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M&Aにおけるネームクリアとは?意味や目的を専門家が解説

2023年04月12日

今回は「M&Aにおけるネームクリアとは?」について、解説します。

M&Aにおけるネームクリアは、M&A交渉において初動のプロセスとなりますが、非常に重要なプロセスです。なぜならば、買い手が売り手よりネームクリアの許可をもらえなければ、M&A交渉は一歩も進まず、この時点で終了となってしまうからです。

ここでつまずいている買い手の方も多くいらっしゃることでしょう。

※今回の記事のワンポイントアドバイスでは、「【買い手必見!】ネームクリア必勝法!」も解説していますので、是非、ご覧ください!

 

まさにネームクリアは、M&A交渉上の第一関門と言えます。ネームクリアはM&A交渉上の重要な初期動作と言う事もあるため、売り手・買い手双方に正しい知識をもっていただきたいと思います。

今回は、M&Aにおけるネームクリアについての、

  • ネームクリアの意味
  • ネームクリアの目的
  • ネームクリアのタイミング
  • ネームクリアの注意点と事前準備

 

を中心に、「M&Aにおけるネームクリアとは?」を、解説していきます。

 


【監修者プロフィール】


合同会社アジュール総合研究所 / 代表社員
スモールM&Aアドバイザー/ M&A支援機関登録専門家
伊藤 圭一(いとう けいいち)

「小規模企業と個人事業の事業承継を助けたい!」そんな想いから、2019年7月に小規模事業専門のM&Aアドバイザー「スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所」を設立。
合同会社アジュール総合研究所」の紹介ページ

【必見!】巻末にスモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所 代表 伊藤氏よりM&A実務に即したワンポイントアドバイスや注意点も掲載しています!是非、最後までご刮目下さい!

 

ネームクリアの意味

ネームクリアとは、「秘密保持契約締結後、売り手が買収検討をしている買い手候補に対し、実名を開示し、企業または事業情報を提供すること」です。これにより、買い手は売り手の具体的な情報を入手することができ、本格的な買収検討とM&A交渉を進行させる事が可能となります。

 

ネームクリアの目的

前述の通り、売り手から買い手へネームクリアされることにより、買い手は、案件の具体的な情報を入手することができ、本格的な買収検討とM&A交渉を進行させることが可能となります。

ネームクリア後は、売り手から決算報告書、履歴事項全部証明書、定款、作成されていれば企業概要書など、買い手が買収検討するのに十分な資料が開示されることが一般的です。

売り手側としても、ネームクリア先はよく吟味する必要はありますが、具体的な買収検討をしてくれる買い手候補が増えることで、希望売却価格や条件が受諾される可能性が高まります

 

ネームクリアのタイミング

買い手は、売却案件を探索する際、M&Aマッチングサイトに登録されているノンネームシートやM&Aアドバイザーから提示を受けたノンネームシートを閲覧し、どの案件にアプローチするかを検討します。

その中で、より深掘りした内容を閲覧し具体的な買収検討を希望する案件に対し、買い手から売り手にネームクリアを打診します。

その際、売り手と買い手間で秘密保持契約を締結した上でネームクリアされることが一般的であり、秘密保持契約の締結とネームクリアはセットのものと考えて下さい。

また、売り手にネームクリアを打診する際は、買い手は実名を開示した上での打診となります。

 

ネームクリアの注意点と事前準備

ネームクリアにおける注意点と事前準備は以下の3つとなります。

・秘密保持契約の締結は必須
・必要資料の事前準備
・トップ面談の事前準備

 

順を追って説明しましょう。

 

①秘密保持契約の締結は必須

M&A上、秘密保持契約の締結は重要かつ必須のプロセスです。なぜならば、M&A交渉では売り手、買い手の秘密情報が相互に開示されるためです。

相互に開示される秘密情報としては、「売り手側からは、会社(または事業)の機密資料や、株主、役員の個人情報、ビジネスモデル、経営ノウハウ、知的財産の情報」「買い手側からは、今後のM&A戦略や経営方針など、ライバル企業に知られたくない情報」等々です。

相互に秘密保持契約を締結し、これが遵守されなければ安心、安全なM&A交渉はできません。

秘密保持が遵守されず、相手方に損害が発生した場合、損害賠償請求を受けることとなるので、秘密情報の取り扱いには十分な注意が必要となります。

しつこいようですが、M&A上、秘密保持契約の締結は重要かつ必須のプロセスであり、注意が必要と言うことを十分に理解したうえで、ネームクリアの打診と許可を行うようにしましょう。

 

②必要資料の事前準備

ネームクリアにより、買い手は本格的な買収検討に入るということは前述のとおりです。

そのため、売り手はネームクリア後、M&Aに必要資料をいつでも開示できるよう準備しておかなければいけません。なぜならば、必要資料の開示に時間がかかると買い手の買収意欲が下がり、交渉を見送られてしまう可能性が高まるからです。

M&A交渉はある程度のスピード感が求められます。特にスモール・マイクロM&A(小規模事業のM&Aのこと)においては、交渉開始後2,3カ月程での成約も珍しくなく、かなりの速度を求められます。

このスピード感について行くために、売り手は必要資料の事前準備をネームクリア前に行うことをお奨めします。

 

③トップ面談の事前準備

上記のとおり、M&A交渉にはある程度のスピード感が求められるわけですが、必要書類が開示され、本格的な買収検討ともなれば、早くもトップ面談が実施されます。

初面談においては、挨拶やお互いの経営方針、価値観の確認などで終了しますが、質問事項のヒアリングや相互のアピールなど一歩踏み込んだ内容となる場合もあります。

そのためには、質問事項やアピールポイントの整理など、トップ面談の事前準備が必要となります。

 

なぜネームクリアの事前準備が必要となるのか?

なぜネームクリアの事前準備が必要になるかは、①秘密保持契約の締結とネームクリア、②必要書類開示、③トップ面談実施までの一連のプロセスは、早ければ1~2週間で行われることがあるからです。

前述の通り、M&A交渉はスピード感が求められ②③の事前準備がされていないと後のプロセスが後手に回ってしまいます。

条件交渉のプロセスに入れば、売買の意思決定が求められるわけですが、後手に回っている状態だと精神的に余裕がなくなり、正常な判断を下すことが難しくなってしまいます。

この弊害を回避するために、先手を打って事前準備を入念に行う必要があるのです。

初期動作ではありますが、①~③の一連のプロセスが順調に行けば、その後のM&A交渉がスムーズに進行し、成約率も一気に高まることが期待されますので、心に留めておいてください。

 

まとめ

以上、「M&Aにおけるネームクリアとは?」を、ご説明しました。

今回の内容を、おさらいしましょう。

 

①ネームクリアの意味

ネームクリアとは、秘密保持契約締結後、売り手が買収検討をしている買い手候補に対し、実名を開示し、企業または事業情報を提供すること

 

②ネームクリアの目的

売り手から買い手へネームクリアされることにより、買い手は案件の具体的な情報を入手することができ、本格的な買収検討とM&A交渉を進行させることが可能となる

売り手側としても、ネームクリア先はよく吟味する必要はあるが、具体的な買収検討をしてくれる買い手候補が増える事で、希望売却価格や条件が受諾される可能性が高まる。

 

③ネームクリアのタイミング

買い手は、売却案件を探索する際、M&Aマッチングサイトに登録されているノンネームシートやM&Aアドバイザーから提示を受けたノンネームシートを閲覧し、どの案件にアプローチするかを検討。

より深掘りした内容を閲覧し具体的な買収検討を希望する案件に対し、買い手から売り手にネームクリアを打診。売り手と買い手間で秘密保持契約を締結した上でネームクリアされることが一般的であり、両者はセットのもの。

 

④ネームクリアの注意点と事前準備

◆注意点

M&A交渉では売り手、買い手の秘密情報が相互に開示されるため秘密保持契約の締結は重要かつ必須のプロセスである。

秘密保持が遵守されず、相手方に損害が発生した場合、損害賠償請求を受ける事となるので、秘密情報の取り扱いには十分な注意が必要。

◆必要資料の事前準備

必要資料の開示に時間がかかると買い手の買収意欲が下がり、交渉を見送られてしまう可能性が高まるため、売り手はネームクリア後、M&Aに必要資料をいつでも開示できるよう準備が必要。

トップ面談の事前準備

必要書類が開示され、本格的な買収検討ともなれば、早くもトップ面談が実施される。

そのため質問事項やアピールポイントの整理など、トップ面談の事前準備が必要となる。

なぜネームクリアの事前準備が必要となるのか?

秘密保持契約の締結によりネームクリア、必要書類開示、トップ面談実施までの一連のプロセスは、早ければ1~2週間で行われる。

条件交渉のプロセスに入れば売買の意思決定が求められ、後手に回っている状態だと精神的に余裕がなくなり、正常な判断を下すことが難しくなるからだ。

 

「ネームクリア」というネーミングから何となく「実名を明かす」というイメージを持っていた方は多くいたと思いますが、正確な情報を理解していた方は少なかったのではないでしょうか?

今回の記事で、M&Aにおけるネームクリアの理解を深めていただけましたら幸いです。

 

【スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所 伊藤氏からのワンポイントアドバイス!】 

みなさんこんにちは!

この記事を監修させて頂きました、スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所 代表の伊藤と申します。

ここからは、スモールM&A専門家であるわたくし伊藤が、M&A実務に即した成約に大きく前進するためのアドバイスと注意点などを、なるべくわかりやすく(そして、くだけた感じで?)スモールM&Aの現場の経験をもとに解説していますので、是非、ご刮目下さい!

 


はいっ!

今回は、「M&Aにおけるネームクリアとは?」について解説しました。

前段で解説した通り、売り手からネームクリアがされなければ、買い手はM&A交渉どころか、具体的な買収検討すらできないわけですが、このハードルって結構高かったりするんですね。

というのも、売り手としては実名だけではなく、売却したい会社や事業の秘密情報を買い手に開示することになるので、かなり慎重になるからなんですね。

私がM&Aアドバイザーとして業務を行う時も、買い手からネームクリアの打診を受けた際、すべての打診に応じるわけではなく、買い手情報や買収動機などの精査を行い、アドバイザーとしての意見を売り手に提示して、ネームクリアの可否を伺うようにしています。

 

ここで、売り手からネームクリアの許可が下りなければ、そこで終了です。今後の買収検討もM&A交渉もありません。そういったこともあり、買い手としてはネームクリアの方法も創意工夫して打診する必要があるわけなんですよ。

買い手のM&Aコンサルティングを受託することもありますが、

売り手からなかなかネームクリアをしてもらえません。どうしたらいいのでしょうか?

というご質問を度々受けますけど、その原因の90%は打診方法にあります。

ですが、ほんの少し手間をかけるだけでネームクリアをもらえる確率は格段に上昇します!

ということで、今回は「【買い手必見!】ネームクリア必勝法!」を解説していきます!

 

【買い手必見!】ネームクリア必勝法!

ではでは、売り手からネームクリアをいただくための必勝法を伝授していきましょう!

※投稿している媒体がバトンズさんのブログサイトと言うこともあり、主にM&Aマッチングサイト上の必勝法としてご説明します。

必勝法は以下の5つです!

①会社情報はしっかり登録!

②買収動機は明確に!

③買収後のイメージも記載しライバルに差をつけろ!

④新着案件を見逃すな!案件登録されたら即打診!

⑤本気度と熱意で売り手の心をつかめ!

 

それでは順にご説明しましょう!

 

①会社情報はしっかり登録!

これはホント基本中の基本です。M&Aマッチングサイトを利用してM&Aを実行するために、まずは会社や個人事業の情報などを登録しなければいけません。

上記情報だけではなく、

・買収検討動機や目的

・買収予算

・買収資金の調達方法

・買収希望業種、地域、売上

・赤字、債務超過の許容 などなど

 

いわゆる「買収ニーズ」も登録するわけですけど、ここの部分が結構スッカスカの方もいるんですね。

ネームクリアを打診すると、売り手側には買い手の情報が先に開示され、その情報をもとにネームクリアの可否を決定するわけなんですが、会社情報や買収ニーズの登録が疎かだと、基本的な情報を把握できないので、可否判断ができないんですね。

打診があった先のホームページや履歴事項全部証明書(いわゆる登記簿謄本)を見ても、

「ナニコレ、どんな会社??」

って、なることも珍しくなく、この時点でNG判定になってしまうわけです。なので、最低でもこの部分はしっかり埋めて欲しいところですね。

 

②自社紹介文と買収動機は明確に!

これも①同様、基本ですね。ネームクリアを打診する際、買い手から実名開示の上、売り手へメッセージを送るわけですけど、一言で終わってしまう方もいるんですね。

例えば、

「ノンネームシートをみて興味を持ちました。交渉お願いします。」

 

どうでしょう?

ネームクリアしたいですか?

交渉したいですかね??

 

これ明らかにテンプレートですよね 。

コピペで貼り付けて何となく興味のある売却案件に手あたり次第ネームクリアを打診している可能性が高いですよね。笑い話ではなく、こういった打診をしてくる方ってリアルにいるんですね。

ビジネスマナーの問題かと思いますけど、ファーストコンタクトのメッセージがちゃんとしてない方と交渉したいと思いますか?友好的な交渉ができると思いますか?M&Aが無事に成功すると思いますか?

ここの部分、売り手はよく見てますよ。

売り手としては、

 

「どういう会社が?(誰が?)」

「どうしてウチの案件に興味を持ったのか?(ナゼ?)」

 

を一番知りたいわけでして、これらの情報をキャッチして、初めてネームクリアするかしないかを考えるわけですよ。自社の紹介文と、買収動機はきちんと書いた上でファーストコンタクトを取ることは、最低限の礼儀かな?とも思いますしね。

簡単な文章でもいいので、本気度と熱意が伝わるメッセージを売り手に送りましょう!

 

③買収後のイメージも記載しライバルに差をつけろ!

①②に関しては、ネームクリアの基本なわけですが、打診している先は、あなただけではないですよ。興味を持っている複数の会社がネームクリアの打診をしています。

特に優良案件ともなれば30件近く打診を受けることも珍しくないんですね。

その競争を勝ち抜くには!?買収後のイメージもメッセージで送ることです!

M&A後の将来像やシナジー効果のイメージを伝えることは、売り手にとって、ある意味「希望」にも見えるんですね。

売り手の心情としては、

 

「本当にうちの会社は本当に売れるのだろうか?」

「いいか手先が見つかり、従業員や取引先を大切にしてくれるのだろうか?」

「譲渡代金はちゃんと支払ってもらえるだろうか?」

 

 

など、ネガティブな要素でイッパイなことが多く、不安だらけで案件登録しているケースってよくあるわけでして。その不安要素や心配事を払しょくできるような買収後のイメージを伝えることは、売り手にかなりササルわけなんですね。

特に、シナジー効果を明確にして、M&Aによりお互いが「Win&Win」になれるような提案なども伝えることができればなおさらヒビキますよね!

相手の気持ちに立った上でのメッセージを送ることを心がけてください。

 

④新着案件を見逃すな!案件登録されたら即打診!

どんな場面においても1番初めの事は印象に残りやすいものなんですね。

ネームクリアの打診についても例外ではないです。

売り手は買収検討している複数の買い手候補と交渉していることが一般的で、売り手側としては回数を重ねるごとに、交渉した先の印象が薄れてきます。ですが、1番目にネームクリアの打診をした買い手候補についてはよく覚えていますし、他の買い手候補との比較の基準にもなります。

また、1番手にトップ面談まで実施することによって、売り手に対し買い手の本気度も示すことができるのです。

常日頃から新着案件はチェックしておき、「これは!」と感じたら迷わずアプローチですよ!

 

⑤本気度と熱意で売り手の心をつかめ!

①~④までの作業が必要である理由と言うのは、売り手に対しての本気度と熱意を示すためなんですね。

売り手にとっては、今まで一生懸命に経営してきた会社や事業を手放すってかなり勇気のいることなんですね。ただただ売却出来ればいいという訳ではなく、会社や事業だけではなく従業員や取引先など、大勢の関係者を大切に引き継いでくれるか方と交渉をしたいものなんです。

なので、売り手の信頼を勝ち取るためにこれらの作業が必要というわけなんですね。ネームクリアをもらったとしても、今度は買収検討とM&A交渉が始まります。競合している買い手候補に競り勝つためには、結構なエネルギーを消耗しますよ。

M&Aを成約させるってやっぱり大変ですね!ですが、ネームクリアだけではなく今後の交渉においても、ライバルに差をつけるためには必要な作業です!

大変かもしれませんが、頑張りましょう!

 

今回記事の「まとめ」の「マトメ」

以上、「M&Aにおけるネームクリアとは?」をご紹介しました。

①~⑤までやってダメだったらどうしましょうか?

答えは簡単!

いさぎよく諦めましょう!

こればっかりはご縁です。新着案件に期待しましょう!

ただ、ダメだったとしても決して無駄な努力とは思わないでいただきたいんですね。確実にネームクリアをもらう技術は磨かれているはずです。来るべき「ご縁のある案件」に備えて、最後まであきらめずに頑張ってください!

今回のワンポイントアドバイスでは、「【買い手必見!】ネームクリア必勝法!」について解説しましたが、今後もM&A実務に即したネタをご紹介しますので、これからもご覧いただけますと幸いです。

また、この記事が良かったなと感じたら、SNSでのご紹介をお願いします!

最後に、みなさまのM&Aが、安全にご成約されることを心よりお祈り申し上げます。

また次の記事でお会いしましょう!

それでは!

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