名古屋で2店舗のエステサロンを運営する株式会社ザ・ガーデンの代表取締役社長を務める兼松 亜紀様は、今回M&Aを通じて東京進出を果たされました。「もともと、独立したいとか、経営者になりたいとかいう願望は全くありませんでした」と笑う兼松様が、大きな決断となった今回のM&Aをどのような思いで進めてきたのか、現職に至った背景などを含めて詳しくお伺いしてまいりました。
譲渡事業 | |
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スキーム | 事業譲渡 |
業種 | 目元美容サロン |
拠点 | 東京都 |
譲渡理由 | 経営不安 |
譲受企業 | |
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社名 | 株式会社ザ・ガーデン |
業種 | エステサロン |
拠点 | 愛知県 |
譲受理由 | 新規エリアへの進出 |
OL、専業主婦、そして経営者へ!決めていたのは「流れが来たら乗る」ということ
10年続くような個人経営のエステサロンが数少ない中、22年目の現在も順調に事業を運営され、コロナ禍も難なく乗り越えた兼松様。サロン一筋で、生粋の事業家人生を歩んできたことを想像させる現在の兼松様ですが、元OL、元専業主婦という異色の経歴を持ち、「全く経営には興味がなかった」と話します。
現職に就いたのも、前のオーナーから事業を譲り受けただけだったとのことで、その経緯を詳しくお伺いすると
「もともと、オーナーがエステサロン用に建てた一軒家に店長として入社したんです。それから5年くらいして、当時から経営がうまくいっていなかったことなどもあり、後継者を探していたんです。
私は雇われ店長だったとはいえ、数字を全て細かくみていたので、収益が上がらない理由は分かっていました。だから、業績を改善させる自信もありました。ですが、いざ自分が経営をするとなると覚悟ができなくて。そうこうしている間に、後継者が見つからないなら廃業する他にないという話になったので、それではお客様に迷惑をかけてしまうと思い、オーナーになる決心をしたんです。
私は元来、冒険がしたいタイプではないですし、地道にコツコツ、気長に積み上げていくのが好きなのですが、“流れが来たらいつでも乗れるように柔軟であろう”と思っていたので、当時はその“流れ”に乗った気持ちでした」とのこと。
「実は、事業の収益が上がらなかったのは内部要因も大きくて。私が経営権を預かってからは正しい運営に変えさせてもらい、お陰様で、そこから22年間一度も赤字になったことはないんですよ」とも。
聞けば、兼松様が2店舗目を名古屋にオープンしたのも、いわゆる“流れ”によるものだったそうで
「2店舗目は、いいなと思っていた物件がたまたま居抜きで空いたんです。そこで、試しに審査してもらったら通って、ダメ元で賃料交渉してみたら、それも通って。これも何かのご縁なんだろうと思って、契約を決めたんです」とのこと。
こうして、不思議な“流れ”に導かれながら、順調に事業を成長させてきた兼松様に、次なる“流れ”がやってきたのは、昨年のことでした。
運命的な掛け合わせにより、「流れ」に乗って掴んだ東京進出の機会
「今回のM&Aも、いろんな偶然の掛け合わせで実現したものだと思っています」と、切り出す兼松様は、いくつかの運命的な巡り合わせがなければ、この案件は成約に至らなかっただろうと話します。
まずひとつ目の巡り合わせは、以前、サロンに勤めていたスタッフと東京で再会したこと。
当時から、何か良い物件があれば交渉してみたいとバトンズを眺めていたものの、なかなか“交渉”ボタンを押す勇気がなかったという兼松様。
そんな中、コンサルティング会社から銀座の売却案件を紹介され、「東京進出」というアイディアがマインドシェアを拡大していったのだそう。それと同タイミングで、バトンズの案件に横浜本店のエステサロンがあることを知ります。
そこの店舗には、かつて兼松様と共に働いていたスタッフが在籍しており、東京で再会する流れとなり「いつかまた、一緒に働きたいね」という話で盛り上がったのだとか。この出会いは、もし兼松様が東京進出をした暁には、いずれ店長を任せられる可能性がある繋がりができたことを意味しており、兼松様の中で「東京進出」という言葉がますます現実味を帯びていったのでした。
一度交渉ボタンを押せたことで、そこに対する心理的ハードルが下がった兼松様は、その後東京の案件に絞っていくつか交渉に進まれました。その中で、今回の成約先である内山様(仮称)が運営するサロンに、初見から強いご縁を感じていたそうで
「パッとみて、ああ、このサロンになるんだろうなという予感がありました。他からも2件くらい返信があったのですが、ここにフォーカスしてようと思いまして。」
「お母様から事業を引き継がれたとはいえ、27年にも渡ってサロンを経営されているというのは素晴らしいと思いましたし、サロンの雰囲気やこだわっている部分にも共感できました。内山さんは、自分たちのこだわりを理解して事業を成長させてくれるような後継者を探していたとのことで、経験や価値観の部分で自分は適任だと感じました。
私は、基本的に慎重派なのですが、ワクワクする瞬間というものがあって、そういう気持ちになる時はうまくいくことが多いので、その直感は大事にするようにしていまして。今回もその直感が働いて、ここに決めようと思いました」とも。
そんな兼松様に、ここでふたつ目の巡り合わせが訪れます。
それは、アドバイザーである株式会社事業承継通信社の代表を務める若村 雄介様との出会いでした。
頼れるアドバイザーの後押しで無事に成約!次に目指すは、東京での多店舗展開
「正直、若村さんがいなかったら、この案件は決まっていなかったと思っています。内山さんは、これまでも20人くらいの買い手候補の方とお話をされており、かれこれ1年くらい承継先を探しているけれども、なかなか決められないといった状況だったそうです。
もちろん、彼や向こうの店長さんに安心していただけるように、実際に見学に来ていただいたり、私の接客を見ていただいたりと、安心していただけるよう努力はしましたが、それでも最後の決断がなかなか難しいようでして。」
「振り返ってみると、この案件が決まるには融資も含めて、何かひとつでも欠けたらダメだったと思うような積み重ねで、こうして無事に成約できたのは本当にご縁だなと思います」と笑う兼松様。
そんな兼松様に、最後に今後の展望をお伺いすると
「今回のM&Aによって、新しい技術も手に入ったので、それを活かして業績を拡大していきたいと思っています。実は、東京に住んでいる私の娘が少しずつですが経営に携わっていたり、東京在住の親友が仕事を手伝ってくれたりと、既に東京本部の体制は整いつつあります。
東京はマーケットの規模も大きく魅力的ですから、またM&Aを利用して東京での店舗拡大に挑戦したいですね」と力強くお話しくださいました。
「周囲に恵まれてきたから、これまでやってこられた」と笑う兼松様は、敏腕経営者でありながらも謙虚で、人と人との繋がりを大切にする、ハートフルな女性実業家でいらっしゃいました。
兼松様と株式会社ザ・ガーデンの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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