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善管注意義務とは?M&Aにおいての注意点を確認しよう

2023年05月17日

善管注意義務は、会社と委任契約を結んでいる取締役や役員に課される義務です。2つ以上の会社が1つになる合併や、企業が別の企業・技術を買ったり取り入れたりする買収のM&Aを行う際にも同様に課されます。

この記事では、善管注意義務についてM&Aの立場からも解説します。また、善管注意義務に違反した場合についても紹介するので参考にしてみてください。

 

 

善管注意義務とは

まずは善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ)とは何か、基本事項を確認していきます。

 

委任契約を結ぶ取締役などに発生する義務

善管注意義務は、取締役・役員の職務全般に対して課されるもので、取締役や役員以外の委任契約一般に適用されるものです。これは会社法や民法によって正式に定められています。

会社法の第330条では、会社と取締役・役員の関係性が委任契約であること、

民法の第644条では、委任契約を受任した者は「善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と記載されています。

ちなみに善管注意義務は、この善良な管理者の注意義務」を略した用語です。

また、善管注意義務は、取締役や役員の職務だけに課される義務ではありません。医師が診察などの医療行為を適切に行うことや、賃貸物件を借りた人が部屋の設備を破損しないようにすることなどの幅広い分野において適用されています。

そして、民法第643条では委託は法律行為(契約などの法律効果が発生する行為)のみを対象としていますが、法律行為以外を委託する「準委任契約」にも、善管注意義務が課されます

委託契約は行為に対する契約であり、請負契約のような成果物の完成に対する義務がなく、さらに雇用契約のような主従関係もありません。

よって、受任者に善管注意義務を課すことが、契約の滞りない履行のために重要になります。

 

善管注意義務の判断基準

善管注意義務では、具体的なある行為が善管注意義務違反にあたるかどうかに画一的な基準はなく、裁判で争われた場合は、個々の状況や過去の判例などから個別に判断されます

裁判における基本となる判断基準は、著しく不合理な行為でないかぎり善管注意義務違反とはみなさないという「経営判断の原則」です。

そして、常識として一般的に要求される知識や判断能力を使っていたか、会社や株主のために通常期待される程度の業務を行ったかどうかなどを踏まえて、総合的に判断します。

どの程度なら不合理でないかの内容・水準については、取締役や役員が置かれた地位や状況に応じて異なります。

 

M&Aにおける善管注意義務

会社と委任契約の関係にある取締役・役員には、基本的にすべての業務に対して善管注意義務が要求されます。よって、M&Aのような重要な意思決定では、当然善管注意義務を果たさなければなりません。

 

M&Aで注意したい善管注意義務違反のケース

法令違反行為や、会社の利益より取締役・役員個人の利益を優先させる利益相反行為は、善管注意義務違反となる可能性が非常に高いです。

善管注意義務違反の判定には経営判断の原則が適用されますが、過去の判例では法令違反と利益相反は例外的に適用しないとされています。

他には、以下のようなケースが善管注意義務違反になる可能性があります。

①明らかに不適切な価格で買収する

②デューデリジェンスを怠ったために損失が出る

③よく知らない他業種や外国企業を不用意に買収して損失を出す

 

 

M&Aが原因となる善管注意義務を防ぐためには

会社にとって重要な意思決定であるM&Aでは、当然善管注意義務を果たさなければなりません。M&Aが原因となる善管注意義務を防ぐためには、M&Aで一般的と考えられている各プロセスをきちんと遂行し、そのプロセスを遂行した証拠を残しておくことが大切でしょう。

買収後に多大な損失が出た場合に善管注意義務違反を問われることが多いため、、買収後のビジネスプランを明確にし、不合理な判断ではなかったと主張できるようにしておくことも重要です。

しかし、どれだけ注意しても想定外の損失は発生します。そのため、適切な表明保証をつけたり、表明保証保険に入っておくことも有効となるでしょう。また、判断は適切な専門家の助言のもとに行い、助言を得たことを示す証拠を残しておきましょう。

M&Aでは、老舗の中小企業で株主がもう誰か分からない、株券発行会社なのに株券の所在が分からない、株主と名乗る者が実は株主ではなかったなど想定外のトラブルが起こることがあります。そもそも実現可能なM&Aなのかをあらかじめ調べておくことも重要です。

 

 

 

善管注意義務を違反した場合

取締役や役員が善管注意義務に違反した場合、会社や株主から損害賠償を請求される可能性があります。他にはどのような対応が求められるのか確認していきましょう。

 

会社から損害賠償を請求される可能性がある

会社法の423条によると、取締役や役員は「その任務を怠ったとき(任務懈怠)」に、それによって生じた損害を賠償する責任があるとされています。賠償の対象となるのは、売上・利益の減少や追徴課税・罰金などで、基本的にすべての損害が対象です。

ただし、会社法の424条から427条で、賠償責任が免除されるケースについて規定されています。

免除されるケースは以下のとおりです。

①総株主の同意による免除(424条)

②株主総会の決議による一部免除(425条)

③定款で一部免除について定める(426条、427条)

 

 

ポジションを解任される可能性が高い

会社法の339条によると、役員は株主総会の決議でいつでも解任できるとされており、善管注意義務違反があった場合、これにもとづいて解任される可能性が高いです。

「いつでも」解任できると定められているので、仮に裁判で善管注意義務違反にあたらないとされた場合でも、会社のイメージ保護や風評被害防止などの目的で解任されるケースも考えられます。

また、会社法の847条によると、たとえ会社自身が責任追及しなくても、いわゆる株主代表訴訟によって、株主の主導で訴えを起こすこともできます。

 

実際にあった違反事例

実際にあったM&Aにおける善管注意義務違反として、レックス・ホールディングスとシャルレの事例を紹介します。

 

レックス・ホールディングスの事例

焼き肉チェーン「牛角」などを運営するレックス・ホールディングスの取締役らが、善管注意義務違反があったとして株主から訴訟を起こされました。

レックス・ホールディングスは、「MBO」というM&A手法で自社株式を買い取りましたが、その際不当に安い価格で売却させられ、既存株主が損害を被ったというものです。MBOは役員が株式を買い取るので、株主との間に利益相反が起こりやすい手法です。

この裁判では、不当に安い価格で売却させられたことは認められませんでしたが、その際に株主に対する情報開示が不十分だったことに対して、善管注意義務違反が認定されました。

 

シャルレの事例

下着メーカーのシャルレの取締役らが、善管注意義務違反があったとして株主から訴訟を起こされた事例です。

こちらも先ほどの事例と同様、MBOの際に不当に安い価格で売却させられたというものです。この訴訟では、取締役らが株価を不当に安く誘導する善管注意義務違反があったと認定され、損害賠償の支払いが命じられました。

 

 

 

バトンズで安心安全のM&Aを

善管注意義務の違反にM&Aも大きく関わる可能性があることがわかりました。M&Aを行う際には、しっかりとした基盤のもと、安心安全に行うことが善管注意義務を全うするためにも重要です。

そこで、M&Aのサービスを展開する「バトンズ」をご紹介していきます。

 

はじめてのM&Aでも安心のサポート体制

M&Aは多くの経営者・事業主にとってあまり経験がないものでしょう。そのため、初心者でも安心して挑戦できるM&A支援サービスがおすすめです。

バトンズでは、M&A支援歴15年以上のスタッフによるサポート、日本全国で譲渡検討の相談ができる「バトンズM&A相談所」など、初めての方でも安心してM&Aに取り組める環境が整っています。

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M&Aでは複数の買い手・売り手候補から1社を選ぶため、信頼できる会社を時間をかけて見極めることが重要です。

バトンズは、数あるM&Aマッチングサービスの中でも、M&A成約数と会員数がNo.1の実績があり、安心安全のM&Aが可能となっています。

 

売り手様は16万社以上の買い手候補から平均16件以上のオファー、買い手様は常時1万件以上、毎月500件以上の新着売り案件があり、複数の候補から比較検討して最適な相手を選ぶことができます。

 

まとめ

善管注意義務は、会社法や民法によって正式に取締役・役員の職務全般に対して課されるもので、業務や契約の滞りない履行のために重要です。

善管注意義務に違反すると、会社から損害賠償を請求されたり、多くの場合ポジションを解任されたりするため、注意して取締役・役員などの責任を全うしましょう。

取締役・役員はM&Aのような重要な意思決定において、特に注意が必要です。M&Aを実行する際には、安心安全のサポート体制が整ったM&A支援サービスを利用するのがおすすめです。

M&A支援サービスなら「バトンズ」を利用されてはいかがでしょうか。

 

 

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