました。

これまで、M&Aというものは『大企業が中小企業などを買収する』ことが通例なのかなと思っていました。しかし、昨今では後継者不足を解消する目的だったり、個人事業主としてのいわゆる『スモールM&A』も行われているということを知りまして。その経験が、自身でもM&Aをしてみたいと思うようになったきっかけになります。」

急速に『働き方の多様化』が進んでいる現代。出向を通じてM&A市場に触れる中で、想像していたよりも小規模のM&Aが活発化していることを感じられたそうです。

また、国や地方自治体の政策として『起業を後押しする制度』が整ってきていたり、日本政策金融公庫などの創業融資が充実していることを知った佐藤様。起業するハードルが昔より低くなっていると捉え、自身でビジネスを展開すべく、新たなチャレンジへと踏み切ります

「出向期間中は、M&Aの案件自体を担当していたわけではありませんが、大企業のM&Aとなると、税理士や弁護士、会計士の方がそれぞれの部門で、対象企業の事業価値やリスクなどを分析・評価します。それらのレポート等を見る機会があったことで、起業をするために必要な知識が多少ながら得られたかなと思っています。

業務を通じて、『ただ単に買収先の企業を検証するだけじゃなく、多様な観点から分析をする必要がある』ことを痛感し、広く理解を深められた1年間でした。この時の経験がなければ、自分でM&Aをして起業してみようとは思わなかったと思います。」

自由と責任がある自営業。リスク以上に魅力を感じた、自分で商売をするやり甲斐

Photo by iStock-1390646116

佐藤様のお父様は自営業であり、佐藤様はその背中を見て育ちました。そのため、昔から「いつかは自分で商売をしてみたい」という想いが胸の内にあり、メガバンク出向の経験に伴い、その想いが現実味を帯びていきます。

「収入の面で言うと、会社員をしていた頃は基本給があり、残業代も働いた分だけ出ます。青天井というわけにはいきませんが、毎月安定した給料を確保できるのが、会社員というものです。

しかし、どれだけ頑張っても、頑張った分が100%反映されるかというと、そうではないですよね。変な話、頑張らなくても基本給は必ずもらえます。

一方で、自営業は安定した給料はありませんが、自分で意思決定ができ、やりたいと思ったことをすぐ行動に移すことができます。それが、会社員では味わうことのできない、自営業ならではのやり甲斐だと思います。」

金融業から独立する人は少ないイメージがまだまだあるので、私の今後の活躍を通じて、『金融マンからでも個人で起業ができる』と広く認知してもらえることができればと思っています。」

M&Aの交渉。成約前に退職を決意した理由とは

Photo by iStock-928080898

1年間の出向を経て、地方銀行の本社へ配属となった佐藤様。はじめは、銀行業務と並行しながら起業に向けて動き始めていたそうです。しかし、バトンズに登録して譲渡案件を本格的に探し始めるうちに、並行して進めることが心理的に難しいと感じるようになったとのこと。

「私の性格上、ちょっとでも何かに興味を持ってしまうと、とことんそっちの方に目がいってしまうんです。そのため、M&Aについて調べ始めたら、銀行業務になかなか身が入らなくなってしまって。

地方銀行に戻って3ヶ月くらいで、退職することを決めました。正直、このタイミングで退職することは、少し勇気がいる決断ではありました。退職したタイミングでは、成約はおろか、具体的な話も進んでいなかったので。」

まだ具体的な交渉へと進んではいなかった佐藤様でしたが、いくつか目星をつけていた譲渡案件はあり、退職したことで交渉に専念することができるようになったと振り返ります。これまで、銀行業務を通じてM&Aのノウハウを培ってこられた佐藤様は、どのような基準で事業を探されていたのでしょうか。

「私はもともと銀行員だったので、技術的な仕事はちょっと難しいのかなと考えていました。あとは、初期コストをできるだけ抑えたいなという部分もありました。なるべく設備も持たずに始められて、ランニングコストを抑えられる事業を対象に探していました。」

金融業は、ある種「サービス業的な側面を持ったビジネス」であると話す佐藤様。そのため、自分で商売をする際には、これまでとは違う「形あるものを販売するビジネス」をしてみたいという想いもあったそうです。

「自分自身でモノを作る技術がなくても、アイディアを出すことはできます。そのため、自分が出したアイディアに沿ってモノを作ってもらい、売ることができる『OEMの形態』がいいんじゃないかと考えていました。今回成約したEC販売のビジネスは、そんな自分にとって非常にマッチしたビジネスモデルなんじゃないかなと思っています。」

そんな佐藤様が今回ご成約されたのは、大型商品をメインで扱うEC販売事業。M&Aアドバイザーとして仲介された会社の系列会社で行っているEC事業でした。佐藤様が本案件を引き継ぐ決断をする大きな決め手となったのは、事業譲渡後のサポートをアドバイザーの田中様(匿名)が約束してくれたからだったと言います。

「EC事業自体が未経験でしたし、銀行員時代も取引先でEC事業をされている会社はそんなにありませんでした。M&Aをする中で一番不安だったことは、実際に事業をスタートしてから、自分一人でしっかりと売り上げを立てていけるかどうかということでした。

その点、田中様からは、事業譲渡をした後も手厚くサポートしていただけると言っていただきまして。安心感を持って検討することができました。」

通常であれば、M&A実施後に一定期間有償でコンサルを頼むことになるケースもある中で、期限なしで無償のサポートが受けられるというのは、大きなプラス要因となったと佐藤様は話します。

実際、成約後もアドバイザーの方とやり取りをしながら事業を運営しており、今でもわからないことがあればすぐ連絡をいただけるなど、日々アドバイスをもらっているそうです。

リスクのない案件はない。多少コストがかかっても、十分な検証が必要

Photo by iStock-1393580662

銀行員時代にM&Aの知見があったとはいえ、実際に自身の事業としてM&Aを行うのは初。そんな佐藤様に、M&Aを終えてみての感想を伺いました。

「印象に残っているのは、ビジネスモデルや財務内容、契約書の内容を理解する難しさです。経営者になる以上、どれもしっかり理解しておかなければいけませんし、何かを見落としていたり、思わぬ落とし穴に直面してから『知りませんでした』では済まされません。

リスクが全くない案件など存在しません。リスクの対策という観点でも、しっかりと事業内容を理解して、不安なところはM&Aアドバイザーに確認しながら対策を考える。そのプロセスが、交渉する中で大変なところだったかなと思います。」

自分で商売をするということは、自由な意思決定ができる反面、全ての結果が自分に帰属していくことになります。佐藤様はM&Aの交渉を通じて、改めて自分にかかる自己責任の重さを実感したと言います。

そして、自分一人で納得のいく解釈を得るのが難しく感じた佐藤様は、途中から買い手側のM&Aアドバイザーと契約を交わし、そのサポートのもと交渉を進めていきました。

初めてM&Aを検討するのであれば、多少コストがかかってもM&Aアドバイザーや、サポートをしてくれる専門性を持った方を頼るべきじゃないかと私は思います

今回は、バトンズさんからM&Aアドバイザーを紹介していただき、案件の成約報酬をお支払いしました。リスクを考えたら安価でしたし、サポートも手厚かったので、非常に満足しています。」

そう話す佐藤様から、今回のM&A成約経験を踏まえて、これからM&Aに取り組む方向けにアドバイスをいただきました。

「案件を1から100まで、ちゃんと自分で理解をすること。理解するためのツールは、全て使う。初めての方は、それをぜひ心得てほしいなと思います。

開示されたデータの読み込みに関しては、わからないからそのままほったらかしておくのではなく、経営者になるという責任感を持って細かい部分まで理解をすることが必要です。

私は銀行にいたこともあって、書類仕事だったり数字に関しては一般の人よりは知識はあると思っていていました。ですが、やはり業界ごとに利益率が何%になるかとか、整合性をちゃんと検証できるかというと、そんなことはありませんでした。それは、実際にやってみて感じたことです。」

コストを惜しんで自分一人で全てやろうとすると、実際に譲渡された後に落とし穴が発覚し、売上を上げるどころではなくなるかもしれません。長い目で見た事前のリスクヘッジが必要であると、佐藤様は話します。

今後は、地元企業と連携したOEM製品を展開予定。秋田発のアウトドアブランドを目指す

Photo by iStock-1401486917

これから経営者として事業を進めていく佐藤様に、最後に今後の事業展開についてお話しいただきました。

「やりたい仕事をあげるとキリがないのですが、EC事業の今後の展望で言うと『地元の企業と連携したOEM商品』を作ってみたいですね。アウトドア分野の商品開発もしてみたいです。

私は秋田県出身で、現在も秋田でEC事業を展開しています。地元企業と連携して、クラウドファンディングやふるさと納税に出品するなどの取り組みも行ってみたいと考えています。」

事業運営において佐藤様が一番重視していることは、地元秋田への還元。今後は、秋田の展示会や商談会に積極的に参加し、人脈を作りながら可能性を広げていきたいと意気込みます。

「まずはOEMでの商品開発に注力してオリジナル商品を増やしていきながら、最終的にはオンラインでも実店舗でもアウトドアショップを開けたら面白いですね。そうやって、秋田初のアウトドアブランドが作っていきたいと考えています。」

秋田初のブランド事業を推進すべく、最初の一歩を踏み出した佐藤様。

佐藤様の今後のさらなるご活躍とご発展を、バトンズ一同心より応援しております!

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