2019年に、10店舗以上の美容サロン本部を売却された「株式会社ESコンサルティング」代表である山口様(会社名・個人名ともに仮称)。一度は事業拡大のためにご自身で買収した美容サロンでしたが、より事業を成長させるために売却することを決意されました。今回、フランチャイズ展開やM&Aの知見も深い山口様に、美容サロンを譲渡するに到った経緯や今後の展望などについて、お話を伺いました。
譲渡企業 | |
---|---|
業態 | 美容サロン |
拠点 | 東海地方 |
譲渡理由 | 後継者不在 |
譲受企業 | |
---|---|
業種 | エステサロンなど |
拠点 | 東京都 |
譲受理由 | 新規エリアへの進出 |
よりアグレッシブな事業展開を目指し、売却を見据えた買収
今回、バトンズを通じて美容サロンの本部売却をされた山口様。10店舗以上の美容サロン本部は、もともと事業拡大のためにご自身で買収された事業でした。
「現在私が代表を務めている会社も、もともとは個人で買収した会社なんです。スモールM&Aと呼ばれるものですね。前職の知見に加え、今の会社でもフランチャイズ本部向けのコンサルを行なっていたことから、M&Aに対する抵抗はありませんでした。」
サラリーマン時代から、独立・開業の支援やコンサルティングを行っていたという山口様。フランチャイズの加盟検討者や新規事業参入希望者と多く対面してきたことで、フランチャイズ展開に対する知見は豊富に積まれていたそうです。その後、会社員時代にご自身で買収された事業の代表に就任したのが、2019年ごろ。独立を果たされた山口様は、更なる事業拡大に向けてM&Aを検討し始めました。
「個人で買収後、経営が軌道に乗ってきたので、もっとアグレッシブにチャレンジしたいと思うようになりました。そんな折に、弊社で繋がりのある企業が売りに出ているという話があって。それが、今回売却するに至った美容サロンの事業でした。
元々はM&Aアドバイザーとして買い手を探す形でサポートしていたのですが、なかなか買い手が見付からなかったことから、これは一度当社が引き継いでもいいのでは?と思い、買収したという経緯になります。」
引き継ぎを決めた背景には、山口様が個人で別の美容サロンのオーナーをしており、美容業界への知見があったことも理由のひとつでした。そして2020年末に、引き継ぎ先を探す前提で事業を買収。その後、バトンズを通じて売却へと移っていきます。
引き継ぎ後に見えてきた、想定と現実の乖離
引き継ぎを経て、2021年から本格的に美容サロンの運営に乗り出した山口様。しかし、引き継ぎ前の想定と実際の状況の乖離が徐々に見えてきます。
「自分自身がネイルサロンを複数運営しており、美容業界の知見があると自負していたので、事業を伸ばしていけるだろうと思っていました。
しかし、そう甘くはありませんでした。美容業界への深い理解が足りず、現実との乖離がありました。もちろん想定はしていたものの、実際にやってみたら非常にハードルが高かったです。」
山口様の想定に反したのは、同じ美容業界にもかかわらず、ネイルサロンと美容サロンにある構造的な違いでした。
ネイルサロンは、爪の施術をしてから数週間後に再び爪を取り替える必要があります。客単価自体は5000円ほどですが、3~4週間に一度はお客様が再訪するのでリピート率が高く、新規顧客獲得後の利益の積み上げがしやすい構造。
一方美容サロンは、一部のサブスク的なサロンを除き、基本的にはコース契約や回数券販売が主流。一回の単価が数万円に登る分、新規集客の難易度も上がります。更に、リピート客を増やすとなると数十万円ほどの契約を結ぶ必要があるため、かなりの営業力が必要になると山口様は話します。
「美容業界への知見はあれど、新規集客のノウハウや実行に強いわけではなく、店舗を増やすことはできましたが想定していた伸び幅までいかない。思うように事業を成長させられていないという壁にぶつかりました。
フランチャイズ展開をするとなると、各店舗にオーナーがいるわけで、彼らにとってはしっかり事業を成長させられる会社が本部であるべきだと思うんです。直近としてはなんとかなるかもしれませんが、中長期的に見たら当社が本部であるよりも、どこかに譲った方がいいんじゃないかと考えました。」
そのような背景があり、早めに譲渡する方向に舵を切った山口様。いざ本格的に売却検討をするにあたり、M&Aアドバイザーである「株式会社エムアンドエー・オーシャン」に相談し、複数のM&Aプラットフォームで買い手を探し始めました。
「私もM&Aアドバイザーをしているので、自分で進めることもできたのでは?と思いましたが、本業をやりながら業者とのやりとりや諸々の手続きを進められるかと言うと……。
コストパフォーマンスを考えた時に、自分自身でやるとスピードは落ちるし成約率も下がるかもしれない。最終的には成約することが目的なので、仲介してもらった方がいいだろうと判断し、お任せすることにしました。」
想定していた「ターゲット通りの買い手企業」と見事マッチング
山口様は事業引き継ぎにあたり、事前に2つのターゲットを設定されていました。それは、美容サロンや美容業界への知見や経験よりも集客面に強みがあること、そして、10店舗以上の店舗運営、もしくは拡大させてきた経験があること。どちらも、ご自身が引き継いだ後に見えてきた課題であり、それを補うためのターゲット設定でした。
登録後、社名公開で21社の問い合わせが集まった本案件。そのうち、実際にトップ面談まで行ったのは2社。絞り込みは、エムアンドエー・オーシャンの竹田様と話し合いながら行なっていきました。
「今回は、個人の買い手候補はチェックから外して、初めから法人のみに絞って募集をかけました。文面等のターゲティングは竹田さんと一緒に行なった形です。想定していたより、良い方々からの問い合わせが多くありましたね。」
今回の譲渡先である企業について、当初の印象を伺うと「良くも悪くも、最初は無印象でした。しかし、話が進むにつれてまさしく理想通りの譲渡先だとわかりました」と振り返る山口様。
「初めに想定していた全ての条件とマッチしていました。集客の会社をやっていたことがある上に、別業界のフランチャイズで50店舗経営されていたんです。買い手様は法人を四つ運営しており、そのうちの一社での問い合わせだったのですが、その会社は、美容サロンもやっており回数券販売のノウハウもありました。
さらに、過去にバトンズを通じて仲介なしで売却を成約させた実績もあった方で。面談まで進んだもう一社は、今までM&Aの経験がなく、事業を始めたばかりの方でした。うちとしては、ただ売却が成約すればいいのではなく、事業を伸ばせる方に引き継いでも欲しいと思っていたので、面談後すぐにぜひ話を進めたいと買い手様に伝えました。」
「転職をするくらいの感覚で」M&A市場がより活性化する未来
こうして理想通りのお相手とご成約となった山口様。初期の頃からバトンズを見てきたという山口様に、改めてバトンズを使ってみての印象を伺いました。
「ブランド名が『バトンズ』に変わる前の、もっと初期の頃からずっとサイトを触っていたので、掲載数やユーザー数がこの数年で一気に増えたのを見てきました。今は、事業を公開したらちゃんとした買い手が一定数集まります。
これでもまだまだ黎明期で、これからも伸びるサービスだと思います。今後、売却前提で事業を始めることもあると思うので、第一想起にバトンズが浮かぶ世界は大いにありえますね。」
山口様は、今後は医療周辺の事業拡大や、それ以外の領域でも買い手としてM&Aで事業を増やしていきたいとおっしゃっておられました。そんな経験豊富な山口様に、最後に譲渡検討者へのアドバイスをいただきました。
「M&Aには、いろんな活用方法があると思います。自分自身、一度売却を経験しましたが、これからは買い手としても積極的にM&Aをしていきたいと思っています。M&Aはひとつの手段なので、完全に売ろうと思っていなくても、まずは一度掲載してみて欲しいです。
例えば転職市場でいうと、転職を決めていなくても、市場価値を知るためにエージェントに登録したり面談してみたりしますよね。それくらいの感覚でM&Aを検討すれば、もっと市場は活性化します。売りに出さないにしても、今後の事業計画の参考にするためにも、まずは世に出してみるのが大事なんじゃないでしょうか。」
M&Aアドバイザー・売り手・買い手の全てを経験され、高い視座でM&Aマーケットを見つめる山口様。
山口様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
こんなお悩みありませんか?
つなぐマッチングプラットフォームです。
累計5,000件以上の売買を成立させています。
またM&Aを進めるためのノウハウ共有や
マッチングのための様々なサポートを
行わせていただいておりますので、
まずはお気軽にご相談ください。
編集部ピックアップ
- M&Aとは?流れや注意点、スキームなどを専門家がわかりやすく解説
- 事業譲渡とは?メリット・手続き・税金などについて専門家が解説
- 中小M&Aガイドラインとは? 概要や目的を詳しく解説
- 企業買収とは?M&Aとの違いは何?メリットや手続きの流れをわかりやすく解説
- 会社売却とは?M&Aのポイントや成功事例、IPOとの違いも解説
- 【完全攻略】事業承継とは?
- スモールM&AとマイクロM&Aとは?両者の違いとメリット・デメリットを解説
- 合併とは?会社合併の種類やメリットデメリット・手続きの流れ・必要書類を解説
- 後継者のいない会社を買うことで得られる多くの利点とは?
- カフェって実際のところ儲かるの?カフェ経営の魅力と開業方法
その他のオススメ記事
-
2024年10月09日
「自分が倒れたら、この会社はどうなる?」後継者不在からM&Aを決意した、新潟の金型会社
新潟県長岡市で製造業を営む「有限会社フジタ工業」はこの度、大阪府箕面市で金属加工業を営む「北摂工業株式会社」の代表取締役を務める草生大輔...