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若き事業家2人が掴んだ、創業40年の老舗ケーキ工房との運命的な出会い

2022年09月29日

東京都練馬区で40年続く老舗のケーキ工房「アンダンテ」は、個人から法人まで幅広い顧客に支持される名店。オーナーのご年齢と工場の取り壊しに伴い、止むなく譲渡先を探すことになりました。

緻密な在庫管理によって、低単価ながらも高い収益率を出していた「アンダンテ」は、バトンズ上で50件以上の交渉依頼があったほどの人気案件でした。そんな事業を見事に口説き落としたのは、個人事業主でありオーナーとして新たな一歩を踏み出された谷川様(匿名)。経営パートナーである北井様と共に、M&Aを検討し始めた理由や買収までの経緯を詳しくお伺いしてまいりました。

現役サラリーマンオーナーと、現役パティシエ社長が誕生した経緯とは

新卒で大手企業に就職された谷川様は、キャリアップしていく中でスモールM&Aという領域に興味を抱きはじめました。
「世の中的に、スモールM&Aというものが普及してきているのは認識していました。バトンズの本も読ませていただきましたし、現職では人材バンクやM&Aを取り扱う企業との接点も多かったので、話をきいていて面白いなと思っていたんです。

IT企業をベンチャーとして立ち上げるような起業スタイルよりも、既にあるものを引き継いで効率化し、収益を出していく方法を考えるような起業スタイルの方が自分には向いていると思っていましたし、やれそうな自信もありました」と語る谷川様は、あくまで現職を続けながら、ご自身は金融機関の対応や経営数字の管理を行う「ビジネスオーナー」という立場で経営を執行し、現場の実務は信頼できる人に「事業責任者」という形で任せようと考えられていたそうです。

そんな谷川様がラブコールを送ったのが、現役パティシエの北井様でした。北井様は、百貨店にも進出している大手製菓製造販売会社の工場で、1日に数百個のケーキを作るところからキャリアをスタート。その後は、結婚式の運営会社でシェフパティシエとして手腕を振るわれたり、多店舗展開している大手のカフェで副店長として新店舗の立ち上げをご経験されたりと、自ら築き上げたスキルを軸に、多様なノウハウを積まれ、直近の勤務先では店長としてご活躍されていたところに、谷川様からの熱烈なアプローチを受けたのだそうです

「いつか自分も独立して店を持ちたいと思ってはいたのですが、具体的にプランを描いていたわけでもありませんでした。私は目の前のことを一生懸命やるタイプで、逆算して何かを実現していくということはあまりなくて。なので、こんな形で社長になるなんて夢にも思っていませんでした」と笑う北井様。そんな北井様を温かい眼差しで見守る谷川様との間には、より良い信頼関係が築かれていることをこの取材を通じて感じました。

3つの選定基準は「年商1億以上」「B to Cができる」「“軽”製造業」

買い取り案件の選定における基準は「年商1億以上」「B to Cができる」「“軽”製造業」の3つだったと明言される谷川様に、その設定背景をお伺いすると「特に重要だと考えていたのは、「B to Cができる」ことと「”軽“製造業」という2つの基準でした。B to Bは、上手くいけば高額な取引が継続的に行える可能性もありますが、スペックや納期、競合他社との相見積もり等による値引き交渉など、難しい部分も多い上に、既存取引先のリプレイスは決して簡単ではなく、時間もかかります。

一方でB to Cは、PRや見た目の工夫による売上改善が望めますし、短期間でトライ&エラーを回すことができるので、M&Aという形で事業を受け継ぐ場合には、こちらが賢明だと感じていました。

“軽”製造業というのは、製品そのものや製造・運搬に関わる機材の大半が、人手で運べるかどうかという意味です。人の手で運べない大きな製品は、製品運搬のための専用設備が必須で、容易に位置変更や買い替えができません。大型の設備に至っては、ただ動かすだけで100万円単位の費用がかかります。そうなると、何かを改善しようとするたびに必ず多額のコストが発生します。自分は、もっと身軽にチャレンジしたかったので、これは違うと思いました。

年商規模は、自分のやりがいに繋がるかどうかです。同じように利益率を改善できたとして、年商が1億なのか1000万なのかで手にする利益額は大きく変わります。でも、実際は年商5000万くらいの案件に決めましたし、絶対に譲れない基準ではありませんでした。」とのこと。

実は、谷川様が問い合わせを入れた時点で、既に50件を超える連絡を受けていたというケーキ工房アンダンテのオーナーである永井様からは、バトンズ上での初めてのアプローチの際にはよい返事がいただけなかったといいます。

「もう意中の相手がいるのだろうとは思ったのですが、場所も知っていたので、お客さんとしてケーキを買いに行き、オーナー宛ての手紙を預けてきたんです。そしたら、数日後に永井さんからメールが来ました。何度かやり取りをするうちに、一度会っていただけるという話になり、すぐに会いに行きました。」と語る谷川様。初めてお会いした永井様とすぐに意気投合し、その後はスムーズに交渉が進んでいきました。

谷川様の、自ら手紙を書いて直接渡しに行くほどの情熱と、人と人とのリアルな接点を大切にする温かさこそが、50件以上のライバルの中から後継ぎとして選ばれた理由だったのかもしれません。

口説き続けたオーナーと、100回断ろうとした社長。そんな二人が描く次の未来とは

こうして永井様の想いと共にアンダンテを引き継がれた谷川様ですが、実際に店舗を取りまとめ現場を仕切るのは北井様だということで、その意気込みを最後にお伺いすると「実はこの話がきた時、最初は断ろうと思っていたんです。その後も、100回くらいは断ろうかどうか悩みました(笑)。

谷川さんもそうですが、自分も家庭があるので失敗できないという思いがありましたし、練馬区という不慣れな土地で、作っているケーキも純喫茶系という自分のスタイルとは違ったものだったので、成功するか不安だったんです。

でも、谷川さんは自分を説き伏せようとするのではなく、不安を取り除こうと働きかけてくれたんです。そして、いつでも逃げ場を残してくれました。そんな谷川さんを見て、この人なら信じられると思ったんです」とのこと。

そんな紆余曲折を経て、7月よりリニューアルオープンした新生アンダンテ。最後に、お二人が見据える、今後の展望をお伺いすると「移転したばかりなので、12月のクリスマス商戦に向けて事業を軌道に乗せることに集中するつもりですが、経営が安定したらまずは法人の新規顧客を増やし、個人の単価アップにも挑戦したいです」と語る谷川様に続いて「私は、自分のお菓子を通じてお客様の幸せな時間を彩るのはもちろん、経営目線を持つパティシエとして成長し、パートナーを不安にさせない会社にしていきたいです」と微笑む北井様。おふたりの見事なバランスが、アンダンテの明るい未来を想像させる、そんな心温まるインタビューとなりました。

 

谷川様と北井様、アンダンテの今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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