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「LINEが基盤の集客支援アプリ(ツール)」未来を委ねたのは、自分より懐の深い経営者

2022年08月24日

新卒で入社した大手証券会社を若くして退職後、トライ&エラーを繰り返しながらスモールスタートで数々の新規事業を創出、挑戦し続けるのは、UK合同会社の代表を務める永野晴久様。そんな永野様が生み出した新規事業のひとつであるLINEを基盤とした集客支援アプリ(ツール)を、開発から2ヶ月足らずで譲渡しようと考えた理由は何だったのか。そして、今後どのような展望を描いているのか。穏やかな語り口調ながらも、芯の強さを感じさせる永野様に、詳しくお伺いしてまいりました。

 


 

譲渡企業
社名 UK合同会社
業種 IT
拠点 神奈川県
譲渡理由 選択と集中

 

 

譲受企業
社名 サムライワークス株式会社
業種 製造・販売業
拠点 大阪府
譲受理由 新規事業への参入

 


「近くにいたら便利な孫」そんな存在になることが、起業に際して掲げたミッション

Photo by stokpic

大手証券会社という華々しいキャリアを若くして手放した永野様。その後、単身でベトナムという異国に飛び込みスタートしたのが「ホーチミンの幼稚園から大学で使用する体操服を、全て日本製に切り替える」という一大プロジェクトでした。なんと立ち上げから半年で事業の黒字化を果たし、年商は1億円にも上った本事業でしたが、折しもコロナ禍が到来し、社会主義下にあるベトナム経済は一時フリーズ状態となり、永野様が契約していた工場も軒並み稼働が止まってしまう事態に。その結果、納品が間に合わずにキャンセルが相次ぎ、事業そのものが頓挫してしまうという状況に見舞われたのだそうです。

その後、日本に帰国するという選択をした永野様でしたが、多才な経営手腕を買われ、ご友人の会社に助っ人としてジョインする形で、デジタル関連の新規事業開発を経験。その後には、湘南エリアを拠点にインフルエンサーを活用した口コミマーケティングのビジネスを立ち上げるべく再び独立起業してUK合同会社を設立するという、非常に精力的な日々を過ごしていらっしゃいました。

このUK合同会社という法人では、出張無水洗車サービスからパワーポイントを使った経営資料の作成、そして今回の譲渡対象となったサービスのようなデジタルに特化したものまで、非常に幅広く多彩な事業を展開しています。個々の事業目的や提供価値は一見バラバラなようですが、その根底にあるのは年配の経営者たちにとって「近くにいたら便利な孫になる」というような想いであり、高齢化が進む日本の経営者たちの支援をミッションとして掲げているユニークな会社なのでした。

開発からわずか2ヶ月!事業譲渡を決めたのは、家庭に寄り添う時間を創るため

Photo by Luis Villasmil

そんな使命感を持った永野様が今年立ち上げたのが、今回の譲渡対象でもある集客支援を目的としたLINEの機能拡張サービスです。これは、ユーザーの個人情報を円滑に取得し、サービス向上やマーケティング活動に活用するためのアプリケーション(外部連携ツール)で、飲食店を中心に新規顧客開拓は順調に進んでいきました。

そんな幸先の良いスタートを切った本事業を、立ち上げからわずか2ヶ月で譲渡するに至った経緯は、エグジット目的の譲渡でもなく、ご家族に寄り添う時間を創るためだったそうです。

「これまで、あまりに自由にやらせてもらってきたので、奥さんが先行きの不安定さを気にするようになったり、家族のように可愛がっている犬がいるのですが、その子が重い障害を持っていることがわかり、頻繁な通院が必要となったりしまして。それなりに貯蓄もあったので、彼女を精神的に支え、犬の世話をするためにも、今は仕事より家庭に寄り添う時間を大切にした方がいいと判断したんです。

当時はもちろん、後ろ髪を引かれる思いもあったのですが、今となっては最善の選択だったと思っています。実際、この事業を本気でスケールさせる方法を突き詰めていくと、開発にもっと時間とコストを投下した方がいいことも分かってきて、一人で回せるスキームではないことが明らかになりました。

これまでは、開発はもちろん、営業資料を作って契約をとるのも、その後のフォローアップも全て自分一人でやっていたので、遅かれ早かれ譲渡することになっていただろうと思います」と笑う永野様が、最終的に譲渡先として選ばれたのは、サムライワークス株式会社の代表を務める新島様でした。

数ある候補者の中から、なぜ新島様に決めたのかお伺いすると「もちろん、金額面の話もあるんですが、新島さんは初回の面談時から、自分だったらもっとこうやって事業を成長させるという計画案を、かなり具体的な施策と共に提示してくれたんです。そこから、彼がこのサービスの良さをちゃんと分かってくれていて、未来のことをしっかり考えてくれていて、次の展開が見えていることが伝わってきたんです。

一方で、他の候補者の中には、ずっとサブモニターを見ながら目を合わせようとしてくれない人もいれば、終始タメ口でマウントを取ろうとしてくる人もいまして。そういう対等な関係性を築いていこうという姿勢が感じられない人には、どんなに高値を提示されても譲りたくないと思ったのが正直なところです。

新島さんは、人間的にも素晴らしくて、私よりも経営者としてのご経験は豊富でいらっしゃるにも拘らず、この事業の粗い部分を指摘することもなく許容してくださり、私のこともリスペクトしてくださる懐の深さがあって。彼の会社に入社して、一緒に働きたいとまで思えた方でした」とのこと。こうして、立ち上げ後2ヶ月という速さで譲渡を決断するに至った事業は、心から信頼できるお相手に渡ることが決まったのでした。

「サクラはいない」M&Aマッチングサービスがもっと身近に、もっと頼れるものに

Photo by Firmbee

そんな永野様にとって、今回のM&Aは初めてのご経験ということで、最後に終えてみての感想をお伺いすると「自分でやってみるまでは、M&Aのマッチングサイトにはサクラの記事がたくさん載っているというネガティブな印象を持っていました。ですが、これら全てが本物であり、それぞれが熱い物語を持っていて、本気でM&Aを検討しているのだということが分かりました。ですので、状況が落ち着いたら、今度は買い手としてM&Aに挑戦したいと思っています。

自分は、会社の経営者として生計を立てると決めているので、サラリーマンではなく事業家として戦える体力をつけていきたいと考えています。そのためには、もっといろんな挑戦をして、会社を成長させたいと思っており、引き続きデジタルマーケティングの世界で挑戦してきたいと思っています。既に、AI、IT、デジタルマーケティングというキーワードで売却事業を絞り込んで探し始めているので、どんどん構想を広げていって形にしていきたいです」とのことでした。

そう笑ってお話くださった永野様は、底知れぬエネルギーと発想力を兼ね備え、デジタルとアナログのバランス感覚に富んだ素晴らしい起業家でいらっしゃいました。

 

永野様とUK合同会社の今後の更なるご活躍を、バトンズ一同、心より応援いたしております!

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