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「ノンネームシート」と「企業概要書」とは?M&Aアドバイザーが詳しく解説

2023年01月17日

買い手が企業買収を検討する際、M&Aアドバイザーからノンネームシートや企業概要書を提示されたことはありませんか?

また、売り手側でも自分で作成した、またはM&Aアドバイザーに作成を依頼したことはありませんか?

M&Aビギナーの場合、ノンネームシートと企業概要書をまだ見たことのない方や、両者の違いが分からないという方は多いはずです。

M&Aにおいて、ノンネームシートと企業概要書は必須資料であり、これをしっかり作成したか否かは、今後の交渉と成約に大きな影響を与えるといっても過言ではない重要な資料です。

今回は、ノンネームシートと企業概要書についての、

・役割
・記載内容
・作成する上での注意点

 

を中心に、「M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?」というテーマで解説していきます。

 


【監修者プロフィール】


合同会社アジュール総合研究所 / 代表社員
スモールM&Aアドバイザー/ M&A支援機関登録専門家
伊藤 圭一(いとう けいいち)

「小規模企業と個人事業の事業承継を助けたい!」そんな想いから、2019年7月に小規模事業専門のM&Aアドバイザー「スモールM&Aアドバイザー・合同会社アジュール総合研究所」を設立。
合同会社アジュール総合研究所」の紹介ページ

【必見!】巻末に、伊藤氏よりM&A実務に即したワンポイントアドバイスや注意点も掲載しています!是非、最後までご刮目下さい!

 

 

 

ノンネームシートの役割

ノンネームシートとは、売り手企業の情報を、特定されない範囲で簡易的にまとめた資料のことです。(ティーザーとも呼ばれます。)M&Aにおいては、売り手が、買い手候補を募集する際に使用します。

M&Aは秘匿性が高く、情報開示する範囲は限定的にし、情報漏洩は絶対に避けなければなりません。しかし、企業(または事業)を売却する際、買い手に何かしらの情報を開示しなければ、買い手候補は表れません。

 

そのために作成するのが、ノンネームシートです。

掲載される内容の詳細は後述しますが、事業内容、事業規模、所在地、売却理由・希望条件などを、あえて大まかにまとめ、概要はつかめるものの、会社を特定するには至らない程度の内容で作成されます。

バトンズなどのM&Aマッチングサイトで売り案件を検索すると、様々な売り案件情報が閲覧できますが、あの情報がノンネームシートです。ペーパーベースだと、一般的にA4用紙1~2枚程度で簡易的に作成されます。

売り手はノンネームシートを利用し、会社を特定されずに多くの買い手候補を募集する事が可能となり、買い手は数あるノンネームシートを閲覧し、買収を検討したい売り案件を絞り込み、売り手にアプローチをかける事が可能となります。

逆に言うと、ノンネームシートを作成し、売却情報を開示しなければ、売り手も買い手もお互いの存在すら気づく事が出来ません。そのため、ノンネームシートは買い手募集を開始するにあたって、非常に重要な資料であると言えるのです。

 

 

ノンネームシートに記載する内容は?

ノンネームシートに記載する内容は一般的に、以下の事項となります。

・事業内容

・所在地

・譲渡希望金額

・譲渡理由

・希望売却時期

・希望条件

・財務情報

・セールスポイント

・特記事項 など

※記載する情報については、会社を特定されないよう、あえて大まかな情報のみを記載します

 

例として、以下のようになります。

例)ゲームアプリ制作会社

  • 事業内容    :ゲームアプリ制作・運営
  • 所在地     :東京都(23区内)
  • 譲渡形態    :株式譲渡
  • 譲渡希望金額  :1億円
  • 譲渡理由    :後継者不足
  • 希望売却時期  :3か月以内
  • 希望条件    :連帯保証の解除
  • 財務情報    :売上高5~10億

営業利益1,000~5,000万円
役員報酬1,000~3,000万円
借入金 1,000~5,000万円
純資産 3,000~5,000万円

  • セールスポイント:大手ゲームプラットフォームに2タイトルリリース。3D制作に強く、ゲーム以外の制作も可。
  • 特記事項    :買い手希望により、売却後も代表者の事業参画は可。待遇などは応相談。

 

上記の通り、会社は特定されないまでも、セールスポイントや特記事項など必要な情報は記載されるので、閲覧した買い手候補は交渉打診の判断をするのに充分な情報が得ることができるのです。

 

 

ノンネームシートを作成する上での注意点

ノンネームシートを作成する上での注意点としては、必要以上に詳細を掲載しないことです。なぜならば、意外なところから企業が特定されてしまう可能性があるからです。

例えば、

例)飲食店

・事業内容    :飲食店 ラーメン屋(とんこつラーメン)

・所在地     :○○市○○区

・セールスポイント:○○線○○駅より徒歩1分。地元でも有名なラーメン屋でいつも行列ができる。

・特記事項    :座席数100席以上あり

※○○に正確な文字が入っていると仮定

など、極端な例ですが、匿名ではあるものの、上記のような記載内容だとかなり絞り込まれるので、間違いなく特定されてしまいます。かといって、希望金額や条件、セールスポイント、特記事項など、伝えるべきところはしっかりと買い手に伝えなければなりません。

特定されない掲載方法が難しいようでしたら、情報の開示はなるべく避け、交渉打診を受けた後に情報を小出しにしていくといいでしょう。

ノンネームシートの記載内容は、慣れていないと情報量の匙加減が難しいので、慎重に情報開示を行うようにしましょう

 

 

企業概要書の役割

企業概要書とは、売り手企業の実名、株主・役員情報、ビジネスモデル、過去の財務実績をもとにした財務情報、具体的な希望条件を記載し、買い手候補がM&Aを本格的に検討するに足る情報が集約された資料です。
(IM(インフォメーションメモランダム)とも呼ばれます。)

かなり秘匿性の高い情報を開示する事になるため、売り手、買い手両者ともに企業概要書の取り扱いには充分に注意する必要があります。なので、企業概要書を開示する前には、必ず売り手と買い手との間で秘密保持契約書を締結します。

企業概要書を閲覧することで、買い手候補は本格的にM&Aを検討する事が可能となり、売り手も、買い手候補とのM&A交渉が有利に働くよう企業概要書を活用し、自社の状況説明や強みをアピールする事が出来ます。

そのため、企業概要書の内容は正確性が求められるのです。なぜならば、企業概要書の内容を前提として、今後の交渉が進行されるからです。

 

一般的には、M&Aアドバイザーが売り手側より依頼を受けて作成することが多く、作成にはかなり専門的な知識が必要になる場合があります。

M&Aアドバイザーへ企業概要書の作成を依頼する場合、売り手は、速やかに必要資料を提供し、正確な情報を伝えなければなりません。この部分が疎かになると、後の交渉が不利となる可能性が出てきます。

また、開示された企業概要書の内容が実態とあまりにも乖離していると、交渉打ち切りや信用失墜を招いてしまうので注意が必要です。

企業概要書作成にはどういった資料が必要で、どのような情報を提供すべきかは、M&Aアドバイザーの指示に従うようにしましょう。

 

企業概要書に記載する内容は?

企業概要書に記載する内容は一般的に以下の内容となります。

・企業情報:社名、代表者名、本店所在地・支店情報、創立年月日、決算期 等

・株主情報:現株主情報、株主変遷情報、株券発行・不発行、譲渡制限有・無 等

・役員情報:現役員情報、役員変遷情報、会社機関情報 等

・事業内容:事業詳細、商流、取引先情報 等

・PR情報  :商品・サービス、3C分析、4P分析、SWOT情報 等

・財務内容:直近3期分の貸借対照表・損益計算書・販管費の推移 進行期の試算表 等

 

当然、前述したノンネームシートとは異なりすべて実名、実数で記載し、買い手がM&Aを検討するに足る正確な情報を開示します。

掲載内容の例を挙げてみましたが、業種によってプラスアルファの情報も必要です。

例えば、

・IT企業 :エンジニアのスキルシート

・学習塾 :講師数、生徒数

・飲食店 :FLR比率

・調剤薬局:処方箋枚数、薬剤師の人数

 

など、業界特有の情報も開示すると買い手候補へのアピールとなるのです。

要は、買い手候補がM&Aを検討する事において、必要不可欠な情報を企業概要書に盛り込み、M&Aアドバイザーに作成してもらえば間違いありません。

業種別の記載すべき情報については、M&Aアドバイザーが熟知しているので、指示に従い必要な資料の提供や情報を正確に共有するようにしましょう。

 

 

 

企業概要書を作成する上での注意点

企業概要書は、正確な情報を開示するだけではなく、買収を検討する上で重要な情報の記載漏れがないようにする必要があります。

特に、売掛金回収不能や簿外負債、係争中であるなどのマイナス情報も記載しなければなりません。

交渉中に明るみに出なくても、デューデリジェンス(買収監査)で判明し、交渉破断(ディールブレイク)となる恐れがあります。

それだけならまだしも、最終譲渡契約の締結後に発覚した場合などは、損害賠償請求を受ける可能性もあるので、情報開示漏れには細心の注意が必要となります。 

勇気をもってマイナス要因も包み隠さず必ず情報開示して下さい。マイナス要因も正直に開示することで、買い手候補より好印象を持たれる場合もあり、買収後の善後策を講じてもらえる事もあります。

会社のありのままをM&Aアドバイザーに伝え、会社の実態を忠実に現した企業概要書を作成してもらうことが、M&Aを円滑に進める秘訣なのです。

 

 

まとめ

以上、「M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?」を、ご説明しました。

まとめますと、

◆ノンネームシートにおける

①役割

ノンネームシートとは、売り手企業の情報を、特定されない範囲で簡易的にまとめた資料のこと。

売り手はこれを利用し、会社を特定されずに多くの買い手候補を募集する事が可能となり、買い手は数あるノンネームシートを閲覧し、買収を検討したい売り案件を絞り込み、売り手にアプローチをかける事が可能となる。

 

②記載内容

記載する情報については、会社を特定されないよう、あえて大まかな情報のみを記載。

しかし、セールスポイントや特記事項など必要な情報は記載し、閲覧した買い手候補が交渉打診の判断をするのに充分な情報は開示する。

 

③作成する上での注意点

必要以上の詳細情報は掲載せず、売り手企業を特定されないよう注意すること。

 

◆企業概要書における

①役割

企業概要書とは、売り手企業の実名、株主・役員情報、ビジネスモデル、過去の財務実績をもとにした財務情報、具体的な希望条件を記載し、買い手候補がM&Aを本格的に検討するに足る情報が集約された資料のこと。

この内容を前提として、今後の交渉が進行されるため、内容は正確性が求められる。

 

②記載内容

ノンネームシートとは異なりすべて実名、実数で記載し、買い手候補がM&Aを本格的に検討するに足る、必要不可欠で正確な情報を開示する必要がある。

 

③作成する上での注意点

正確な情報を開示するだけではなく、買収を検討する上で重要な情報の記載漏れがないようにする必要がある。

特に、売掛金回収不能や簿外負債、係争中であるなどのマイナス情報も記載し、交渉破断(ディールブレイク)や、損害賠償請求を受けることを避けなければならず、情報開示漏れには細心の注意が必要。

 

となります。

ノンネームシートと企業概要書がM&A交渉を円滑に進めるだけではなく、無事成約させるための重要な資料であることがご理解いただけたことでしょう。

ノンネームシートと企業概要書の活用方法を端的に言うと、

  • ノンネームシートにより買い手候補を募集
  • 企業概要書により詳細情報を開示し、具体的な交渉を行う。

 

という流れとなるわけです。

ノンネームシートと企業概要書の内容が充実しているか否かが、M&Aの成否を分けると言っても過言ではありません。

ご自分で作成する事が難しいと感じたら、M&Aアドバイザーに相談し、ノンネームシートと企業概要書を作成してもらい、M&A成約まで導いてもらうことをお奨めします。

 

 

 

「合同会社アジュール総合研究所」伊藤氏からのワンポイントアドバイス!

 

こんにちは!スモールM&Aアドバイザー「合同会社アジュール総合研究所」 代表の伊藤です!

みなさんこんにちは!

この記事を監修させて頂きました、スモールM&Aアドバイザー「合同会社アジュール総合研究所」 代表の伊藤と申します。

ここからは、スモールM&A専門家であるわたくし伊藤が、M&A実務に即した、成約に大きく前進するためのアドバイスと注意点などを、なるべくわかりやすく(そして、くだけた感じで?)スモールM&Aの現場の経験をもとに解説していますので、是非、ご刮目下さい!

 


 

はいっ!

今回は「M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?」について解説しましたが、どうでしょう?

おそらく、「あー!アレがノンネームシートのことね!」

と、思った方はいませんか?

そうです。アレです。

文中でもお話しましたが、バトンズなどのM&Aマッチングサイトの売り案件情報、そうアレがノンネームシートのことです!

案件情報をよく閲覧している買い手さんは、ご理解が早かったんじゃないですかね?

また、買い手はいろいろな案件にアプローチしていることから、企業概要書を見た事がある方も沢山いるでしょうね。

そうです。
M&Aはノンネームシートがないと何も始まらないし、企業概要書がないと深掘りした検討できないんです。

なので、これらの資料と言うのは、テーマにもあるとおり「M&Aを成功させる重要資料!」なわけです。

会社のノンネームシート・概要書って考えると難しく感じるかも知れないので、なぜふたつとも重要資料なのかを、実生活に即して分かりやすく話してみますね。

 

みなさんはフリマアプリで物品の売買をしたことはないですか?

何でもいいですよ。本でも服でもゲーム機でも。

あれって当然のことながら、出品しなければ売り買いできませんよね?
そして、詳しい情報を書いてないと売れないまたは、値引きされちゃいますよね。

本当に雑にお話するとこれと全く同じ話なんですよ。
(まあ、フリマアプリの場合は最初から詳しい情報は開示しなければならないわけですが…)

M&Aで言うと、まずはノンネームシートで買い手さんに売りたいという事を認識してもらい、企業概要書で自社の実態をしっかり見てもらって、具体的な検討をしてもらうというわけなんですね。

ここで重要なのが、フリマアプリで置き換えた場合、その出品しているものを、いくらで売りたくて、当初いくらで購入して、使い始めてからどのくらいの年数が経って、何がお得か? キズや汚れはこういった部分があってとか、詳しく紹介しないと売れないですよね?

売れてもディスカウント交渉されるということでして。

この点、M&Aも一緒で、内容がよく分からないものに買い手はアプローチして来ないし、金額だって安くないので、検討すらしてくれないんですね。

考え方として、これと全く一緒なわけですよ。
(あくまで考え方ですよ。くれぐれも!)

そう言った事もあり、私自身は、会社や事業を売りたいというお客様から事業承継のご相談を受けた際は、ノンネームシートと企業概要書の作成にはかなり力を入れて、
「どうすれば買い手候補が多く募集できるノンネームシートに仕上がるか?」
「どうすれば、買い手が買収したくなる事業概要書に仕上がるか?」
を、強く意識しながら作成しているわけですわ。

特にノンネームシートは多くの買い手の目にとまるよう、キャッチ―に作成する必要があるんですね。なぜならば、まずはお店にお客さんが来店しないと、何も始まらないからですよ。

会社や事業の売却をM&Aアドバイザーに依頼せず、ご自身で成約したいと考えている方には、ノンネームシートの意義や作成方法はおさえて頂きたいところですね。

 

企業概要書はというと...

なかなかご自身で作成するのは難しいかな...
(【注意!】あくまで個人的な意見です。かなり長くなってしまうので、企業概要書については機会があればまた詳しく...)

と、毎度のことながら前置きが長くなってしまいましたが、今回もワンポイントアドバイスを、お話ししましょう!

 


 

ノンネームシート作成におけるワンポイントアドバイス! 

企業概要書の作成には専門的な知識が必要となり文面も長くなるので、今回は、ノンネームシートに絞って、作成におけるワンポイントアドバイスをご紹介します!

 

【買い手が交渉したくなる!】魅力的なノンネームシートの作成方法とは!?

買い手が交渉を打診したくなる魅力的なノンネームシートの作成ポイントとは!?

①自社の財務、税務、労務、法務状況の把握・ビジネスモデルを分析

②必要資料を収集・精査

③閲覧数・お気に入り登録・交渉先数が多い同業他社のノンネームシートを研究

 

3つです。順に解説します!

 

まずは、 

①自社の財務、税務、労務、法務状況の把握・ビジネスモデルを分析です。

これは基本中の基本です。

会社や事業を売却検討する以前に、経営者として完全把握しておかなければいけない部分ですよね。これが、シレッと出てこないのであれば、経営者としての資質が疑われてしまいますよ。

ノンネームシートにおいて買い手が重点的に閲覧する項目は、財務情報です。

ざっくりした数字ですけど、初動として売却希望価額に見合っているかどうかを判断するには、この部分を見るしかないわけです。

税務、労務、法務状況について、どんな企業(または事業)も特異な論点があるはずですよね。ビジネスモデルの分析についても同様です。

この点、深堀りした分析ができていないとしたら、買い手に何も伝わりません。

特に、「事業の強味・アピールポイント」については、ノンネームシートの重要項目なので、経営者として、詳細な内容を長文でかけるぐらいでないといけないわけです。

また、これらの情報は交渉開始後、買い手から多く質問をされる部分で、デューデリジェンス(買収監査)では深部まで調査を受けることになります。

今後のM&Aプロセスのために自社(事業)状況を再度確認しておきましょうね。

 

次に、

②必要資料を収集・精査です。

①で、自社の情報を分析することを話しましたが、その根拠となる資料が必要なわけでして、ノンネームシートの作成だけでなく、企業概要書の作成、後々出てくるデューデリジェンス(買収監査)に提示を求められる必要資料を今のうちから収集・精査しておいて欲しいんですね。

ノンネームシートと企業概要書を作成するだけでも、

履歴事項全部証明書
定款
株主名簿
会社案内
組織図
財務関連資料(直近3期分+進行期の試算表)
借入金関連資料
固定資産台帳
就業規則
従業員名簿
不動産関連資料
保険関連資料
その他、各契約書

 

などなど、収集・精査する資料ってかなりあるんですね。
(なぜこれだけの資料が必要なのかは、いつかまた解説したい!)

収集するだけでも大変ですが、精査するとなると、かなり頭が痛くなりますよ(笑)

ですが、根拠となる資料と、ノンネームシートや企業概要書の内容が全く異なったものとなると、当然問題になるわけでして、これについては、ムチャクチャ大事な部分です。

なので、①と②のお話と言うのは、セットで覚えて頂きところですね。

②の方が先では?と思うでしょう?

あえてまずは①を先に解説したかと言うと、①を実施してから、②を行ってもらいたいんですね。

お気づきになるはずです。

「自分の会社の事、結構わかってないんだな」
って、ことに。

ここで、分かってないこととは、
「マイナス面だけではなく、プラス面もあるよ」
って、ことなんですよ。

答え合わせしてみて、良い面も悪い面も「可視化」されていくわけですね。

これ結構、経営者自身としても印象に残るので、トップ面談時の自社の詳細説明やアピールする場面でもシレッと自分の口から出てきてくれるんですね。

売り手にとってトップ面談は、自社を高く買ってもらうためのプレゼンテーションの場面でもあるので、自社を「見える化」しておくって、かなり重要なわけですよ。

必要資料の収集・精査は初動で一番大変な作業になりますけど、是非、気合を入れて挑んで頂きたいところですね!

 

最後に、

③閲覧数・お気に入り登録・交渉先数が多い同業他社のノンネームシートを研究です。

売り手側は、ノンネームシートを書くのが初めてという方がほとんどですよね。
書き方が分からないのは無理もないかと。

では、どう書けばいいのでしょうか?

簡単な話です。

閲覧数・お気に入り登録・交渉先数が多い同業他社のノンネームシートをマネる!
これに尽きます。

実はノンネームシートは買い手だけではなく、売り手も閲覧することができるんですね。
(M&Aマッチングサイトによっては、買い手登録していないと閲覧できないものもあります。)

閲覧数・お気に入り登録・交渉先数が多いノンネームシートは非常に参考になります。

交渉に多くの動きがあるノンネームシートは買い手に魅力的に映っているため、マッチング(問い合わせなどのアプローチのこと)が頻繁に入るわけです。

「マネる」と聞くと抵抗があるかもしれませんが、あくまで「テンプレート」と「ササるポイント」を掴むのです。

実際、自社(事業)の状況をしっかり把握した上で、他社のノンネームシートをマネて作成した場合、全く違う独創的なのノンネームシートが完成しているはずです。

 

特に参考にしてほしい箇所は「タイトル」「事業の強味・アピールポイント」です。

タイトルはその名の通り、案件の見出しです。見出しは、ノンネームシートの顔であり魅力的なタイトルは買い手の目に留まりやすく、中身もしっかり読んでもらえます。

これについてはベタですが、

AIDOMA(アイドマ)を意識して考えるといいですよ!

つまり、

・Attention:注目⇒「案件についての認知」

・Interest  :興味⇒「この案件、気になるなあ」

・Desire  :欲求⇒「内容を見てみたい」

・Memory :記憶⇒「内容はこんな感じか...」

・Action   :行動⇒「案件にアプローチだ!」

 

ってな感じです。タイトルは動画サイトで言えば、「サムネイル」と一緒なわけです。

そのくらいタイトルは重要で、買い手にササるワードを考えなくちゃいけないわけですね。

事業の強味・アピールポイントは、タイトルの次に買い手が閲覧する部分で、ここが明確に記載されていないと、せっかく魅力的なビジネスモデルであっても何も伝わらず、マッチングが入りません。

交渉に多くの動きがあるノンネームシートを今すぐ研究しましょう!

 

今回記事の「まとめ」の「マトメ」

以上、「M&Aを成功させる重要資料!ノンネームシートと企業概要書とは!?」をご紹介しました。

今回の記事は、M&A交渉するにあたっての、「準備」についての解説でしたね。M&Aにかかわらず、「準備」ってかなり大切なことだと思うんですね。

昨年でいうと、カタールのサッカーワールドカップがありましたよね?
日本代表は、決勝トーナメントまで進出して、日本中、熱狂の渦に包まれましたよね。

1次リーグを勝ち抜いて、そこまで行くには、それはもう相当な「準備」をしたからに他ならないわけでして。

結果ではなく、細部に目を向ければ、

監督は誰にするのか?
選手はだれにするのか?
スタッフは?
練習メニューは?
試合までのスケジュールは?

そして、各個人についても、

勝つためには?
試合に出るためには?
選手に選ばれるためには?

などなど、そこには数えきれないほどの「準備」があったわけですよね。

サッカー日本代表が世界で素晴らしい成績を残したという結果は、いわば「準備の結晶」が現実化したことに他ならないと私は思うんですよ。

私のところにご相談に来るお客様の中には、「事業承継・M&Aを自分でやろうと思ったけど、上手く行かなかったので、M&Aアドバイザーについて欲しい」という依頼が結構多いんですね。

そのお客様と話してみると、M&Aが上手く行かない理由の要因は「準備不足」に尽きるなあって感じるんですね。

事業承継・M&Aの知識がない

必要資料がそろっていない

なかには、

売り手でいえば、いくらで売却したいか?いつごろ売却したいか?

買い手でいえば、どんな企業を買収したいか?買収して何をしたいのか?予算は?

など、

基本的な考えすら、まとまっていない場合もあるんですね。M&Aを成約させるって、やっぱり難しいんですよ。

考えてみて頂きたいのですが、2つの会社が統合されるって想像つきますか?

交渉ってどうするのか?
どのくらいのお金が動くか?
シナジー効果ってなに?
必要資料はなに?
なにをどうすればいい...?

はじめてだと、全く分からないことだらけですよね?想像つかないですよね?

こういった、不明瞭な不安要素を、ひとつずつ解消するための対策、つまり「準備」をする事が重要なんですよね。

 

ノンネームシートも企業概要書も、M&Aのを成約させるための重要な「準備」なわけですが、これらの資料を作成するための「準備」もあるわけですよ。

一方、買い手側に特化した話だと、PMI(Post Merger Integration-ポスト・マージャー・インテグレーション)と言って、M&A成約後の統合作業と準備も必要になるわけで。
(PMIもかなり重要な話しなので、機会があればいつか話したい!)

そういう意味でも、今回の内容っていうのは、軽視されがちですが、非常に重要な部分を解説してきたわけです。

孫子の兵法書にもあるとおり

「事前準備が全てで、これがしっかりできているか否かで勝敗が決まる」

って、いってますよね。(言ってたと思う。言ってたんじゃないかな?多分言ってた。)

M&Aを成約するための「準備」。大切にしてください。

 

今回のワンポイントアドバイスでは、ノンネームシートの作成ポイントについてを解説しましたが、また別の機会に企業概要書についてのM&A実務に即したネタをご紹介しますので、これからもご覧いただけますと幸いです。

また、この記事が良かったなと感じたら、SNSでのご紹介をお願いします!

最後に、みなさまのM&Aが、安全にご成約されることを心よりお祈り申し上げます。

 

また次の記事でお会いしましょう!

それでは!

 


【監修者プロフィール】


合同会社アジュール総合研究所 / 代表社員
スモールM&Aアドバイザー/ M&A支援機関登録専門家
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