公開日 | 2024/05/02 |
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記載者 | 株式会社ステラコンサルテ... |
PMI
M&A成功のカギを握るのは、PMIだ
バトンズ認定アドバイザー
認定バトンズDD調査人
会社名の”ステラ”はイタリア語で星を意味しています。空に輝く星のようにそれぞれの企業が輝く支援、すなわちそれぞれの企業に適したご支援をさせていただきます。
専門分野
M&Aアドバイザー(全般相談)
企業/事業評価
企業/事業概要書作成
契約書草案作成
事業再生
サーチ(譲渡案件発掘)
デューデリジェンス
資金調達
PMI
経営支援
人材支援
金融・行政対応
IT支援
その他中小企業支援
対応可能エリア
関東地方全般
はじめに
みなさんは、PMIという言葉を聞いたことがありますか?
PMIとは、買収後の経営統合のことです。つまり、買収した会社や事業を既存の会社や事業にどのように統合し、効果を最大限に引き出すための作業を指します。
PMIの留意点について、いつものとおり、M&A新任担当者のツナグと一緒に学んでいきたいと思います。
ツナグ:なんとか契約とステークホルダーへの報告を残すところまでこぎつけたね。長ったけど、もうすぐ、終わりかと思うと少し寂しい気もするなぁ。
ツナグさん、一息つく暇なんてないですよ。これからが、私たちの見せ場と言ってもよいかもしれません。買収後の経営統合作業が始まりますよ。クロージングなどの手配を進めつつも契約完了後の進め方などについて、誰とどのように進めるか社内関係者とともに、計画を立てていきましょう。
ツナグ:えーっ。ひと段落するだろうから、この機会に長期休暇でも取ろうと思ってたのに・・・。
PMIの3つのステップ
まずは、統合方針を決定しましょう。
どの程度のスピード感で統合するのか?どのような手順・スキームで統合するのか?など、全体の方針を決定しましょう。DDの段階で、早めに手を打つ必要が明らかになっているテーマや、それぞれの従業員の感情など総合的に検討する必要があります。
次に、ランディング・プランへの落とし込みを行います。クロージング後の数か月程度の間に行うべきことを、小さなタスクに整理し、それぞれのタスクを誰が、いつ、どのように、いくらで、いつまでに完了させるのかをまとめましょう。プランについて双方の組織で合意・承認が取れたら、早速実行に移します。各作業がスタートしたら、その進捗状況や評価、修正など、継続的な管理を行い、関係者間で共有します。つまり、統合後の事業計画を策定し、PDCAサイクルにて計画遂行のレベルを上げていくイメージです。
早いに越したことはない
ツナグ:まだ、DD(デューデリジェンス)が終わったばかりなのに、クロージング後の作業のタスク化までやるんですか?!
はい。なぜなら、PMIは早いに越したことはないからです。
ある調査によると、「M&Aの成果が事前期待を上回った」と答える経営者の6割以上が、基本合意やDD実施期間中からこのPMIについて準備したと答えています。個人的な経験で恐縮ですが、被買収企業では、基本合意フェーズあたりから、将来への準備、新しい取り組みやチャレンジングな取り組みがやりづらくなります。その背景には、経営統合後の経営方針が不透明なため、大きな投資や方向転換などがしづらくなるからです。その結果、統合作業を始めようとした段階では、従業員はじめ、事業の勢いが低下傾向となってしまうのです。早くからPMIに着手した経営者が期待以上の成果を上げているのは、事業の停滞期がないため、引き継いだ直後から前向きな事業運営に取り組めるからです。
統合方針は、2軸で考える
統合方針を決定する上でまず、検討すべきは、“どの程度のシナジーを求めるか?”です。最大限にシナジー効果を求めるのであれば、よりコントローラブルな“吸収型統合”を目指すことになります。具体的には、吸収合併や吸収分割、事業譲渡などのスキームを採用し、各種制度やシステムは、買い手側のものをそのまま適用させます。これにより、いろいろな調整などが不要となり、スピード感ある統合が可能です。一方で、双方の現場が混乱し、従業員のモチベーションが下がる可能性が高まる恐れがありますので、慎重に検討しましょう。
統合によるシナジーが小さくてもよいのであれば、統合の負荷が小さい“連邦型統合”を目指すことになります。これは、吸収型統合とは正反対に、売り手企業の経営体制、経営方針に大きな変更は加えず、独立性を尊重する方法です。買い手企業は、数名の役員と補強すべき部門があれば、必要なノウハウを持つ従業員を派遣するにとどめます。統合作業の負荷が小さい一方で、シナジー効果は得にくいため、買い手企業にとって、全くの異業種や売り手企業の業績が好調の際の選択肢と言えそうです。
3つ目の方針は、上述二つの中間的な統合方針になります。吸収してしまうほどではないが、一定の役員や従業員を派遣し、大胆な事業のテコ入れや買い手企業サイドでうまくいっている方針やシステムを持ち込む方法です。業績不振の同業者との統合など、買い手側に事業再生のための優れたノウハウなどがある場合などに適した方法です。一方で売り手側の従業員の不満による離職などのトラブルが起きるリスクがあるため、注意が必要です。
まとめ
今回は、統合作業についてツナグと一緒に学びました。繰り返しになりますが、統合方針は、M&Aを検討し始めたフェーズで仮説を設定し、DDで検証するくらいのイメージが必要だとお考え下さい。特に、吸収型のM&Aや経営支配を強めるのであれば、早めに方針を決定し、基本合意をしたあたりで売り手企業側にも情報共有することも検討しましょう。情報共有がスムーズにできれば、売り手側では、効果的な投資や統合後に向けた準備作業も行うことができ、逆に、従業員のモチベーションをアップさせることもできるからです。
本日も最後までお読みいただき、ありがとうございます。次は、あなたのビジネスにご一緒させてください。
中小企業診断士
山本哲也
https://stella-consulting.jp/archives/548