株式会社BATAVIAが運営する「デイサービス 花さぶろう」は、大阪府東大阪市にある介護サービス。小規模ながら、地域密着型で市民に寄り添うサービスとして、10年以上に渡り愛されてきました。10年後の企業生存率はわずか6.3%と言われる中、経営手腕を発揮して介護サービスを存続・成長させてきた代表の太田様(匿名)に、本事業を始めたきっかけから今回のM&Aに至る経緯まで、詳しくお伺いしてまいりました。
譲渡企業 | |
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社名 | 株式会社BATAVIA |
業種 | 介護サービス |
拠点 | 大阪府 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受企業 | |
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区分 | 法人 |
業種 | スポーツ・レジャー施設運営など |
拠点 | 近畿エリア |
譲受理由 | 新規エリアへの進出 |
「シャッターを閉めるような終わり方は悲しい」体力的な衰えから始めた後継者探し
貴金属、雑貨小売を最初の事業としてスタートされた株式会社BATAVIAが、第2の柱として介護サービスを立ち上げたのは、今から12年ほど前。太田様のお身内が要介護となったのがきっかけで、自身で必要性を感じたことから事業を始められたのだそうです。
それから、想像力を活かした創意工夫で順調に顧客を増やしてきた太田様でしたが、3〜4年くらい前より体力的な衰えを感じ始めたそうで、後継者探しの必要性を漠然と考えるようになりました。
そして迎えた昨年の夏。もともと暑さには弱かったものの、この年の夏は「心が折れるほどしんどかった」と話す太田様。次の夏を乗り越えられる自信が持てなくなった太田様は、本格的に後継者探しに乗り出しました。
「もしも、今自分が動けなくなってしまったら廃業するしかありません。でも、ここで働いてくれている人もおりますし、サービスを利用してくださっているお客様もおります。自分の都合で、突然シャッターを閉めることになるのは申し訳ないと思いましたし、これまで苦労しながら続けてきた事業を、そんな形で終わらせるのは悲しいとも思ったんです。」
そう語る太田様は、ご自身で事業を残す手段について調べているうちにM&Aという手法に辿り着いたのだそう。その後、商工会議所を通じてバトンズを紹介されたことで、具体的な後継者探しへと進まれていきます。
問い合わせ13件。メール文から滲み出る人柄と、感性に合うお相手
そんな太田様にとって、人生初となるM&A。最初は勝手が分からず戸惑いもあったそうですが、バトンズ担当者に問い合わせをしながら、最後までご自身でご成約まで進まれました。
「登録した後に、何をどうしていいのか分からず最初は戸惑いました。すぐに反響があったのですが、自分の勝手で応えていいものなのかとか、お返事をする際の注意点や必要事項などが全く分からなくて。
初めのうちは、何度もバトンズの担当に電話して、その度に丁寧にアドバイスをもらっていました。実際に候補者とのやり取りがスタートしてからは話がスムーズに進んだので、特に大変だと感じることはありませんでした。」
太田様への問い合わせは全部で13〜14件ほどに上ったそうで、その中からご自身の感性に合う人を、メール文やコミュニケーションを通じて絞られていったそうです。
「なるべく多くの候補者に会うようにバトンズ担当者さんからアドバイスをいただいたんですが、結局は5〜6件に絞り、お会いしたのは買い手様おひとりでした。選定基準は、メールの文面と、そこから受けた印象ですかね。
もしも自分が相手の立場やったら、まだ会ったこともない相手に初回のメールでこんな言い方はしないやろうとか、ここまで介入してこーへんやろうとか。そういう、人と人とのコミュニケーションの基本の“き”の部分が、自分の感性と合う人かどうかを重視して絞り込みました。」
そうして太田様が最終的に選ばれたのは、今回ご成約された田島様(仮名)。とくに、話のテンポが合うところに相性の良さを感じられたそうです。
「田島さんのメールは本当に感じが良くて、実際にお会いしてみたいと思える人でした。早速お電話したところ、田島さんは休日にもかかわらず、すぐに会いに来てくださいましてね。話を進めるテンポも早くて、私自身も早く決めたいと思っていたので、その辺りにも相性の良さを感じました。
もちろん、不安もありました。『どこまでホンマのことを言ってるんやろう』とか、『騙されてるんやないやろうか』と考えてしまう瞬間もあったのですが、それはきっと田島さんも同じだったんじゃないかと思います。
とはいえ、そんな疑いをし出したらキリがないですし、もし御破算になっても次を探せばいいと思って割り切るようにして、流れるままに進もうと思いました。」
そう笑って話す太田様は、ご自身の感性に合う買い手様と早々に巡り会えたことに安堵しておられる様子でした。
引き継ぎは丁寧に、今後はもっと自分の時間を作ってゆっくりしたい
こうして、最初のメッセージからトントン拍子に進んでいったお二人の交渉は、やり取りを始めてからわずか1ヶ月というスピード感で調印に至ることになりました。一般的には、デューデリジェンスの実施等の理由から、基本合意を交わしてから数ヶ月ほど期間をもって本契約に至るケースが多いM&A。太田様は、ご自身の直感と田島様の人間性を信じ、早期調印の決断をされました。
「『基本合意から2ヶ月あけるのは、売り手保護の観点が強い』というふうに聞いたんですが、田島さんの人柄に誠実なものを感じ、お互いの気持ちが乗っている間に契約を交わした方がいいと思いました。ずるずると色んな人に会ったとしても、これ以上に良い人が見つかる気もしなかったですし。
結果的に、私は非常にラッキーだったと思います。たとえ問い合わせが100件あっても、誰とも気持ちが通じないというケースもあると思うので。」
そんな理想的な後継者に出会われた太田様に、最後にM&Aをやってみての感想と今後の展望についてお伺いしました。
「初めは、自分の会社を買ってくれるようなところなんてあるんやろうかと、良いお相手が現れるかどうか不安でした。ですが、試しにバトンズさんを使ってみたら13~14件もの反響がきたり、並行して後継者探しをお願いしていた銀行さんからも是非譲って欲しいという方をご紹介されたりして。
これにはとても驚くと同時に、自分では価値がないと思っていても、誰かにとっては魅力的だということも往々にしてあるんだと実感しました。
たとえば、私から見れば小さい会社ですが、経営の多角化に踏み出そうとしている田島さんの会社から見れば、『新規事業の第一歩として始めるには、ちょうど良い手頃な規模』だったんじゃないでしょうかね。ですから、灯台下暗しといいますか、自分の思い込みだけで自分の会社の価値を決めるのはもったいないということに気付かされました。
私はじっとしていられない性分なので、今後は何かするとは思うものの、新しい事業を始めるとかいう予定はないですね。これまでは毎日のように働いてきたので、これからはもっと自分のための時間を作って、ゆっくりしたいと思います。
学びたいことがあって大学に入りなおしましたが、あまりの多忙に休学中です。それも再開したい。引き継ぎがまだ残っているので、それを丁寧に進めながら自分の時間を有効に使いたいと思います。」
良いお相手に引き継ぐことができ、長年の重責から解放された太田様。ゆっくりと自分の時間を過ごされるそうです。
太田様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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