東急東横線・綱島駅から徒歩数分、駅前の商店街の一角にある「炭火やきとり moku moku」は、テイクアウトが中心の小さなやきとり屋。近隣の住民をメインターゲットとする本店舗は、会社帰りのサラリーマンのちょい飲みから、惣菜目当ての主婦まで幅広い層の支持を得ている地元密着型の飲食店です。そして、そんな「炭火やきとり moku moku」を運営する有限会社ベイラインエステートは、不動産売買や仲介を基幹事業としており、この店舗を前事業主から譲り受けたのは約一年半前のことでした。
なぜ、彼らが飲食という異業界で新規事業を始めようと考えたのか、道半ばにして断腸の思いで事業譲渡を決断した理由はなんだったのか、同社の取締役であり今回のM&Aの責任者である吉田様に、詳しくお話を伺ってまいりました。
譲渡事業 | |
---|---|
店名 | 炭火やきとり moku moku |
業種 | 飲食業 |
拠点 | 神奈川県 |
譲渡理由 | 選択と集中 |
譲受側 | |
---|---|
区分 | 個人 |
業種 | エネルギー関連業 |
拠点 | 神奈川県 |
譲受理由 | 起業 |
コロナ禍で始めた新規事業は、シェアキッチンを見据えた飲食業界での派生ビジネス
不動産会社である有限会社ベイラインエステートが商店街でやきとり屋をスタートしたのは、コロナ禍の最中だった2021年1月ごろ。そのタイミングで飲食店を始めた経緯について、吉田様は以下のように話します。
「次の時代を見据えた新規事業開発を模索する中、不動産を有効活用した派生事業のテーマのひとつとして“シェアリング“というものに注目していました。
例えば、美容業界ではシェアサロンというものがあります。これは、独立したいと考えているスタイリスト達が、低額の固定費で自分のサロンを持つことを可能にしたビジネスモデルです。飲食でも、シェアキッチンというものが都内でブームになっており、コロナ禍のテイクアウトニーズの高まりを受けて拡大傾向にありました。
そして、こうした”シェアリング“のビジネスは、若い独立志願者達を支援するという社会的な意義もあると考えたため、当社としてもチャレンジする価値があると事業化を検討していました。
とはいえ、飲食業界は未知の領域でしたので、本格的に踏み込む前段階として、小規模店舗を運営することから始めることとなり、そのモデル店舗が“炭火やきとり moku moku”だったんです。」
そんな期待を背負って始まった新規事業でしたが、現場を任せていた方が体調を崩してしまったために安定的な営業活動が困難となり、その後の人員補充に目処が立たなかったことから、断腸の思いで事業譲渡先を探し始めたのが、昨年の11月ごろだったそうです。
問い合わせ総数50件!最終的な決め手は、買取価格の高さより事業に馳せる想いの強さ
本案件を進めるにあたり、バトンズをはじめとしたM&Aのマッチングサイトに登録したところ、立地の良さもあってか、問い合わせ総数は50件にものぼりました。そんな多くの買い手から吉田様が最終的に選んだのは、当時サラリーマンだった村田様(匿名)。
社長に対しても村田様を推薦したと話す吉田様に、なぜそこまで個人事業主かつ未経験であった村田様に惹かれたのか、お伺いすると「譲渡先を決める上で、私たちが最も大切していたポイントは、今のお客様や取引先様を大切にしてくれるかどうかということでした。
綱島の商店街には、これまでテイクアウトができるやきとり屋がなかったので、私たちのお店は既に固定ファンがついている状態でした。店長の体調不良で店を閉じていた際も、今日はなぜ休みなのか、いつ再開するのかという電話がかかってくるくらい認知・支持されていました。だからこそ、彼らの期待を裏切らないように、毎日ちゃんと営業してくれるかどうか、また、やきとり屋という業態を継続してくれるかは重要でした。
村田さんは脱サラして始めるということもあり、熱い想いがあって、ご自身で事業計画なんかも作って見せてくれまして。既存のお客様へも配慮しながら、自分の色も加えてやっていきたいという話を熱心にしてくれたんです。また、誰よりもレスポンスが速かったですし、内覧の時も1時間くらい前から現地にいて、近隣の調査をしていたり、内覧が終わった後も競合となり得るお店に立ち寄ったりしてから帰宅されていたそうです。そんな、とても真面目で誠実なお人柄にも惹かれました」とのこと。
「また、彼の描いた事業計画が、私たちがやりたかったこと近かったのも印象的で、村田さんなら、きっと私たちの想いを未来に繋いでくれるだろうと確信したんです。正直、買取金額だけ見れば、村田さんよりも高値を提示してきた企業もありましたし、与信面で行けば個人事業主よりも法人の方が手堅い部分もあったんですが、それを上回る魅力を村田さんに感じました」とも。
こうして、横浜の商店街にある小さなやきとり屋は、不動産会社の新規事業からサラリーマンの人生を賭けた夢の事業へと、バトンを繋いでいくことになったのでした。
「実は、始まりもバトンズだった」再度バトンズを利用した理由とは?
今回のM&Aについて経緯を伺っていくと、実は本事業を立ち上げる時もM&Aを利用して基盤を整えられたそうで、その際にもバトンズを利用されたとのこと。
買い手としてご利用いただいたところから、今度は売り手としてバトンズをご利用いただいた理由についてお伺いすると「初期費用が抑えられるところがバトンズのようなネット系M&Aマッチングの利点のひとつだと思うのですが、バトンズは他社と異なり担当者がついてくれて、細かいところをフォローアップしてくれるところが気に入っています。
例えば、ほぼ決まりかけている案件でも、税務上もしくは法務上のちょっとしたアドバイスが欲しいときがあるんですが、漠然とした疑問や不安であることも多く、税理士や弁護士といった専門家に何を訊けばいいのか分からない場合もあります。そんな時に、M&Aに精通している担当者の方が翻訳者になってくれたことで、いったい何を税理士や弁護士に質問すればよいのかが明確になる、という経験を何度かしました。
もちろん、検索のしやすさや利用の手軽さもバトンズの利点ですが、そういったデジタルな機能面に加えて、アナログなサポートも手厚く受けられるというハイブリッドな体験価値が、バトンズの魅力だと感じています。特に、個人事業主の方やM&Aが初めてという方にとっては、とても良いサービスだと思います」という嬉しいお言葉をいただきました。
今後も、引き続き不動産事業を基軸として、今回のような起業家達の独立障壁が低くなるような派生事業を積極的に育てていき、彼らをサポートすることで社会貢献を果たしていきたいとおっしゃる吉田様は、時代の潮目を読む、冷静で合理的な洞察力を持ちながらも、熱い想いや人の可能性を信じて大きな意思決定をなさる、温かい事業家でいらっしゃいました。
有限会社ベイラインエステートと吉田様の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!
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