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親会社とは?他社を子会社化するメリット・デメリットを解説!

2023年01月24日

ビジネスをしていると「親会社」「子会社」「関連会社」といったワードを聞くことがあるでしょう。特に、M&Aで買収を検討している場合は、子会社を持つことのメリットやデメリットも把握しておきたいものです。

そこで今回は、親会社に焦点を当てながら、他社を子会社化することで得られるメリットや注意点、関連会社やグループ会社との関係性について解説していきます。

 

 

親会社の定義とは?

親会社とは、2社以上の支配関係においてコントロールする側に立っている会社のことを指します。会社法では「株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。」(会社法2条4号)と定義されています。

子会社の議決権の過半数を有していることなど基準がありますが、実質的な経営を握っていて、他の会社をコントロールしている状況である場合は、親会社であるといえるでしょう。

 

親会社と子会社、関連会社、グループ会社の関係

ここからは、親会社・子会社の関係性についてさらに詳しく見ていきます。また、「関連会社」や「グループ会社」の位置づけについても、子会社との違いを踏まえながら解説していきます。

50%以上株式を保有していれば「子会社」

まずは、親会社・子会社の関係性について整理します。

親会社とは、子会社にあたる企業の50%以上の株式を保持している会社を指します。50%以上の株式を持つことで、株主総会における決定を親会社の意向次第でコントロールできるためです。

ただし、所有株式が50%に満たない場合でも、親会社になれるケースがあります。たとえば、親会社の役員が、子会社の取締役会の過半数を占めている場合は、親会社側が子会社の経営をコントロールできることから、親会社とみなされます。実質の支配関係の有無が、親会社・子会社の関係を規定するのです。

子会社は、主に完全子会社・連結子会社・非連結子会社という3つの種類が存在しています。それぞれの特徴については、以下の記事で詳しく解説しているのでご参照ください。

 

20%以上議決権を保有していれば「関連会社」

関連会社は、経営をコントロールされている子会社とは異なり、あくまで親会社から経営方針に影響を受けている関係にとどまる会社のことを指します。会社法では「会社が他の会社等の財務及び事業の方針の決定に対して重要な影響を与えることができる場合における当該他の会社等(子会社を除く)をいう。」(会社計算規則第2条3-18)と定義付けられています。

この「重要な影響を与えることができる」という部分は、原則、親会社が20%以上の議決権を持っているという基準で判断します。しかし20%に満たなくても、要件次第では関連会社と判断されます。主に経営方針の決定において、親会社から影響を受けている会社であれば、関係会社であると言えます。

全体の関係性をあらわすのが「グループ会社」

グループ会社は、法律上の明確な定義を持たない言葉です。そのため企業によって含まれる範囲や意味合いは異なりますが、主に、親会社・子会社・関連会社といった、グループ経営上のすべての会社をまとめて指す言葉です。「関連会社」と同じ意味で使われるケースがほとんどであると考えていいでしょう。

経営上のつながりを持っていれば、グループ会社となります。

 

 

親会社になるメリット・デメリット

親会社・子会社という関係性について原則の基準を整理しましたが、そもそもなぜ企業は親会社・子会社の関係を作るのでしょうか。ここでは、親会社になることのメリットとデメリットを紹介します。

 

親会社になるメリット

まずはメリットです。親会社・子会社の関係を結ぶことには、経営上の利点や、税制上の利点などがあり、さまざまなメリットを得ることができるでしょう。

 

子会社の人材や情報を有効活用できる

親会社は子会社を持つことで、子会社の経営資源を活用できるようになります。また、子会社の人材やノウハウを、経営に活かすことも可能になります。子会社を作って人材のレベルを高めることができれば、社員同士が刺激しあって競争力やモチベーションが高まるという効果が期待できます。優秀な人材・ノウハウを持つ会社を子会社化すれば、親会社は経営を一気に推し進めることも可能になるでしょう。

しかし、どの会社を買収すれば自社にプラスに働くのかを見極めるのは難しいことです。そこで、子会社にするべき企業の見極めはプロの力を借りるのも1つの方法です。

 

事業拡大や多角化を狙える

同業種の企業を子会社化する例もありますが、反対に、異業種の企業を子会社化することもあります。異業種の子会社を持つことで、親会社は事業の多角化を狙うことができます。

事業を多角化すると、変化の激しいこの時代に経営基盤を複数持てるようになり、長期的に見て経営を安定させることにつながります。また、新しい風土や文化を取り入れることができれば、社内の雰囲気が変わり、モチベーションの向上が期待できます。

 

法人事業税に軽減税率が適用される

税金面でもメリットがあります。親会社と子会社という関係になると、利益を分散できるようになります。そのため、事業の所得に課される税額を意図的に減らすことができます。

 

会社間の利益移動が節税になる

赤字が発生した場合、税制上、欠損金として翌年度以降に繰り越すことが可能です。この欠損金をうまく利用し、親会社・子会社間で金額を移動させると、節税効果を得ることができます。

また新会社を設立し、その新会社に一部の事業を譲渡して子会社化すれば、設立1期目、2期目は、税金上のメリットが享受できる可能性があります。

 

親会社になるデメリット

親会社になることにはデメリットもあります。以下のデメリットも踏まえた上で検討しましょう。

 

ランニングコストが大きくなる

親会社は子会社を持つことで、事務負担が増えます。従業員数が増加し、経営管理上の作業が増えるためです。また、仮に親子上場した場合は、監査法人に対する監査費用や内部統制のコストなど、支払いや労力がかさむことになります。

ただし、親子上場をする企業は減っています。コストの観点で負担にならないように戦略を練ることが大切です。

 

子会社の赤字補填が必要になることがある

子会社が赤字計上をした場合、親会社は連結会計上にその赤字を反映させなくてはなりません。子会社の経営が難航すると、当然親会社がマイナスの影響を受けることになります。

赤字が長く続く場合には、業績不振を理由に子会社との関係を清算するという判断も必要になります。

経営資源が分散する可能性がある

子会社化によって事業を拡大していく際、経営資源が過度に分散してしまうと、親会社にかかるマイナスの影響が大きくなってしまいます。他社を子会社化して経営資源を分散する際には、資源分散によるデメリットを最小限に抑えつつ、子会社が生み出すメリットを最大限受け取ることが重要になります。つまり、経営資源を適切なバランスで配分できるかどうかが重要です。

子会社をどう活かせばいいのかという判断は、経験や知見がないと難しい部分も大きいので、専門家へ相談するのがおすすめです。

 

 

親会社になる2つの方法

ここからは、親会社になりたい場合の具体的な方法を紹介します。方法は、大きく分けて2つあります。

 

50%以上の株式取得

前述のように、50%の株式を取得すると親会社になることができます。株式譲渡は、M&Aの最も一般的な方法です。経営権を得るだけでなく債務も一緒に引き継ぐことになるので、子会社となる企業の経営の状態を事前にしっかり確認することが大切です。

 

事業譲渡

株式ではなく金銭を対価として事業を譲り受けるのが、事業譲渡です。この手法を用いて新しく会社を作り、その新会社に事業譲渡をしてもらうことで、子会社を作ることができます。

事業譲渡の場合は、一部事業を買収するかたちになるので、採算のとれる事業だけをピックアップして子会社に入れ込むことが可能です。

たとえば一例として、セブンイレブンを運営しているセブン&アイホールディングスは、イトーヨーカド-や赤ちゃん本舗、ロフトなどを子会社に持っています。*1

また大手通信のNTTドコモ*2は、タワーレコードを子会社に持っています。

*1 グループ会社一覧(50音一覧) | グループ | セブン&アイ・ホールディングス
*2 新規事業型子会社 | 企業情報 | NTTドコモ

 

まとめ

親会社になることで、親会社は子会社の人材やノウハウを活用し、経営基盤を強化することができます。自社のニーズや戦略に沿った企業を子会社化するために、M&Aは有用な手段となるでしょう。

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