教育関連の事業会社を複数展開する「株式会社クオンテリア」創業者の大内様が、バトンズを通じて都内の「学習塾」を買収されました。すでに複数回のM&Aを経験されており、教育ビジネスを軸にご活躍されている大内様。今回の学習塾を引き継ぐに至った背景や事業展望について、お話を伺いしました。
譲渡企業 | |
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スキーム | 事業譲渡 |
業種 | 学習塾 |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受企業 | |
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社名 | 株式会社クオンテリア |
業種 | 学習塾 |
拠点 | 埼玉県 |
譲受理由 | 新規エリアへの進出 |
訪れたM&Aの機会に「決断するまで30分かからなかった」
もともと予備校関係やコンサル系の業務に取り組まれていた大内様は、教育事業で独立・起業。今では、大学・高校受験や資格試験のサポート、学内予備校の運営、教育系公共事業の受託、専門職大学院で講師を勤めるなど、幅広い形で教育ビジネスに関わっておられます。
過去にM&Aをご経験されている大内様は、10年以上前からM&Aの機会を伺っており、その中で出会ったのが今回の学習塾でした。M&A案件を探す際には「規模」「立地」「資産」「条件」「人柄」の5つを重視しながら事業を検討されているとのこと。
「まずは、自分で回せる規模・立地にあるかどうかという点が重要です。それから、どれだけの資産と価値が紐づいているのか。あと当たり前ですが、M&Aを進めていく上での条件として何よりも大事なのは、前オーナーの人柄ですかね。5フォースを分析し、魅力的なビジネスデザインが描けるかも大切なファクターです。」
大内様は、譲渡塾の前オーナー様の名前をもともと認知されていたそうで、面談当時のことを振り返っていただくと
「業界では有名な方で、名前は存じ上げていました。今回のM&Aは決断するまで30分もかからなかったのですが、『知っている方だった』というのが大きかったかもしれません。私が名前を存じ上げている旨をお伝えすると、先方は驚かれていましたが(笑)。すごく爽やかで、誠実な方でした。」とお話いただきました。
「塾に大小は関係ない」大事なことは何かに尖ること
今回、買収を決断された背景には「学習塾のコンセプト」に惚れ込んだことが理由の一つにあったと話す大内様。
「私は、教育の機会は平等にあるべきだと思っています。色んな人がさまざまなことにチャレンジしていいと思っているので、もっと自由に選択できるようにサポートをしていくことは、教育に携わる中で大事にしています。」
今回買収された学習塾は、東京都内に構える個人塾。大手学習塾が点在する中で、個人塾はどう差別化していけばいいのか、事業戦略についてお伺いすると
「何かに尖ることが大事ではないでしょうか。小さくてもできることは沢山あると思いますし、逆に『大きくなければできないことって何があるのか?』とも思います。
うちは、有名予備校の講師を集められるという点と、室内の「塾らしくない造作」、自由に使える自習室に強みを持っています。造作は一級建築士試験に合格した卒業生がDIYで作ってくれ、『隠れ家』と呼んで親しまれています。
生徒それぞれにカードキーを貸与し、好きな時間に自由に勉強できるようになっています。『いつでも自由に出入りできるもう一つの自分の部屋』として、楽しく利用してもらっています。」とのこと。
また、本塾には「起業活動、経営活動をしている人から指導を受けたい」と、起業願望がある高校生・大学生が入塾に訪れることもあるのだそう。
塾の概念に囚われない経営を行う学習塾には、生徒の居場所や先生が持つ経験など、「受験のための勉強を学ぶ」だけではない、新たな価値に魅力を感じた利用者から、ネットや口コミで広がっているそうです。
教育を軸に「誰もやっていないことにチャレンジしていきたい」
「誰もやっていないことにチャレンジしていきたい」と話す大内様は、次なるビジョンとして「音楽高校・大学」向けの塾を構想しておられます。
「私は塾だけでなく『クラシック音楽事務所』も運営しているので、『音楽高校・大学』の受験サポートもできるのではないかと思うようになりました。音大の受験生は、共通テストに加えて技能練習や楽典の対策も行う必要があります。
そのため、生徒さんは『塾で共通テストの勉強をして、音楽教室で技能対策,専門家に楽典指導を受ける』ということをしています。私が知っている限り、一つの場所で音大対策を網羅している塾、というのは存在していないのが現状です。だからこそ、それにチャレンジしてみたいと思っています。」
どんな分野でも必要不可欠な『教育』というジャンル。今後も、さまざまなカテゴリで教育を軸にビジネス展開をしていきたいと話す大内様に、最後にM&Aというジャンルの課題と良さについてもお伺いさせていただきました。
「M&Aには、相場というものがあるようでない世界です。だからこそ、それを仲立ちする存在は必要だろうと思う一方で、仲介コストが高いと感じることも多々あります。私自身、仲介コストが高いばっかりに諦めた案件も過去に何度かありました。もし『仲介コストが高いために売れない』という案件があるとしたら、それは改善していくべき課題かなと思います。
また、これから初めて自分でビジネスに取り組むという方は、一から起業するよりもFCやM&Aでスタートする方が安全だと私は思います。
起業を志す方々の中には、目算が甘いと感じられる方が多くいらっしゃいます。塾でいうと、例えば集客にかかるコストとか(広告だけではない様々なものがあります)、近隣との友好関係とか。上下のテナントが好意的でない方だというだけで、立ち行かなくなってしまうことだってあるのがビジネスです。
『やりたい』が先行しすぎてしまうと、冷静な分析ができなくなってしまうので『自分でビジネスをやることは、そんなに甘い世界ではない』ということは、お伝えしておきます。
M&Aは、リスク範囲がある程度見える化されている状態で事業を引き継ぐことができる手法です。前オーナーが課題を浮き彫りにしてくれているわけですから。まずは、M&Aで引き継ぐところから始めてみるのがいいのではないでしょうか。」
教育を軸に、独自の道を歩み続ける大内様は、M&Aを積極的に検討しながら、新たなビジネス構想の実現に向けて準備を進めておられました。
大内様と株式会社クオンテリアの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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